いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

五百旗頭真

2005年02月20日 16時02分49秒 | 日本事情

五百旗頭(いおきべ)真センセである。

敗戦後日本がマッカーサーから精神年齢12才と罵倒された史実を受けて、

そんな日本人も成熟した面もありました。

当時日本に最大の脅威の国はどこでしたか?米国です。その米国と同盟を結んだことはすばらしかった。

そこで、現在の最大の脅威はどこですか?中国です。

だから、中国とうまくやりましょう!


と主張。

まずは最大の脅威が中国かどうかともかく、なぜなら北朝鮮があるから、日本に脅威を与える国と誼を通じなければならないという論理を適用すると、日本と北朝鮮の関係改善がうまくいかないのは、北朝鮮の日本への脅威の与え方が不足しているからだ、ということになる。同じことはロシアにも言える。

■そもそも五百旗頭の間違いの根本は戦後のサンフランシスコ体制を評価していることである。交戦権をもたず、軍隊ももたない「国」と、普通の国の間に同盟関係など原理的に成り立たない。戦場でともに戦う軍隊をもつ国どうしが契約するのが同盟関係である。

そんな原理を無視して、日米は同盟関係であるなどと欺瞞しているのが日本の「保守」学者、「保守」政治家である。日米安保条約は、軍事同盟関係条約でなく、被保護国安全保障条約と認識するのが正しい。

日本が外国と同盟を締結するのは合理的であるが、それなら交戦権と軍隊の設置は不可欠である。

■五百旗頭の戦後認識は、例えば『日本の近代6 戦争・占領・講和』中央公論新社, 2001年,に記されている。この本は、とかく終戦を境に戦後史と戦前史を裁断してしまい、別個に語る通史がほとんどすべてあるなか、開戦から講和、そして戦後体制の確立を見通そうとしている点が優れている。さて、戦後体制認識であるが、軽武装経済重視路線と親米路線が自由貿易体制を実現したと認識。その結果1990年代に露になった問題点として、「軽武装・通商国家として豊かな果実を手にした戦後日本であるが、何か大事なものが欠けていたように思われる。」と五百旗頭は書いている。ちょっと悠長すぎないか?

それに、軽武装であったことと戦後復興、高度経済成長が経済的因果関係があったことが論証ぬきで広まっている。軍事ケインズ主義というのもあり、再軍備・軍需産業振興・経済発展という路線もある。軽武装=主権放棄・交戦権放棄が「豊かな果実」をもたらしたというのは「神話」である。

また、「豊かな果実」も疑わしい。従来の産業は空洞化し、日本人は働き口を探すのがたいへんだ。先祖伝来の農業や商売をしていれば、サ講和時の農業人口は4-5割ではないかな、持続可能性の高い社会が日本に継続していたことになる。貧乏だけど。こういうことを保守的というのではないだろうか?


■なぜ中国や北朝鮮、あるいは北方領土を占拠しているロシアが日本を挑発、あわよくば何かを分捕ろうとするのでしょうか?それは日本が米国の分捕りを容認しているからです。中国やロシヤや、北朝鮮でさえ主観的には自分たちは戦勝国だと思っています。だから、日本からなにか分捕ったり、土下座させて当然だと思っています。そんな状況で日本は戦勝国米国にのみ沖縄、東京(横須賀、横田)を好きにさせています。日本が自分のものは自分のものだときちんと自己管理できるようにならないかぎり、日本にからんでくる有象無象を防ぐことはできません。