事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「八つ墓村」がわからないPART1

2012-05-20 | 映画

霧の旗」「砂の器」「氷の微笑」「ゼロの焦点」「チャイナタウン」篇はそれぞれクリックをどうぞ。

Yatsuhakamuraimg01 富山で岡山県人と飲んでいるときだった。

「岡山……といえば桃太郎」

「はいはい。たいがいの人がまずきび団子ですね岡山といえば」

「あと、確かウランが採れるんだよね?人形峠だっけか」

「えええっ。あそこのウランって全国区だったんですかっ。わたし、地元民しか知らないものだと思ってました。」

「えーと、あ、そうだ!『八つ墓村』の舞台じゃなかったっけ。例の三十何人殺しってホントにあった話だったよね」

「うわー、そこに来ますか。そうなんです。あの事件の舞台って、わたしが住んでるところの近くです。」

あの事件……津山三十人殺しとはこんな事件だった。

昭和13年5月。鳥取県との境に近い岡山県苫田郡西加茂村大字行重(現・津山市加茂町行重)で行われた大量殺人事件。犯人は22才の青年、都井睦雄(といむつお)。

彼は綿密な計画を立ててわずか一時間半のあいだに30人を殺し、自殺した。背景にあったのは、肺結核だった都井に対する近郷の村民たちの蔑視、あるいは夜這いなどのセックスがからんだ愛憎と考えられた。

彼の準備に、狂気と同時に冷静さを見ることができる。都井は詰め襟の学生服を着て、足にはゲートルに足袋。頭に巻き付けた手ぬぐいに懐中電灯を二本さし、日本刀1、匕首2、猟銃をたずさえ、実弾100発を用意し、各戸を襲撃した。

「実はですね」と岡山の参加者。

「わたしの遠縁の人もそのとき津山にいたんですよ。でも、肺結核の親族がいたものだから、犯人のことを悪く言わなかったんですって。だから殺されずにすんだんだそうです」

おおおまさかそんな話が聞けるとは!

「で、戦時中に岡山に疎開していた横溝正史さんがこの話をもとに書いたのが『八つ墓村』ってわけです。」

ということで恒例のわからないシリーズ「八つ墓村篇」開始。その2につづきます

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「日本の原発、どこで間違えたのか」 内橋克人著 朝日新聞出版

2012-05-19 | 社会・経済

51vdglgvztl_2 三十年前に出た本の復刻。内容は古びるどころか、内橋の警鐘が3.11を経過した日本にきわめて有効であることがつくづく。

原発について、わたしたちがいかに知らないでいたか、あるいは嘘の情報を与えられていたかがくっきりと描いてある。箇条書きでちょっと整理してみましょう。実験段階の技術を強引に導入するなど、要するに最初っから間違っていたのである。

・電気事業連合会は経団連ビルのなかにある。

・放射線は自然界のなかにもあるので多少の被爆は影響ない→大嘘。人工の放射線の一部は体内で“濃縮”されるのであり、そのことが問題なのだった。

・原子力はコストが安い→恣意的な嘘。廃炉(ものすごく金と手間がかかる)、放射性廃棄物の処分が算定されていない。廃棄物にいたっては、まだ最終的に処理する技術が完成していない(トイレのないマンションに例えられている)。

・原発は安定して稼働できる発電の優等生→実際には稼働率が高くないと発電コストの高い劣等生。もちろん現在の稼働率は0%なので金を喰っているだけの存在。だから動かしたくて仕方がないわけだ。

・なぜ初期投資の大きい原発が国策としてとられてきたか→ほかの公共事業と同じように、いろんな業界がもうかるから。電力会社自身も総括原価方式をとっているので高コストの方がもうかる。

・原発は絶対安全→技術はトライアル&エラーで確立するのであり(実際、原発もそのようにして改善されてきた)、本気で絶対を信じている技術者がいるとすれば、よほどの楽天家か……

反原発運動に左翼がからむと電力会社はむしろほくそえむという記述には「やっぱりなー」と。その方が一般市民を分断できるからなのだ。だからわたしも声高ではなく、低い声で言い続けることにします。原発、割に合わないじゃないかと。

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明細書を見ろ!2012年5月号~へき地の“ポイント”

2012-05-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2012年4月号「事務連絡つるべ打ち」はこちら

今月はへき地手当を特集してみましょう。○中の職員は指をくわえて見ていること。

×島小中学校の職員には(わたしをのぞく)、以下のような算式でえられた手当が支給されています(くどいようですがわたしをのぞく)。

支給額=(給料の月額+教職調整額+扶養手当の月額)×支給割合

支給割合は以下のとおり。
Azumachizuruimg01_2
準級→2%

1級→4%

2級→6%

3級→8%

4級→10%

5級→12%

二年前まで×島は4級に該当していましたが、指定の見直しがあって現在は5級に格上げ。額面の12%が上乗せされる大きさはみなさん感じておられると思います。きっといちばん感じているのはこの春に島を離れた職員でしょう。

この手当は「へき地教育振興法」にもとづいて、教育の機会均等をめざしてへき地教育の水準を向上させるために存在しています。あまり知りたくはないでしょうがむかしはこの倍額出ていました。

では、この級地のランク付けはいったいどうやって決まるのでしょう。実はポイント制なのです。

まず、「基準点」として

・駅、停留所、船着き場、病院、高校、郵便局、市役所からの距離、そして船の月間航行回数をチェックします。遠ければ遠いほど、航行回数が少なければ少ないほどポイントは高くなります。

つづいて

・自然条件による交通機関の運休の状態などを勘案して「補正」

・ブロードバンドの状況、携帯電話の利用の可否、勤務する職員の数によって「調整」してポイントを通算します。

さきほどのにあてはめると

準級→35~44

1級→45~79

2級→80~119

3級→120~159

4級→160~199

5級→200以上

ですから×島は200ポイント以上を獲得したことになります。

もっとも、このポイントは流動的で、ほぼ6年に一回見直しがなされることになっていますので、「×島=5級」がいつまで続くかは微妙なところです。

離島の生活を考えれば級地が下がることが望ましいのですが、遠隔診療がどう判定されるものだか……

画像は、現在酒田で撮影中「温泉若おかみの殺人推理」うわーいかにも土曜ワイド。

2012年6月号~「期限付であること」につづく

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もっと撮影中~酒田って今。

2012-05-17 | まち歩き

Edoharumiimg01 どうやら酒田でいま起きているのは殺人事件だけではないようで、同僚の報告によればこの人まで登場。

「さっきドトールでコーヒー飲んでたら、目の前にエドはるみがいたの」

そりゃ、ちょっと驚くよな

どうやら山形ローカルの「旅の見聞録」ロケの途中だったらしい。

コーッ!って顔してた?」

「するわけないでしょ」どうもすみません。

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三國連太郎のことPART3~鶴田浩二

2012-05-16 | 芸能ネタ

Tsurutakojiimg01 渥美清篇はこちら

三國連太郎の、もうなにも怖くない暴露話はつづく。今回は鶴田浩二篇。

三國に「本日休診」の役を奪われたと感じた鶴田は

三國:鶴田くんは、それ以来道で会っても三年ぐらい口をききませんでした。

-ええっ、それはすごい話だ(笑)。

三國:鶴田くんが二階でお芝居をしているとき、僕は急いでいて、その辺に脱いである靴を踏んづけて二階にあがったことがあったんです。あとになって、「あの男は人の顔を土足で踏みつけやがって」と言っていたそうです。

鶴田浩二の三國に対する敵視は最後まで続き、鶴田の遺作となったNHKテレビドラマの『シャツの店』(脚本・山田太一、演出・深町幸男、1986年)で佐藤浩市と共演したとき、佐藤に向かって

「とんでもないおまえの親父に比べれば、おまえはまだちゃんとしているな」

と言ったという。

……鶴田浩二については丹波哲郎の号でもお伝えしたように、ほんとにむずかしい人だったようだ。誰一人として彼のことをフレンドリーに語る人がいないのである。

確かに、自らの戦時体験にこだわり、弱い男を演じようとしなかった彼は(だからこそ融通のきかない古臭い男を演じた「男たちの旅路」や「シャツの店」は名作たりえた)、つき合いにくかったろう。

Sasameyukiimg01 でもね、女優にたいしては違う側面があったようで、佐久間良子が日経で衝撃の告白をしている。22才の佐久間が14才上の鶴田浩二と出会い……

《「怖い…」というのが初対面の印象》

で、共演中も雑談にも応じてくれず、佐久間はノイローゼ気味だったという。ところが共演2作目の撮影中に突然、鶴田さんから「お茶でも飲まないか」とさわやかな笑顔で誘われる。

《今から思えば、これが「大人の恋の駆け引き」だったのかもしれない》

《私は「不倫」という言葉は好きではない。だがふたりはもはや誰も止めることができない「灼熱の恋」に駆り立てられていた》

恋愛関係は数年間続いたが、

《私の若い恋心は、湖に浮かぶ木の葉のように激しく揺れ動いていた》

やるなあ鶴田!っていうかそれ以前に、佐久間良子ももう怖いものはないんですね。画像に岸恵子が入っているのは偶然です。偶然ですとも。

次回は三船敏郎篇

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「永遠のヒロイン  ハリウッド大女優たちの愛と素顔」井上篤夫& NHK取材班 NHK出版

2012-05-15 | 芸能ネタ

Vivienleighimg01 ヴィヴィアン・リーはインドの血が入っていて、キャサリン・ヘップバーンは兄の自殺の第一発見者だった。マレーネ・ディートリッヒは母国ドイツへの愛憎に最後まで引き裂かれ、イングリット・バーグマンは誰よりも演ずることへの理屈を求めていた……知らないことばっかり。

4人ともびっくりするぐらいの恋愛で彩られている。もちろんそういうコンセプトで企画されたNHK-BSの番組が元ネタなので仕方がないのだろうが、やはり女優というのは、特に成功した女優というのは計り知れないほどの感情の総量があるのではないかと思いました。

