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70年代の映画で、最もインパクトがあった作品は極私的にはこの3本。
「燃えよ!ドラゴン」
……なぜなら、この3本は映画であることを超えて世間を騒がせたから。
「燃えよ!ドラゴン」は、東洋の小男が『カンフー』なるよくわからない武術で悪漢をなぎ倒す快感が、世界中の若者を興奮させ、そしてあろうことかこの映画が公開されたときにその主役、ブルース・リーが亡くなっていたという衝撃。
「サタデー・ナイト・フィーバー」は、イタリア系のあまりご面相がいいとはいえないがに股の青年が、オープニングで街の女の子たちにちょっかいをかけるシーンが革命。バックに流れていたのが「ステイン・アライブ」だったのだ。これ一発で世界中がディスコミュージックに染まった。
「JAWS」は「エクソシスト」あるいは「ゴッドファーザー」「タワーリング・インフェルノ」とも置き換え可能。ブロックバスターとして興行収入の記録を塗りかえたわけだし。宣伝で煽りに煽って一気に稼ぐという手法が一般化したのが70年代。ロードショーとして都会で先行上映し、その評判を利用して地方で稼ぐなんて悠長な時代ではなくなったのがこのころだ。
そして、70年代はまだヨーロッパ映画が商売になっていた時代だったとも感じる。アラン・ドロンやカトリーヌ・ドヌーブ(今度、是枝裕和の新作に出るんですって?)の新作に大きな劇場が用意されていたなんて、いまでは昔話になってしまった。
それでは70年代が夢のようにいい時代だったかといえばそれは言い過ぎ。どんどん映画人口は減少を続け(まだビデオが一般家庭に浸透していない時期なのに)、業界は打つ手を見いだせないでいた。
まさか、シネマコンプレックスという存在がその流れを一気に変えるとは誰も想像もしていなかったあの頃……。
日本映画ベストPART1につづく。