事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2015年11月号 「え、“今年”は差額が出ないの?」

2015-11-18 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2015年10月号「標準報酬制」はこちら

ちょっと困ったことになりそうなので、今年の県人事委員会勧告の内容はあっさりいきます。

①民間との月例給(まあ、月給のことです)の格差は720円(0.19%)←民間の方が高い

②民間のボーナスは4.08月分(年)支給されているが、山形県職員は3.95月。

ということでそれぞれ

①各号給に一定の率を乗じた額に給料表を改定する

②勤勉手当の支給月数を0.15月分引き上げる

このように対応するよう県と議会に求めています。もっと具体的に言うと

①若手(特に期限付)は最大2400円、お年を召した人でも600円は給料を引き上げる。

②期末勤勉手当の支給月数を4.10月にする。

ということです。その影響から、去年と同じように『差額』とよばれるちょいとしたお金が年末に支給されるだろう、今年の12月県議会の本会議採択は12月22日(火)の予定だから、官報の公示は12月24日(木)、そうなると差額の支給は25日か28日になっちゃうなあ……と予想していたら、どうも雲行きがあやしい。国会の会期のせいなのです。

思い起こしてみましょう。今年の通常国会は1月26日から9月27日まで行われていました。これは戦後最長。要するに、あの安保法案を通すために思い切り長くしたのです。

本来であれば、秋に臨時国会が召集されて、そこで国家公務員の給与の改正が可決され、少し遅れて地方がそれにならうのが通例。ところが、現政権は臨時国会をどうしても開きたくない(理由は想像つきますよね。TPPや、女性の下着を盗んだと報道されている閣僚の問題でもめることが目に見えているからです)。となると、国家公務員の給与法の改正は12月の閣議で了承されてから動くしかなくなるということです。

「国がそうでも地方には関係ないだろ」

とは誰だって思います。しかしここで出てきたのが総務省。

「地方公務員法上、地方公務員の給与決定にあたっては民間事業の従業員の給与等とともに、国家公務員給与も考慮事項のひとつにされている」

ということで

「地方自治体における給与決定は、国の給与法改正の措置を待って行うべき」

なる“助言”を各自治体に発しているのです。いやなアドバイスもあったものだ。それでも年内に強引に実施に向かう自治体もあるようですが、さて山形はどうなるものだか……

画像は「グラスホッパー」
ジャニーズファン向けのアイドル映画とあなどっているとラストでしてやられます。原作の、伏線ばりばりな快感はないものの、浅野忠信と村上淳のやりとりだけでも一見の価値あり。現代日本で殺し屋をやっていくのはたいへんだ。 まきこまれ主人公の鈴木(生田斗真)は中学の教師。恋人(朝ドラで人気の波瑠)と調理室でそういうことをしてちゃだめだよ。学校事務職員が怒っちゃうよ。

2015年12月期末勤勉手当号「やっぱり今年は差額が出ないのか」につづく

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またまたミケランジェロ・プロジェクト

2015-11-17 | 洋画

PART2はこちら

美術関係にくわしければ、この映画はもっともっと楽しめたろう。クルーニー版のインディ・ジョーンズ的展開が待っています。

なぜヒトラーが美術品の収集にこだわったか。モニュメンツ・メンは考察する。彼が二度美術学校に落第していることが背景にあるのだろうと。そしてヒトラーが描いた絵が投影される。

「悪くないな」

「でも退屈だ」

痛烈な皮肉。

ヒトラーの収集癖には彼の好みが如実に反映していて、ミケランジェロやダ・ヴィンチはベルリンに送られるものの、ピカソやパウル・クレーはその場で焼き捨てられるのだ(笑)。

そして、ヒトラーの狂気は、もしも敗戦したときは、美術品をすべて破壊しろとするあたりにある。狂気というより、究極のマニア気質だろうか。

戦況はすでに残務整理に近い。でも戦闘はそこかしこで続いていて、モニュメンツ・メンも命を落としていく。ジョージ・クルーニーは、だからこそこの作戦の意義を再確認する。

