出来のいいドラマだとは聞いていたの。今期(2016年4月スタート)のテレビで一番!と評価する人はたくさんいた。
でも視聴率がうなぎのぼりという話も聞かなかったし、それでなくても連続ドラマをリアルタイムで見る根性がない人間なので、いつかDVDが出たら……と考えていた。考えていたんだけれども、「騙し絵の牙」を見るまで、このドラマのことをすっかり忘れてました。
編集者のドラマは受け入れられると騙し絵のスタッフに確信させたのは、きっとこのドラマの成功があったからだと思ったの。見てないのに(笑)。
で、一気にレンタルしましたDVD。見終わって呆然。こんなに毎回泣かせてたのかよっ!いやーこれだけ泣いたのって「JIN-仁」以来じゃないかな。すばらしかった。
ただ、低視聴率だったのもわかる。原作のコミックは未読なんだけど、“柔道に明け暮れていた体育大学出身の女子が、ケガをしたために出版社に入り、漫画の編集者として成長していく”ヒロインに黒木華って……ありえないでしょう?彼女は演技のうまい人だから、次第に暴力的な純粋さがはまっていったけれども、最初はかわいそうになるくらいすべってましたもの。
前言を翻すようで恐縮だけど、漫画家の物語は当たりが多いなかで、編集者というのは作者の意図が読み取れず、営業や上司の意見の代弁をしているだけ、ってのがティピカルなイメージ(いつもお世話になっているG出版のK編集長、あなたのことでは決してありませんよ!)。
だいたいタイトルになっている「重版出来(じゅうはんしゅったい)」を、出版物の広告でいつも見ていながら、ずーっと“じゅうはんでき”だと思っていたぐらいこの業界には暗いわたし。
だからどうドラマを構築するのかと思ったら、そりゃーもうみごとなお手並みなのでした。以下次号。