シリーズ8作目。とにかく量がはんぱない。ポケミスで600ページ近いといえば、ミステリファンはその分厚さを感じ取ってもらえるはず。
これだけ長くなったのは、変わり者だらけの特捜部のなかでひときわ不思議な存在だったアサドの過去が明かされるのに加え、サムライフリークのオタク(トシローと自称)が無差別テロに走るのを阻止できるかのサスペンスで引っ張るからだ。
この、アサドの過去が壮絶。彼がなぜ語学に堪能なのか、なぜ体技にすぐれているのか、納得。そしてなぜ過去を語りたくなかったかも。
前面に出てはこないけれども、背景で大きな存在なのはサダム・フセインだろう。
イスラムへの偏見、あるいは性別への思い込みまで利用してミステリとして上等。にしても長い。けっこう読むのが速いつもりのわたしですら十日もかかってしまいました。
「カールの罪状」につづく。
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