吉高由里子主演NHK大河ドラマ「光る君へ」脚本家・大石静の本音が意外すぎた!
第24回「忘れえぬ人」はこちら。
今回は、紙のお話。越前が和紙の産地だとは初耳だったが、紫式部はその紙に子どものように執着する。
自身が想像もしていなかっただろう。彼女の作品「源氏物語」は、紙に書かれていたからこそ千年ものあいだ、語り継がれていたのだ。清少納言の「枕草子」にしても、中宮へのファンレターとしてだけでは歴史に埋没していたろうが、紙で宮中に広げることでエバーグリーンになっていく。
永井紗耶子の新作「きらん風月」を読んで、紙に書かれていることがどれだけ後世に影響を与えるかが示唆され、隠居したのにいまだに政治への色気むんむんの松平定信を震撼させるのとシンクロしました。
映画「追憶」の話でしたね。脚本の大石静さんが激賞しているのがこのバーブラ・ストライサンドとロバート・レッドフォードの恋愛劇なんです。意外だなあと思いました。作風が違いすぎじゃないか。
この映画はわたしも若いころに観て、それなりに感動したんですよ。特にラストシーン。別れたふたりが再会して(このふたりは思想信条の違いで別れている)、ノンポリのレッドフォードは左翼のビラを配っているストライサンドにこう語る。
「今は、幸せかい?」
「ええ、幸せよ」
ふた通りの解釈があって、ストライサンドが無理をしているととるひともいれば、本当に幸せなんだととるひともいる。その微妙さがすばらしい。
その論議を、来日したシドニー・ポラック監督は、日本人にそこまで深く読みこんでもらえたのかと感じ入っていた。なめちゃだめだよ日本人を(笑)。
だから今回の「不実な女でもいい?」という問いかけは、紫式部を使って日本のテレビドラマもここまできたかと。
藤原道長の苦衷に関しては来週から。どんどん面白くなってる。
第26回「いけにえの姫」につづく。