保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

川も凍ってます。

2005-02-03 17:33:41 | 船頭
今日も本当に寒い一日になりましたね。
私の住む京都・亀岡でも朝から雪が降り積もりました。

こんな日は保津川下りの船が係留してある
左岸側の溜まりもしっかり凍ります。

船を準備する為、係留してある船に乗り込むと
まずする事、それは船周辺の氷を棹で割ることからです。

船の周りに棹を突きたて、何箇所も穴をあけ氷を
砕き、船が動けるようにするのです。

船は舳先を岸側に向けて留めてあるので、正面に向けるには
一度、後ろ向けに出てバックしなくてはなりません。
氷が張っていると、平面状になっている後部からの
バックしてもまったく動きません。
そのため、何箇所も穴を空け、氷面ではなく水面を
つくるのです。

船を正面に向けられれば、あとは前進あるのみ!

氷が張っている溜まりの中を、船を進めることで割って行くのです。
その間、約100メートル。
まるで南極観測船になった気分です。

船が進む度に、水面の氷が「バリ、バリ」と音をたてます。

もちろんこの船を進めているのは全て船頭の手動です。
氷の圧力はかなりのもので、進めるのにも相当の力がいります。
乗り込んだ時は寒さで震えていた体も、乗船場に船を
つける時には汗が出てポカポカしてきます。

ウォーミングアップとしてはきつ過ぎるくらいです。

氷点下を超える日の川仕事は本当に大変です。
冷凍庫のような寒さの渓谷地の中も本当に寒いです。
そこでも船頭は全て船室外での仕事です。

でも、凛とした寒さの中、渓谷の雪景色は
昨日も書いたように最高です。

水墨画の世界にいるような幻想的な世界。
静まりかえった空間に響くのは船を漕ぐ櫂の音だけ。

この瞬間、きつく辛い寒さも癒され、心に暖かい火が
灯るのを感じます。

やはり自然は最高の芸術家です。
最高の芸術を鑑賞できる船頭の仕事、やっぱりやめられません!