2011年8月号「太陽光。」はこちら。
毎日新聞に「万能川柳」という投稿欄があります。三大紙のなかで、もっとも発行部数が少ないにもかかわらず、もっとも投稿数が多い(毎月5万句!)ことで知られています。なにしろ句のレベルが段違い。
それはすべて選者であるコピーライター仲畑貴志のセンスによるもの。たったひとりでぜんぶの句に目を通し、ニューウェイブ川柳を確立してしまいました。近作はこんな感じ……
「新入りがちょっと反抗する9月」
「節電で夜景は85万ドル」
「偏食にならないように試食する」
……やるもんです。そんななかに、こんな句も載りました。
「子を忘れ児童子供で揉める国」
解説しましょう。子ども手当はこの10月からどうなるのか。
受給者には6月に「子ども手当カウントダウン」としてお知らせしましたが、現行の
「所得制限なし」
「中学卒業まで月額一律13000円」
という支給は、すったもんだの末に、この9月30日まで半年間延長されました。以降も与野党で大もめした結果、10月から来年の3月までは
・所得制限なし
・0才~3才未満→ 一律月額15000円(2000円増額)
・3才~小学校卒業まで(第1子、第2子)→ 月額10000円(3000円減額)
・ 〃 (第3子)→ 月額15000円(2000円増額)
・中学生 → 一律月額10000円(3000円減額)
・留学の場合をのぞき、国内に居住する子どものみ対象
・受給者の同意があれば給食費や教材費の未納に充当できる
となり、基本的にまもなく受給者全員から認定申請してもらうことになりそうです。あ、誤解されると困るのですが、今年の10月に支給されるのは9月までの分ですからこれまでと同額だと考えてください。
そして来年4月からは、いよいよ所得制限が導入されて“児童手当”だか“子ども手当”だかよくわからないものに……
この問題をフォローしていた人ならおわかりでしょう。与野党がもめていたのは、実は支給額や支給要件などではなく、どちらの主張する制度が“勝つ” かだったのです。
「子ども手当、存続します」と刷られた民主党のビラに野党がかみついたことでも理解できるように、要するにメンツの問題。東日本大震災から半年、国会では「子だ児だと言葉遊びを与野党で」もめていたわけ。やれやれ。
※画像は、「探偵はBARにいる」(2011東映)
男子たるもの、一度はクチで牛乳瓶のフタをあけ、ライターの火力を最大にしたことがあるに違いない。大泉洋が演じるススキノ探偵は、そんな萩原健一(傷だらけの天使)と松田優作(探偵物語)の直系。名探偵の座を、なまいきな小学生から奪回しろ。
2011年10月号~監査終了につづく。