PART2「金看板」はこちら。
「日本は、目先の利益ばかりを追い求めてきた」
「日本人は、目標に向かってがんばることは得意だが、目標の妥当性を評価できない」
「その場しのぎで合意形成をしてきた」
……いわゆる自虐史観から出てきたことばではない。日本の漁業について憂える東京海洋大学の勝川俊雄さんの発言。彼はこう解説する。
最近は、とりあえず中国を悪者にしておけばよいという風潮を感じます。「中国が魚をたくさん獲るせいで魚が減った」というストーリーに落とし込んでおけば、国内の漁業団体から苦情も来ないし、消費者としても「やっぱり中国のせいか」と納得感があります。
そういうポジティブな評価が得られると、記事を書いた記者にとってもうれしいじゃないですか。自分たちのことを責めなくてよいから、受け入れられやすいんです。
……漁業者もメディアも、中国を貶めることで事足りると安易な自己満足にひたっているうちに、日本だけが漁業においてじり貧になっているのだと。獲れるとなればあらゆる手段を使って乱獲し、200海里問題に慨嘆し、魚がいなくなったと他人のせいにしている。
しかし他国はもっと冷静な目標を掲げ、持続可能な漁業にシフトしているというのだ。
そうじゃないかと思いました。マグロがいちばんわかりやすいかな。それこそ世界中のマグロを追い求め、枯渇したのは発展途上国までマグロを食べ始めたからと他人のせい。実は違った魚種にシフトするとか、進むべき方向は別にあったはずなのに……
PART4「どうなっちょるの」につづく。
本日の1冊は佐藤正午の「幼なじみ」デビュー直後に書かれた未発表作品だとか。女優となった幼なじみの訃報に心が揺れる中年。テイストは確かに初期の佐藤に近いかも。というか佐藤正午って全然変わらないですけどね。
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