魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ミノカサゴ

2022年11月25日 19時34分35秒 | 魚紹介

今日は昨日のタテジマヤッコ属の別種のことを書こうと思ったが、別の魚をご紹介したい。スズキ目・フサカサゴ科・ミノカサゴ属のミノカサゴ。

ミノカサゴは熱帯性というイメージがあるが、本種は北海道南部~種子島・屋久島近海に見られる種類で、熱帯性ではなく温帯性の種といえる。むしろ沖縄ではほとんど見られないようだ。ただし台湾にはいて、インドネシアにも見られる。ほか朝鮮半島、広東省、海南島、オーストラリアなどにも分布している。ただオーストラリアミュージアムのミノカサゴの写真、いずれも伊豆半島で撮影された写真なんだよなあ。

ミノカサゴの胸鰭は非常に大きく優雅である。この胸鰭の軟条が分岐していないのがミノカサゴ属の特徴で、以前このぶろぐでもご紹介しているキリンミノなどはこの胸鰭の軟条のうち、上方のものが分岐する。体側には明瞭な暗色の横帯があり、これもミノカサゴ属のほとんどの種がもつ特徴である。ミノカサゴはハナミノカサゴに酷似しているが、背鰭軟条部・臀鰭軟条部・尾鰭の黒色斑は数が少ないかない、胸部に目立つ模様がないなどの点で見分けることができる。

ミノカサゴは食用になり、刺身・唐揚げ・焼き物など色々食べたがいずれも美味である。宇和島ではミノカサゴはだいたい「きみおこぜ」という名前で販売されているが、標準和名でキミオコゼという種もいるので一応注意。今回のこのミノカサゴは種子島・屋久島近海産で沖合底曳網漁業により漁獲されたもの。浅い海に生息する種というイメージが強いミノカサゴなのだが、案外深い場所にも生息しているようだ。有限会社昭和水産 海幸丸のみなさんより。ありがとうございます。

さて、なぜ今日突然にミノカサゴのことを書こうと思ったのか。それはこの間「もやっとくる」文章を見てしまったからである。

「ミノカサゴは背鰭・胸鰭・臀鰭に強力な毒腺を備えています」

という文章が書かれていた。

この文章のどこがおかしいのかはもうこのぶろぐの読者には説明するまでもないだろう。魚の鰭の棘は普通、背鰭、腹鰭、臀鰭にある。胸鰭はほとんどの分類群で軟条からなるが、コイ目など一部の骨鰾類では胸鰭に「棘状軟条」と呼ばれる、棘のようになった鰭条がある。棘条とは異なり、節があるのでこの名前で呼ばれるよう。ナマズやギギなどのナマズ目魚類の胸鰭にも同様の棘があるが、これは節がなく棘条として扱われているものの、棘条軟条に近いらしい。なお、ゴンズイなどはこの胸鰭棘に毒をもつようだが、胸鰭棘に毒を有するのはナマズ目の魚くらいであろう。

一方Youtubeでは「ブライトサイド」や「ゆっくり系の動画」でミノカサゴを紹介している酷い動画を見ることができた。この動画では「ミノカサゴの背びれ・腹ビレ・尾びれなど(略)毒を隠し持っているのよ」などと書かれている。まず「びれ」「ビレ」について漢字を使うか、せめてどちらかに統一してほしい。真の父母様マンセー!でも実際にツッこむべきなのは棘条のない尾鰭にどうやって毒棘を隠し持っているのだろうか。もっともほかのいわゆる「低品質図鑑サイト」にも、ミノカサゴの尾鰭に毒棘がある旨が書かれているサイトが多いのでしかたがないのかもしれない。さらにミノカサゴを紹介しているなかでハナミノカサゴを紹介している動画があったが、これについては突っ込めばキリがない...。というかゆっくり動画は収益剥奪するんじゃなかったのかい、Youtubeさんよお...。私の画像また勝手に使われているし。

最近は「日本の低品質サイト」と、「海外の低品質サイト」の二つについて比べてみたら面白い傾向があることが分かった。これについても近日中に記事にしたい。というか昨日のタテジマヤッコ属のことといい、「書く」といって忘れてしまうことも多いので、もし1か月たっても書けていない場合はコメントよろしく。


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