いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

【悲報】 質の低い日本科学技術; 特亜並み、いやむしろ中国に抜かれる

2014年03月05日 18時20分11秒 | 日本事情

― 相互に無関係な要素をたくさん集め、シェーカーに入れて振ってみても、とても物理・化学 というカクテルがつくれるわけはない。物理・化学の形成という問題を大雑把に考えただけでも、広い世界のなかで、また長い歴史のなかで、この学問は、ロンドン、ベルリン、ウイーン、パリを結ぶ小さな四角形のなかだけで創造され確立されたのだ、というきわめて明らかな事実がはっきりしてくる。
オルテガ、『大衆の反逆』、第一部、9 原始性と技術


         - 日本経済新聞 2014/3/3の紙面より -

今週、月曜日の日本経済新聞に主要各国のイノベーション:科学技術力の比較がデータを基に比較されていた。

(Global data map グローバルデータマップ、技術革新の熱源広がる。 論文・研究費、アジアも台頭)

要旨は、主要国(日本、中国、米国、ドイツ、英国、韓国)の科学技術の開発の取り組みの具合を5つの指標を基に総合点を算出した。5つの指標とは、①研究費(民間)、②研究費(政府)、③特許出願数、④論文数、⑤引用回数の多い論文数。

5つの指標を基にした総合点(各指標での日本の値を100と規格化した場合)は、日本は当然500、中国 697、米国2014、ドイツ 513、英国 435、韓国 219であった。

このイノベーション実現能力という指標では、米国がぶっちぎりの1位、そしてGDPの世界順位と同じく中国は2位、そしてGDPの世界順位と違って3位はドイツであり、日本は4位であった。

科学技術を発展させる力に基づくイノベーション実現能力は、第1次近似的に国力、端的にいってGDPに比例するものであろう。なぜなら、科学技術を発展させるには資金と人材が必要である。研究開発費はGDPが高い国、すなわち「豊かな国」が費用をたくさん支出できる。そして、科学技術を発展させる人材もこれまた「豊かな国」に多いと推定できる。

したがって、GDPが大きい国がイノベーション大国になるように思われる。中国が世界第2位のイノベーション大国とこの報道で認められたことはそういう事情が原因だ。要はカネとヒトの量の問題だ。

一方、質の点から見てみよう。すなわち、科学技術を発展させるための資源(研究費+研究人材)は、その国力(財政=GDP、人材∝人口)に左右される。国力が大きいと科学技術が大きくなったようにみえる。ただしこれでは、GDPは世界で御三家ではないが、質の高い科学技術力をもつを国を見逃すことになる。

なので、本ブログ記事では、各国のGDPを考慮して、再考察してみょう。

どういう点を考察するかというと各国の科学の質の評価である。例えば、この日本経済新聞の5つの指標を基に総合点を算出した記事では5つの指標の中に特許出願数を入れいている。各国の科学の質の評価にはほとんど関係ないと、おいらは思う。なぜなら、その指標である特許出願数は出願しただけの特許であり、権利成立特許ではない。そもそも特許出願は勝手であり、意地悪な言い方をすれば、カネさえあればいくらでも出せる。事実、日本や、そして中国の特許出願数が多いのは企業の事業戦略と関連した特許戦略などがなく、現場の技術開発者が場当たり的にたくさん出すのであろう。昔ながらの数を指定するノルマ制も日本のメーカーではまだある。昔はすごいあった。それらの特許は質が低い。くそ特許問題。

そして、論文。論文は一応査読制度というものがあるから少しは質の担保ができる。日本経済新聞の5つの指標のひとつに入っている;論文数。しかしながらここ20年あまりの学術ジャーナルの爆発的増加と出版論文数の増加は質の低い論文の跋扈をもたらした。くそ論文激増問題。参考愚記事:なんと掲載論文の2割の被引用回数が5年間ゼロである。

それらの質が必ずしも担保されていない論文から、優れた論文を選別するひとつの方法がより多く引用される論文を数えることである。5つの指標のひとつに入っている;引用回数の多い論文数。

それらの指標においらは各国のGDPを入れてみた。表1。

表1、主要5か国のGDPと論文出版数

まず、GDPの世界での順位は; 米国→中国→日本→ドイツ→英国→韓国である。そして、政府支出の研究費(公的研究費)の多い国はほぼGDPの順位と同じであるが、韓国と英国が逆転する。すなわち、韓国そのGDPの割には政府支出の研究費が大きい。さらに、各国のGDPに対する公的研究費の比率を見ると、韓国→米国→ドイツ→中国→英国→日本である、つまり、日本での公的研究は日本の世界第3位のGDPにしては低い。

一方、論文数。表1の項目番号の5の「論文数」を見ていただきたい。これは上記のごとく質の低い「くそ論文」も含むのではあるが、世界順位は米国→中国→英国→ドイツ→日本→韓国である。日本は数の点でもビリから2番目である。そして、費用対効果=コストパフォーマンスを見る。表1の項目番号8:公的研究費/論文数。例えば日本は4211万円である。つまり、1本の論文が出るのに公的研究費を4211万円使っているという計算結果である。一方、最低の英国は論文1本出すのに1647万円。おもしろいことに米国が論文1本4887万円。一番コストパフォーマンスが悪い。これで日本は世界で2番目に論文1本出すコストがかかることになり、ビリは免れた。

そして、質。科学の質は上記データの中の指標では「引用回数の多い論文数」である。表1の項目番号4。世界順位:米国→英国→ドイツ→中国→日本→韓国。質の高い論文を出す国は、欧米に偏じている。中国は世界で2番目に論文を出版する国になったが、「引用回数の多い論文」を出版する点でいうと世界4位である。そして、驚くべきことは、「引用回数の多い論文数」において中国は日本に勝っている。

論文はたくさん出すが質は低いという中国への偏見をもっている日本人研究者も多いのではないだろうか。その点を確かめるため、出版された論文数に対する「引用回数の多い論文数」の比率を計算してみた。表1の項目番号9。日本は88、中国は83。かろうじて、日本の方が「くそ論文」の比率は低いのだ。なお、韓国は71である。

一方、東亜をよそめに、欧米はこの全論文に対する高質論文の比率が178から202であり、圧倒的に高品質である。

東亜(日本、中国、韓国)は71~88。 欧米(米国、ドイツ、英国)は178~202である。東亜科学の欧米科学に対する質の低さが歴然としている。

それにしても、すごいな独英。 オルテガせんせいの言うとおりだ。

この学問は、ロン ドン、ベルリン、ウイーン、パリを結ぶ小さな四角形のなかだけで創造され確立されたのだ

そして、高品質科学のためのコストパフォーマンス;

質の高い論文を出すためのコストに関して、例えば日本では1兆円公的資金出して質の高い論文は210報出版される(表1の項目番号6)。それに対し、英国では1兆円公的資金を出すと1225報の質の高い論文が出るのだ。ドイツでは1兆円で528報。すごいな独英。やはり、オルテガせんせいの言うとおりだ。

米国では378。もちろんより日本より高いがダブルスコアではない。一方、中国では1兆円の公的資金で234報の質の高い論文が出るのだ。日本より質の高い論文を出版するコストパフォーマンスがいいのだ。

 表1' 上記で言及、指摘した部分を強調;

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