「歴史は、生命の蓄積だ」

傲慢な意見かもしれない。しかし終戦後、失われた生命に見合う価値がこの作戦にはあったかと上官に問われたクルーニーは

「もちろん」

と答える。

「ミケランジェロ(の母子像)を守るために、命を失った兵士がいたことを、三十年後の人々はおぼえていると思うか」

という問いに、彼がどのように答えたかはぜひ映画館で確かめてほしい。このラストは泣けます。

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またミケランジェロ・プロジェクト

2015-11-16 | 洋画

PART1はこちら

ジョージ・クルーニーとマット・デイモンのコンビとくればオーシャンズ。しかもネタが、ナチスに奪われた美術品を奪い返す7人のわけあり兵士たちとくれば、軽妙なジョーク満載のコメディタッチ戦争映画ではないかと予想します。誰だってそう思いますよね。クルーニーはこれまでそんな作品をたくさん撮ってきたのだし。

おまけに原題がThe Monuments Men(モニュメンツ・メン=記念碑の男たち?)なのだからまるでThe Magnificent Seven(マグニフィセント・セブン=すんげー七人の野郎ども→「荒野の七人」)みたいじゃないですか。

ところがところが、この映画はもっとストレートに戦争の愚劣さを糾弾する作品だった。

戦争のまっ最中に、兵士の生命を犠牲にするかもしれないのに、ヨーロッパに残る美術品、歴史的建造物を護ろうとする志願兵。若者は払底しているので、もはやリタイア寸前の美術関係者がかり集められる。

言い方は悪いけれど、目的がくだらないからこそ、クルーニーはじいさん兵士たちを真摯に描いたのだと思う。でもキャストがキャストだからどうしたって味わいが出てくるのがいい。

孫のメッセージがレコードの形でキャンプに届けられ、その声にしゅんとしてしまうビル・マーレイのシーンがその代表。なにしろ彼はそのとき、将校専用のシャワールームにちゃっかり忍び込んでいたのだ。MASHロバート・アルトマン)ですか。

連合軍の勝利はほぼ確定しているが、ドイツ兵にも意地があるので戦闘はまだまだ至る所で。ノルマンディー(史上最大の作戦)、バルジ(バルジ大作戦)、レマゲン(レマゲン鉄橋)など、映画でおなじみの激戦地を老兵たちは進む。以下次号

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「ミケランジェロ・プロジェクト」 The Monuments Men (2014 FOX=SONY)

2015-11-15 | 洋画

『ミケランジェロ・プロジェクト』公開中止/払い戻しのお知らせ

お客様各位
この度、2014年秋に公開を予定しておりました20世紀FOX映画配給作品『ミケランジェロ・プロジェクト』ですが、諸般の事情により弊社による劇場公開が中止となりました。

すでにご購入いただいたムビチケオンライン/ムビチケカード(前売券)は、2014年9月30日(火)まで払い戻しをさせていただきます。

大変お手数をお掛け致しますが、劇場でムビチケカードをご購入になりましたお客様は、ご購入いただいたムビチケカードをご持参の上、ご購入いただきました劇場前売券売り場にお越しくださいますようお願い申し上げます。
                                                                                  20世紀FOX映画

……どうにも、よくわからない。前売券まで発売し、それなりのパブまでかましていながら、わざわざ公開中止にする理由は想像もつかない。ジョージ・クルーニー監督・主演にして共演がマット・デイモンケイト・ブランシェット。しかもジョン・グッドマンビル・マーレイが脇を固め、製作はFOXとSONYのメジャーが共同で。しかも全米興行収入もまずまずだったのに。

さすがにこれはちょっとおかしいだろ、とネットでも騒がれ、政治的圧力があったからではないかと陰謀説まで囁かれている。だったら、ということでB級作品を数多く配給してきたプレシディオが勝負をかけ、ほぼ一年遅れでようやく公開されたという次第。

で、見てきました。

んもう、これが公開中止ってありえないでしょ。さんざんこきおろす向きも多いようだけれど、不当に貶められているとしか思えない。すばらしい映画でした。ちゃんと、特集します。以下次号

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「グラスホッパー」 (2015 松竹=KADOKAWA)

2015-11-14 | 邦画

今年はそれにしても松竹の映画をたくさん観てるなあ。いちばんおいしい企画は東宝にまず持ちこまれる状態が長く続いているけれど、「ソロモンの偽証」「駆込み女と駆出し男」「日本のいちばん長い日」「天空の蜂」を堅調な興行に結びつけた実績は、松竹をなお活気づけさせることになるだろう。映画会社のカラーがきっちり出ているあたり、悪くない。

「グラスホッパー」も松竹(とKADOKAWA)。伊坂幸太郎の、あの原作(角川文庫。すばらしいのでぜひ!)を、なにしろ殺し屋のお話なのでPG-12な残虐描写をまじえながらデートムービーに仕立ててある。主役が生田斗真山田涼介なのでジャニーズファンを逃がすわけにはいかない。

