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ジョージ・クルーニーとマット・デイモンのコンビとくればオーシャンズ。しかもネタが、ナチスに奪われた美術品を奪い返す7人のわけあり兵士たちとくれば、軽妙なジョーク満載のコメディタッチ戦争映画ではないかと予想します。誰だってそう思いますよね。クルーニーはこれまでそんな作品をたくさん撮ってきたのだし。
おまけに原題がThe Monuments Men(モニュメンツ・メン=記念碑の男たち?)なのだからまるでThe Magnificent Seven(マグニフィセント・セブン=すんげー七人の野郎ども→「荒野の七人」)みたいじゃないですか。
ところがところが、この映画はもっとストレートに戦争の愚劣さを糾弾する作品だった。
戦争のまっ最中に、兵士の生命を犠牲にするかもしれないのに、ヨーロッパに残る美術品、歴史的建造物を護ろうとする志願兵。若者は払底しているので、もはやリタイア寸前の美術関係者がかり集められる。
言い方は悪いけれど、目的がくだらないからこそ、クルーニーはじいさん兵士たちを真摯に描いたのだと思う。でもキャストがキャストだからどうしたって味わいが出てくるのがいい。
孫のメッセージがレコードの形でキャンプに届けられ、その声にしゅんとしてしまうビル・マーレイのシーンがその代表。なにしろ彼はそのとき、将校専用のシャワールームにちゃっかり忍び込んでいたのだ。MASH(ロバート・アルトマン)ですか。
連合軍の勝利はほぼ確定しているが、ドイツ兵にも意地があるので戦闘はまだまだ至る所で。ノルマンディー(史上最大の作戦)、バルジ(バルジ大作戦)、レマゲン(レマゲン鉄橋)など、映画でおなじみの激戦地を老兵たちは進む。以下次号。