2021年、いちばん数多く読んだのは今村翔吾だと思い込んでいた。でも数えたら5冊にすぎない。実は中山七里のほうが9冊も読んでいたのである。さすが月刊中山七里状態で刊行しただけのことはある。列挙すると
「毒島刑事最後の事件」
「テロリストの家」
「銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2」
「ヒポクラテスの悔恨」
「ラスプーチンの庭」
「ヒポクラテスの試練」
「能面検事の奮迅」
「カインの傲慢」
そしてこの「復讐の協奏曲」です。
先にばらしておきますが、中山はよくタイトルにネタを仕込んでいます。それをお忘れなく。
かつて中学生のときに少女を惨殺し、医療少年院を出てから敏腕の(そしてきわめて悪辣な)弁護士となった御子柴(みこしば)シリーズの最新作。
あらためて少年時代の犯罪が描かれ、少女の母親の狂乱を読者に印象づける。彼女は、いつか復讐するからそのときは“協力”してね、と娘の友人である「洋子ちゃん」に告げる。
そして現在。御子柴の事務所で事務員として働く「洋子」に殺人の容疑がかかる。御子柴のセリフがすばらしい。
「きみが殺したかは関係ない。必ず無罪にする」
……中山七里は、匿名で正義面をする人間たちに容赦ない。そっちにしかし紙数をとられすぎてか、ラストがドタバタしてしまったのは残念でした。御子柴が、なぜ自分を襲撃する犯人に気づいたか、ってネタが弱すぎる(笑)。
でも面白さは相変わらず。このシリーズのわたしはファンなので、他のシリーズを遅らせても御子柴の新作をお願いしたい。あ、それだと講談社以外の出版社がだまってないかあ。
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