第14話「しゃべりすぎた男」はこちら。
ミステリの舞台によく使われる場所に「絶海の孤島」「雪の山荘」「超高層ホテルの一室」などがある。密室を成立させやすいわけね。
そして、修道院や教会も多い。これはいくらでも怪しい人物を登場させられるのと(笑)、探偵の異端ぶりを強調できるからだろう。
今回の舞台は戒律のきびしいミッションスクール。被害者は校則をもっとゆるやかなものにしようと改革をめざす男性教師。殺したのは戒律原理主義者である寮長、宇佐美ヨリエ(沢口靖子)。
ここに名探偵としてあらわれるのが古畑。もの珍しそうに徘徊する彼はまさしく異端者だ。女子生徒たちの嬌声に手をあげて応える調子良さ。
ワトソン役で帯同するのが今泉なので、ドリフの聖歌隊みたいにも見えるんですけど。
重要なのはこの学校の校則だ。
・人を欺いてはいけない。
・男性といるときは部屋のドアを開けておかなければならない。
・化粧をしてはいけない。
・校内で笑ってはいけない。
……すべてこの犯罪のキーワードになっている。っていうかトリックを考えてから三谷が校則を決めたに違いないです。なぜ殺人を行うときに寮長はヘッドフォンをしていたのか、の種明かしには笑った。そうくるかあ。
戒律に重きをおいていない院長に、わたしの世代にとってはセックスシンボルである赤座美代子(故藤田敏八監督夫人)が扮していてうれしい。
古畑に生徒手帳を貸してあげるのはミス・ガメラの藤谷文子。誤解かもしれないけれどちょっとだけ市川実日子の姿もあったような。
しかしもっとも美しかったのは能面のような表情をくずさない沢口靖子。端正な美女にしか演じられない役(ちょっとネタバレ)なので、彼女にはうってつけの役だったわけだ。
第16話「ゲームの達人」につづく。
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