2016年10月児童手当号「不公平なお手当」はこちら。
児童手当を受給している人にだけ発行する増刊号。本日のあなたの受給額は0,000円です。
10月に支給したとき、所得把握がいいかげんだから児童手当は不公平な存在だと説明しました。実はもっと露骨に不公平な部分があります。結論から先に言うと、児童手当に関して、早生まれの子は不利なのです。
あらためて説明すれば、児童手当の支給は
「請求した日の属する月の翌月から支給され、支給すべき事由が消滅した日の属する月まで支給する。」
となっています。
請求した日とは、まあよほど事務に遅滞がないかぎり、その子が生まれた日。問題は、支給すべき事由が消滅した日です。児童手当が支給されなくなるとはどんな場合か。
・親の所得が制限額を超えた。
・児童が日本国外に移住した(留学をのぞく)。
ですが、まずたいがいの場合は
・中学校を卒業した
ときでしょう。もっと正確に表現すると、“15才の誕生日後の最初の3月31日まで”となります。つまり、考え方の基本に学齢がある。
となると、始まりは誕生日だけれど終わりは年度末、ということで、受給する回数と額が変わってくる。
例を挙げて考えてみましょう。思いっきり単純化して
・2017年3月31日に生まれた子をA
・2017年4月2日に生まれた子をB
とします。なぜ4月1日にしないかというと、4月1日生まれは(早生まれです)それはそれでめんどくさい問題をはらんでいるから(わたしが考えるのがめんどくさいから)。どちらの子どももひとりっ子で、Aの親もBの親も所得制限にひっかからず、現行の制度が永劫につづくと仮定します。
さあ表を見てください(例によってめんどくさいので略)。早生まれのAさんには2017年4月から2032年の3月まで、計180回、1980000円支給されます。ところがBさんは、わずか2日後に生まれただけで、2033年3月まで、191回2090000円支給。その差は11万円。
「なんてことだっ!」
と怒る人もいるかもしれません。でもよく考えてくださいよ。この「早生まれは損なのか」は、税制や扶養手当もからんでもっと大きい問題なのです。それに第一、そんなにきっちり平等でなければならないのか、という根源的なお話は、いずれ本格的に特集します。
画像は「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016 クロックワークス)
公開が終わってからの紹介になってもうしわけない。ソフト化されたらぜひ。上映開始5分でうちの奥さんは号泣状態。エンディングでは鶴岡まちキネの観客総泣き。主演の宮沢りえには凄みすら。児童手当的には微妙な一家なんですけどね実は。血縁とはなにか、家族とはなにかを考えさせる傑作。
2017年6月児童手当号「年に一度のおつとめを2017」につづく。
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