10年ぶりくらいにカクレウオ科の魚をアップ。この魚はオニカクレウオという種類。底曳網で漁獲されたがかなり珍しい魚である。カクレウオ科はアシロ目に含まれ、見た目はアシロ科の魚のように見えるが、肛門が胸鰭の下(もしくはそれよりも前方)にあったりするところが異なる。また腹鰭をもたないのも特徴のようだ。
本種もシモフリカクレウオ同様に鋭い牙を有している。ワラスボほどではないが、本種もなかなか怖い魚である。ただしカクレウオの仲間はすべてこのような牙を持つというわけではなく、絨毛状の歯をもっているようなものもいる。いずれにせよカクレウオを採集したら、重要な同定ポイントである口の牙をしっかり観察したいところである。
カクレウオ科の魚は世界の暖かい海に生息し、ナマコやヒトデなどの棘皮動物や二枚貝類などを宿主とし、その中に生息している魚というイメージが強いものの、本種は自由生活をしているようだ。水深150~350mほどの海底に生息し、底曳網などで漁獲されるがあまり多いものではないという。日本産オニカクレウオ属は2種からなり、もう1種のバケオニカクレウオは背鰭と臀鰭の縁辺が明瞭に黒いこと(オニカクレウオでは後方のみわずかに黒くなる)、胸鰭軟条数がオニカクレウオよりも少ないのが特徴。オニカクレウオは相模湾、熊野灘、土佐湾からインドー太平洋に生息する。一方バケオニカクレウオは日本では土佐湾などからしか報告されていないようだ。
カクレウオ科の魚はめったなことでは食用にされることはない。しかし唐揚げにすると美味しく食べられる。全長25cmほどと、それなりに大きくなったものであれば食べやすくて味もよい。今回のオニカクレウオは「ヘンテコ深海魚便」青山沙織さんより。いつもありがとうございます。
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