原作とはキャラが少し変えてあって(というかストーリー自体もかなり変えてある)自殺屋の“鯨”が浅野忠信で、ナイフ使いの“蝉”が山田涼介。そして押し屋の“槿(あさがお)”が吉岡秀隆というひねったキャスティング。見せます。

ただし、悪党(石橋蓮司、菜々緒)の側にスケール感がないので、手練れの殺し屋たちのバトルロワイヤルに必然性がいまひとつ感じられないのは残念。

その分、原作にしつこいくらいに出てくる伝説のミュージシャン、ジャック・クリスピンの曲を、ジョン・スペンサーでやっちゃうあたりは映画の強み。

さて、ミステリ映画としてかなりの仕掛けがほどこしてある。主なものだけでも五つ。わたし、ふたつは途中で気づいたんだけど、あとはひっかけられました。原作読んでるのに(笑)。

続篇の「マリアビートル」こそが映画化にぴったりなので(なにしろ東北新幹線のなかの殺し合いですから)この作品にお客さんがもっと入ってくれるとうれしいかな。松竹もきっとうれしいと思います。

あ、主人公の婚約者(いまや朝ドラで人気沸騰の波瑠)は学校の給食調理員。生田斗真と調理室でそういうことをしていてはいけませんよ。学校事務職員に怒られちゃいますよ。

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極私的朝ドラ史PART28 梅ちゃん先生

2015-11-12 | テレビ番組

PART27「カーネーション」はこちら

朝ドラの好調はつづく。2012年前期は「梅ちゃん先生」。主演は堀北真希。脚本は尾崎将也。視聴率的にはのちの「あまちゃん」よりも上だった。

オーディションで選んだ女優よりも、この人!という感じでキャスティングされた方がどうしたってドラマとしては上になる。少なくとも演技力の保証はついているわけだから。「ALWAYS 三丁目の夕日」のロクちゃん役で見せた、青森県人よりもネイティブに聞こえる青森弁を駆使した堀北は、やはりただのタマではなかったことを証明した。

社会的地位の高い職業である医師と、下町の工員のラブストーリーを描くには、三浦友和と山口百恵の息子(三浦貴大)と区別のつかない(わたしにとっては、ですよ)妙に地味な青年が相手役というのは納得いかなかった。

でも妻は「この子はいいわあ」と絶賛状態。なるほど、ほどなくしてその新人俳優、松坂桃李はスターの座に昇りつめたのだった。

さすが「結婚できない男」の脚本家が書いただけあって、登場人物たちの恋愛はストレートに成就せず、第二候補第三候補と結ばれる展開が多い。実人生もそうかもしれないですね。視聴者たちも内心うなずいていたかも(不用意な発言)。

問題は次の「純と愛」だ。視聴率は急降下。「女王の教室」「家政婦のミタ」で大ブームをまき起こした脚本の遊川和彦は、従来の朝ドラとはまったく違うものを書いてもいいという条件付きでこのドラマを執筆。そのせいか多くの視聴者が離れて行ったし、実はわたしもそのひとりだった。

ホテルのお話なのに、客の前で主演の夏菜は大声で自己主張を始めるなど、どうにもドラマとして破綻しているようだったので。

それにしても、登場人物の多くがサイキックのような能力を持っている時点で客を裏切っている。さすが「予想は超えろ、期待は裏切るな」とする人ですね。

実はディープな朝ドラファンは「純と愛」をひたすら評価しているようで、なるほどよくわからない世界が朝には待っているのでした。吉田羊のブレイク作品でもある。

PART29「あまちゃん」につづく

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日本の警察 その80 「機龍警察 火宅」 月村了衛著 早川書房

2015-11-11 | 日本の警察

その79「やがて警官は微睡る」はこちら

今野敏の「隠蔽捜査」が短編集「自覚」でそれぞれの登場人物を掘り下げたように、機龍警察シリーズでおなじみの面々が、短篇という枠のなかでだけれどもクロースアップされてうれしい。

テロリストのライザが沖津にどうスカウトされたかが語られる「済度」。

堅物の宮近が、公務員としてきわどい行動をとるが、そのことで父親として復権する「勤行」。

前作「未亡旅団」で泣かせた由紀谷の壮絶な過去がありながら、なぜ警察官になったかを描く「沙弥」(今回も泣かせます)。

龍機兵の新兵器が電子レンジの応用なのがおかしい「焼相」。

どれもこれも面白い。隠蔽捜査の短篇はキャラしか描けなかったのに比して、こちらはきちんとミステリとしてツイストが効いています。もちろん、キャラもこちらの方が陰影が濃い。その分、とっつきは悪いですけどね。

