事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「日本アニメ誕生」豊田有恒著 勉誠出版

2021-05-17 | 本と雑誌

豊田有恒が、日本のSF黎明期において重要人物であったころは(くどいようだけど)SF者ではないわたしですら承知している。ただ、本人は韓国を知っているからこそだと怒るだろうが、近年は右翼的な発言も多いので、存在として敬遠していた。

彼が8マン(エイトマン)やスーパージェッターなどのアニメの製作に携わった経緯を読むと、かつて筒井康隆が雑誌「面白半分」などで回顧していた黎明期のSF作家たちの交流に、アニメという存在が欠かせなかったのだなということを再確認させられる。

その豊田ももう80才を超え、異端児だった筒井康隆は文壇の大御所となり(「騙し絵の牙」の國村隼はどう考えても彼がモデル)、星新一小松左京は鬼籍に入った。今のSF界ってどうなっているんだろう。今でも、アニメと親和性が高いことだけは想像できるのだが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「夏への扉」The Door into Summer ロバート・A・ハインライン著 早川書房

2021-05-17 | 本と雑誌

SF者ではないわたしだって承知している巨匠ハインラインの名作。特に日本では評価が高く、オールタイムベストSFに選ばれたりしている。1950年代から21世紀を眺望し、未来が悪くないものとした楽天性と、猫を愛する主人公に代表される叙情性がうけているのだろう。

発明家である若き主人公は、家事を省力化するロボットを事業化する。まるでルンバの登場を予期していたよう。しかも彼はそのロボットを汎用の部品で作り上げるのだ。単なる絵空事に終わっていないわけ。

21世紀に生きるわたしたちは、「お、これってワープロソフトじゃん」「動く歩道をこんなに前から思いついていたのか」と驚かされる。しかし彼の想像とは違った方向に進化したものもわたしたちは持っている。スマホだ

携帯はハインラインも予測したようだけれど、これだけ伸びしろが大きい機械はそうはない。しかも、誰でもこの機械を所持しているという状況は、たとえば30年前の自分は想像もしなかった。

スマホの画面を見てつくづく思う。わたしたちは今、未来に住んでいる。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする