最近、長らく入手したかった魚を何種か購入することができた。この魚もそのうちの一種。ヨゴレアオダイという。
見た目はアオダイに似ているが、体色がやや黒っぽいのが特徴だ。分布域は広く、わが国では主に鹿児島県以南、琉球列島、小笠原諸島に分布。海外では紅海・東アフリカからマルケサス諸島、ピトケアンまで見られるという。なお本種のタイプ産地は沖縄島のもので、1962年に阿部宗明博士らにより新種記載された。記載論文の終わりにはカラー写真が掲載されているが、当時のカラー写真の雰囲気が好きである。
島嶼域のやや深い岩礁域で見られる種であり、釣りなどによって漁獲される。今回の個体は吐噶喇列島産、そんな場所があるのだろう。オオヒメやアオダイなどと一緒に漁獲される魚である。
ヨゴレアオダイとアオダイは鰭の色彩でも見分けることができる。ヨゴレアオダイの鰭は赤みを帯びている。尾鰭のほか、背鰭、臀鰭、胸鰭、腹鰭の各鰭が赤い。
こちらはアオダイ。この属は日本には5種生息する。アオダイはヨゴレアオダイに似ているが、鰭の色が明るく、体のブルーが非常に美しい種類である。味も非常に美味しい種類であり、けっこう高価な魚でもある。シマアオダイやヤンバルシマアオダイも食べていて写真も撮影しているが、唯一ウメイロはまだきれいな写真が撮れていない。青い色があせやすいようなのだ。
なおヨゴレアオダイに近いものにParacaesio brevidentataというのがいる。インドネシア産とのことでなかなかお目に罹れないが、上顎骨の鱗の有無や頬の鱗などにちがいがあるようだ。
ヨゴレアオダイもアオダイ同様食用魚として扱われる。脂がよくのり、身も美しく、味もかなり美味しい。
今回の個体も鹿児島の田中水産 田中積さんより。いつもありがとうございます。