その81「犬の掟」につづく

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明細書を見ろ!2015年年末調整号 「年末調整とマイナンバー」

2015-11-10 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2014年版はこちら

さあ年末調整の季節。実は今年もやり方自体はこれまでとほとんど変わりません。でも、来年分の扶養控除申告書を見れば、その違いは一目瞭然。マイナンバーを記入する欄がもうけられているのです。

先日のマイナンバー特集号で予告したように、本来であればここに番号を記入してもらうルール。ところが、個人情報保護とのからみもあって(だと予想します)、通知あるまで番号の収集をしないようにと連絡が入っています。職員からマイナンバーを集めるルール自体が確立していないのでしょう。なによりまだ全員に書留が届いていないし(届きましたか?)。

来年の年末調整までに間に合えばいいやと思いがちですが、年の途中で退職する場合など(たとえば期限付職員)かならず必要になるのに。

本校の事務職員は無責任なので、“たまたまマイナンバーを記載していても”わたしは怒りませんよ。たまたま書いてあるとうれしいような気もするなあ。ということで例によってやってもらうのは

◆去年記入した平成27年分扶養控除申告書の内容をチェックする。

◆平成27年分保険料控除申告書を記入する(証明書を忘れずに)。

◆住宅ローンがある人は、住宅借入金控除申告書を記入する。

◆平成28年分扶養控除申告書を記入する(マイナンバーは書かなくてもいい)。

例によってわからなくなったら事務室へ(×島の方々は電話を)。11月25日(木)まで、事務室にお願いします。

画像は「バクマン。」
脚本監督:大根仁  主演:佐藤健、神木隆之介
ふつうの高校生が少年ジャンプで連載を持ち、はたしてアンケートでトップをとれるかの物語。すばらしい作品でした。にしても近ごろの高校生はしっかりしてるなあ。「1、2の三四郎」などで知られる小林まことなんか、印税という存在すら知らなかったんですよ。

2016年版「年末調整とマイナンバー」につづく

コメント (4)
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「百歳までの読書術」 津野海太郎著 本の雑誌社

2015-11-09 | 本と雑誌

「映画の中、舞台の上だけでなく、日常生活のうちにも老人演技はある。わたしは緒形拳山崎努と同世代だが、もうおやじや祖父たちのようにはうまく齢がとれない。毎日のようにそう感じている。苦しまぎれに先人の老人演技をまねてみたところで、そらぞらしく、コッケイになるだけ。ひとよりさきに、じぶんでじぶんを笑ってしまう。そんなこと、おやじたちは思ってもいなかったろう。」

まことに、もっともな話だと思う。わたしは五十代だけれど、波平さんよりも年長なのだから庭で盆栽でもいじっていようかとは、現代ではまわりも許さないしわたしも想像できない。年をとるとはどんなことかと考える時間だけは(長寿な時代だから)ふんだんにあるのだけれど。

作者の津野海太郎(つのかいたろう)さんのことはよくわからない。「本の雑誌」連載中は、確かにこの人は晶文社の編集者なのにどうして演劇の演出やプロデュースをやっているのかと首をかしげながら読んでました。どのような形で晶文社を離れたかもうっすらとしか書かれえていないので、やはり謎の人。文章の切れだけはお年寄りのものとはやはり思えないのですが。

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「大泉エッセイ」 大泉洋著 メディアファクトリー

2015-11-08 | 芸能ネタ

びっくりした。この人、筆も立つんだ。

本を読んで声をあげて笑うなんて久しぶり。普通の家庭に育った彼の、その家族話でこれだけ笑わせるのだから並みの才能じゃない。特にファンキーなじいさんネタは抱腹絶倒。だからじいさんの死にショックをうけている回はこちらも泣けてくる。

実は大泉洋とは度外れたバランス感覚とサービス精神の持ち主であることがよく理解できる。だからこそ、あの悪態がむしろ愛されるのだなと知れる。

「水曜どうでしょう」を意外なほど冷静に分析していて、しかもその分析がとても納得できることにも驚く。カメラが人物を追わないからこそ、視聴者は感情移入できると。なるほどなあ。

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