今日のフィリピン魚は、イソギンポ科の Deceiver fangbelly、Petroscirtes fallax Smith-Vanizです。
一見、ニジギンポそっくり、どこからどう見たらニジギンポでないように見えるのか、ということですが、生鮮時の色は黄色っぽく、確かに違うものだと感じさせます。
Deceiver fangbelly、意味は、詐欺師の牙、ベリーというのはよくわからないですがオーストラリアではfangbellyを使っているよう。腹をキャッチ、という意味でしたが、腹から獲物に食らいつくのでしょうか、それともブレニーのなまりなのか。他の地域ではfangblenny というコモンネーム、あるいはsabretooth blenny というコモンネームを使っていたりします。サーベルというのは巨大な剣、いずれにせよコモンネームはその巨大な牙に因むものがおおいようでした。漢字名は詐跳岩鳚となっており、跳岩は、学名の属名に由来しているようです。
ではなぜ詐欺師なのでしょう。
模様や斑紋がよく似たヒゲニジギンポMeiacanthus grammistes (Valenciennes)という魚。これはイソギンポ科の別属 (ヒゲニジギンポ属) の魚です。この魚は牙に毒腺があるとも言われており、取扱いには注意が必要な種類とされます。そして、Deceiver fangbellyはこのヒゲニジギンポに擬態しているようなのです。このほか、同じヒゲニジギンポ属のオウゴンニジギンポと、テンクロスジギンポ属のイナセギンポという魚の模様が似ています。テンクロスジギンポ属は世界に11種類ほどいますが、イナセギンポのほかにもヒゲニジギンポ属に擬態するものが他にもいます。
もちろんコモンネームに「牙」の文字が入っていますので、本種が安全でおとなしい種類ではないのは確かです。ニジギンポと同じハタタテギンポ属の一員、ですから下顎には巨大な牙があります。本種については毒性は触れられていませんが、やはり取扱いには注意するべきでしょう。
牙があるからですかね?
まだ石垣ですよ。火曜日の飛行機で千葉に帰ります。
お土産期待していいですかね(笑)お時間ありましたらマングローブも楽しいですよ