魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

トゲクシスミクイウオ

2022年10月30日 23時12分40秒 | 魚紹介

今日は10年くらい前にいただいた魚をご紹介。スズキ目・クシスミクイウオ科・クシスミクイウオ属のトゲクシスミクイウオ。

トゲクシスミクイウオを含むクシスミクイウオ科の魚がこの「魚のぶろぐ」に登場するのは今回が初めてである。この個体については以前記事にしたものとおもっていたのだが、実際にはしていなかったようである。ちなみに名前に「スミクイウオ」とあるのだが、スミクイウオ(ホタルジャコ科スミクイウオ亜科、またはスミクイウオ科)とは関係がないようである。

トゲクシスミクイウオは青森県から土佐湾までの太平洋岸、東シナ海、九州-パラオ海嶺、ハワイ諸島などに分布し、この個体は東北地方太平洋岸沖産の個体。水深500mくらいの深さの場所に生息している。そのくらいの深さに対応できるようにか、体の色はスミを塗ったように真っ黒である。発光する生物を食しても、光が漏れて自らがより大きな生き物に狙われるリスクは減るだろう。鱗ははがれにくく、より浅い場所で漁獲されても鱗がはがれていることが多いスミクイウオとことなり、底曳網によって漁獲され、船上にあげられても鱗がびっしり。鱗には小棘があり、ざらっとしている。

クシスミクイウオ科は2属、9種あまりが知られている。そのうちクシスミクイウオ属の魚は7種。日本にはトゲクシスミクイウオ、ナミトゲスミクイウオ、クシスミクイウオの3種類が知られているが、いずれも深海性のようである。ナミトゲスミクイウオは昼間は1500~2700mくらいの深さで群れているというが、夜間にはそれよりも浅い場所で獲れるらしい。ほかの種も同様に浅いところから深いところまで、餌を追いかけ移動しているのかもしれない。

トゲクシスミクイウオはほかの日本産クシスミクイウオ属の2種と比べると、側線有孔鱗数が33~39であること、下鰓蓋に1本ある棘はほかの2種と比べて強いことなどにより見分けることができる。一方日本に生息するクシスミクイウオ科のもうひとつのグループであるトゲスミクイウオ属のトゲスミクイウオでは、側線有孔鱗数が27~32とやや少なく、下鰓蓋骨には2本の棘がある、鱗がはがれやすいなどの特徴が異なっている。クシスミクイウオ科の魚は、「ヘンテコ深海魚便」のおかげでまだ出会う機会があるといえるが、漁獲される数は少なく珍しい部類に入る。そのため食用にされるという話もほとんど聞かない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハラビロカマキリ | トップ | トゲスミクイウオ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

魚紹介」カテゴリの最新記事