第四回「栄一、怒る」はこちら。
この回、渋沢栄一(吉沢亮)は何度も
「子どもは黙ってろ」
とたしなめられる。実際にそういう年齢だったろうから仕方のない話。しかし彼は姉(村川絵梨)の縁談をめぐるあまりにも旧い因習に怒る。狐憑きがどうしたのって。馬鹿馬鹿しいにもほどというものが。
実は徳川斉昭(竹中直人)の、国粋的な姿勢も同じようなものだと脚本の大森美香さんはうっすらと言ってるわけだ。うまい。
徳川家康(北大路欣也)が解説するように、当時の体制は家康がセッティングした。で、大権現様の意向には誰も逆らえないという理屈で突っ走った300年。だけれども、だか、だからこそ、だかの事情で御三家から破壊的な国粋主義は生まれている。
これだけは言っておかなくては。栄一の伯母役の朝加真由美を単なるおばあさん役者だと思ったら大間違い。わたしの世代にはアイドルなのよ。この人が脱いだのはショックでした!
草彅剛の登場シーンには違う気合いが入ってるんじゃないすか。照明も丁寧ですばらしいの(笑)。
安政の大地震をこの回に持ってきたのは計算ずくだろう。藤田東湖(渡辺いっけい)がもしもこの地震で亡くなっていなかったら、という描き方。
あの地震から十年である。事務室で、サッシ窓のふくらみを見て驚愕し、しかもこの揺れがいつまでもおさまらないことに恐怖。
同僚と今日話した。忘れない、って言うけど、忘れられないからしんどい。
今日はよく考えたら壮絶なラブコメの回。いちばん冷静なのが後に栄一の妻になる橋本愛という設定もうまい。
第六回「栄一、胸騒ぎの放課後」じゃなくて「胸騒ぎ」につづく。
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