世間的な意味でのハッピーエンドを迎えた女優は、なるほど数が少ないわけだと納得。
そう考えると、逆に原節子ってすごい。すごいすごい。

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「これはペンです」 円城塔著 新潮社

2012-05-15 | 本と雑誌

41ywfusi8cl_sl500_aa300_ 円城塔の名前は「本の雑誌」でおなじみのものだった。おそらくはSF評論家の大森望経由でエッセイの連載が始まったのだろうけれど、あの雑誌のなにが怖いかというと、原稿到着順に著者紹介がなされることなのだ。わたしが連載している雑誌でそんなことをやられた日には……

で、円城はそこでほとんど常にトップを飾っていたりする。原稿の質も高い。よほど書きたいことがたまっているか、〆切を守らないことが我慢できないのだろう。さすが、理系の人は違う。

さて、この「これはペンです」はSFがらみの人たちの間で大評判。芥川賞の候補にもなった。そうしたら

「十五年続けた選考委員を今回で辞する。最後にこういう作品に出会えたことを嬉しく思う」(池澤夏樹)

「私にとって最も切実な問題をはらんでいたのは、『これはペンです』だった」(小川洋子)

「各パラグラフにちりばめられたヒューモアには幾度となく微笑を誘われたので、二重丸をつけた」(島田雅彦)

と絶賛する審査員もいれば

「文章を使ったパズルゲイムに読者として付き合う余裕はどこにもない」(石原慎太郎)

「書き出しのたった十ページを読んだだけで眠くなり、全篇読了は難行苦行だった。要するに、つまらなかったのだ」(宮本輝)

……わははは。結果的に落選(次の回で受賞)したけれど、これはもう絶対に読みたくなるではないですか。

"叔父は文字だ。文字通り。 だからわたしは、叔父を記すための道具を探さなければならない"

……という書き出しはいかにもハードルが高いけれど、寅さんに代表される“難儀な家族”パターンに理系言語をのせた仕様はとても快適。へ理屈もここまでくると立派だと思えてくる。

オリジナリティとは何か、作品とは何かを読者に問いかけ、同時にいなしもする。併録された「良い夜を待っている」との連関も楽しい。こりゃ、面白いですよ。

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「マンガに人生を学んで何が悪い?」「マンガ学への挑戦」夏目房之介著

2012-05-13 | アニメ・コミック・ゲーム

51q5m8z78bl_sl500_aa300_ 確かに人生を学んで悪いことはない。でもわたしがマンガから学んだことといえば

・正しいお風呂の入り方(ドカベン

・熱があるとオシッコが黄色くなる(翔んだカップル)

・左手はそえるだけ(ご存じ

ぐらいか。

それにしてもわたしはいつの間にマンガから離れてしまったのだろう。昔はあんなに耽溺していたのに。「銀魂」すら追わなくなったのはなんでかなあ。

とりあえず、近年ドラマ化、映画化されるマンガの一種の周到さに、ついていけなくなったのは確か。

夏目センセイそのあたりはどうなんでしょう。メディアとしての習熟が、かえって読者を失わせているという側面もあるんじゃないでしょうか。お前が年をとっただけ、というのは重々承知しているんですけれども。

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「あんじゅう-三島屋変調百物語事続」宮部みゆき著 中央公論新社

2012-05-12 | 本と雑誌

412alejxr7l_sl500_aa300_ 前作「おそろし」特集はこちら

探偵が安楽椅子に座る理由は数々あれど、このシリーズにおけるおちかの有り様は絶妙。時代が彼女を座敷に縛り付けている。

宮部みゆきは本気で自分の小説のなかでトトロをやりたかったみたい。精霊と人間は相容れないとしても、幸福な思い出は残る。非常にけっこうでした。ラブコメぶりも加速しているので次作が楽しみです。

南伸坊のイラストのかわいさといったら……

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ドラマ撮影続行中~殺人の街酒田

2012-05-11 | まち歩き

Enkenimg01みちのく麺食い記者」につづき、萬田久子の「多摩湖畔殺人事件」が酒田で撮影開始とか。海向寺(即身仏=ミイラがあるところですよ)のロケがおとといの朝あったらしい。

知り合いが観に行ったら、萬田久子目当てだったのに遠藤憲一と小木茂光が出てきたんですって。男くさっ。それはそれでいいけどね。

「一応の推定」がWOWOW、「みちのく~」がテレビ東京、「多摩湖畔~」の前作はフジでリメイクはTBS。そして今度はサスペンスの老舗、テレビ朝日の土曜ワイド劇場枠「温泉若おかみの殺人推理」もロケ開始。やはり、殺人のメッカなんでしょうか酒田って。

温泉若おかみ?ってことは東ちづると岡田茉莉子の家庭内バトルが……そっちは萬国屋でやるのかなぁ。

いずれにしても、こしゃくな殺人が酒田でこれだけ行われているってことを言祝ぎたいですわね。文字どおりの連続殺人。残るはNHKと日テレかあ(笑)

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