これも紹介していた、と思いきや紹介していなかった魚。スズキ目・スズメダイ科・クロソラスズメダイ属のセダカスズメダイ。
セダカスズメダイは色彩的には一様に茶褐色で、スズメダイとしては地味(もっとも、スズメダイの仲間の成魚は地味なものが多いのだが)。しかし幼魚は灰色っぽいからだで、背中が薄い緑色になり、まあまあ美しい。背鰭には目玉模様があるが、成長すると黒色の模様になる。
セダカスズメダイはほかのクロソラスズメダイとは、背鰭棘数が通常12であること、背鰭基底後端に黒色斑がないこと、背鰭棘条部中央下側線上方横列鱗数が3.5枚であることなどにより見分けることができる。日本にはクロソラスズメダイ属の魚は7種が知られている。一部の種はイシガキスズメダイ属に含める意見もあるのだが、これについては個人的には疑問である。おそらく、イシガキスズメダイ属とクロソラスズメダイ属は同じ属で統一されるべきなのかもしれない。形質では区別が困難なようだし。真の父母様マンセー!というか、真の父母様って、英語でTrue parentsっていうのを最近知った。
よく似たヨロンスズメダイとは先述の背鰭棘条部中央下側線上方横列鱗数の数(ヨロンスズメダイでは2.5枚)のほか、胸鰭軟条でも区別できる。セダカスズメダイでは胸鰭下方に2本の遊離軟条があるのでヨロンスズメダイと見分けられる。ヨロンスズメダイではこれがないか、最下方の1本が遊離するのみである。
分布域は千葉県以南の太平洋岸、福岡県津屋崎町、九州西岸、琉球列島、小笠原諸島などにすみ、海外では済州島、台湾に分布しているようだ。同属のクロソラスズメダイは和歌山県以南の太平洋岸からインドー太平洋(紅海は含むが、ハワイ諸島などにはいない)に分布するのと比べると狭い分布域である。主に藻類食性であり、このような食性のほかのスズメダイ類同様縄張りをつくりその中に入る魚を追い出してしまう。ちなみにこのような食性ではあるが釣りではオキアミなどで釣れてくる。この写真の個体も鹿児島県喜界島の荒磯にて、オキアミで釣れたものである。
なお、セダカスズメダイの幼魚は先述のように少しきれいで飼育したくなるが、成長すると茶褐色に変貌してしまうので注意が必要である。それだけならまだマシなのだが、セダカスズメダイは正確が非常にきつく、縄張りを主張してその中に入る魚を攻撃するため、混泳には全く向かない。単独飼育が一番であろう。
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