製作、配給ともにメジャーではない(東京テアトルが経営する、名画座時代のテアトル新宿には学生のころ、何度も通ったなあ)作品でありながら、話題が話題を呼び、興行収入がなんと38億円、海外でも大ヒットというお化け作品。
監督はTBSの土井裕泰。まもなく特集する「コウノドリ」のチーフディレクターでもある。そして脚本は「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の坂元裕二。このコンビでつくられたのがあの「カルテット」だ。
たまたま入ったカフェで
「うわ。神様がいる」
とつぶやく麦(菅田将暉)。しかしその驚きに反応したのは絹(有村架純)だけだった。そのカフェにはなんと押井守がいたのである。そりゃあ特定の方々にとっては神様だ。「攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」のクリエイターが目の前に。
麦と絹は意気投合。押井だけでなく「長島有」「穂村弘」「小川洋子」「フィリップ・K・ディック」「村上春樹」が好きな女の子なら、おれもうれしくなっちゃうな。
そして二人はいっしょに住むようになる。
しかし、二人の関係は5年で壊れる。
大きななにごとかがあったわけではない。外殻だけ見れば生活というものの重みにお互いが耐えかねたみたい。しかし麦が言うように恋愛感情が失せたとしても夫婦でいるカップルはおおぜいいる。気の合う友だちのような夫婦でいればいい……しかし麦の主張は絹に一蹴される。
今泉力哉の「愛がなんだ」とは違う意味でリアル。恋愛の舞台にいる世代にとってはたまらないはずだ。舞台を下りているわたしですら粛然としたのだった。ラストのおしゃれさは比類がない。見逃さなくてよかった。
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