菅内閣の支持率が急落している。いつもの通りマスコミが政権批判に躍起になっていることもあるが、それ以上に、強力な経済対策を打たないことに国民が痺れを切らしているのだろう。雇用が悪化しているようななかで、総選挙を行えば、敗北するのは必至である。日本を取り巻く国際情勢が厳しくなっており、ここで日本の政治が不安定になれば、中共を喜ばせるだけである▼手っ取り早く今すぐできるのは、国民一人当たり10万円の定額給付金の再交付である。政府が小切手を発行することを高橋洋一氏が主張しているが、それだと地方自治体の手を煩わすこともない。住民台帳を用いなくても、国が持っている「ねんきん宅急便」の宛名を利用すればいいのである。本人確認などは、免許書や健康保険証があれば十分である。間違って発送されても、本人でなければ受け取ることはできず、全く問題はない。年末年始の金がかかるときのタイミングを狙えば、かなりの効果があるはずだ▼「財政負担が大きくなる」との財務省の批判には、高橋氏は「国債が増えても日銀が買うんだから、財政負担は増えない」と反論をしている。菅内閣の命運はそれが実行できるかどうかにかかっている。財務省の役人の言いなりになるのではなく、高橋氏の提案に耳を傾けるべきなのである。
昨日のNHKの番組に出演した中西経団連会長の発言にはガッカリした。サプライチェーンの見直しを一応は認めつつも、中共とこれまで同様の付き合いをすることの大切さを説いていたからだ。マスクが足りなくなったのは、日本でつくっていなかったからであり、相手国の都合でストップしてしまうのである。生産拠点を日本国内に移すことは、安全保障上も絶対に必要である▼中共で作ることに未だにこだわっているのは、ズブズブの関係であるからだろう。いくらマーケットとして大きな市場ではあっても、それに目がくらんでいては、中共と対決姿勢を強める欧米との協調した行動を取ることはできない。「今は良い関係にある」と中共を持ち上げる現状認識が誤っているのである。中共依存から脱却しないと、日本は国際社会から孤立してしまう。それを理解できないのが財界なのである▼国家安全法に反対する香港の人々に対して、中共は徹底的に弾圧を加えている。ウイグルやチベットではジェノサイドを行っている。金儲けのためには日本が容認していいわけがない。自由と民主主義を守るために、大陸との経済的な依存関係を少なくしようとしているのが台湾である。私たちも、何が大切かを確認しなくてはならない。守銭奴として世界の笑いものになるのではなく、何が正義であるかを主張すべきなのである。
https://www.youtube.com/watch?v=1ZY3WMnYR8k
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㉟笠井尚の会津の本を読む 野口武彦の『幕府歩兵隊』
どのような行動が正しいの分からなくなってきた。それほどまでに識者といわれる人たちの意見が混乱している。ここ数日は「新型コロナウイルスの感染拡大にばかり目を奪われていると、日本経済がガタガタになる」と声が高まっている。政府は政府で腰が定まらず、右往左往している感がある▼ステイグリッツの経済学的な考え方に「情報の非対称性と市場の失敗」というのがある。情報の非対称の市場としては、医療や中古車の売買などがある。患者が医療の知識に無知であれば、それにつけこんで、金儲けをする医者が出てくるのである。中古車はもしかすると、事故車の可能性があり、騙されて買ってしまう場合もあるのだ▼ステイグリッツは対抗策として、患者や購入者が情報をサーチ(調べる)する行動の必要性を説いている。サーチの結果得られると予想される収益増が、サーチに要するコスト増より大きい場合には、合理的な行動となるのである▼あれだけ緊急事態宣言を遅いと言っていた人たちが、今度は「解除しろ」と声高に叫んでいる。ここで振り回されたくはないので、できるだけ冷静に対処することが求められる。右であれば、左であれ、アジテーターであるかどうかを見極める必要がある。命や暮らしを守るためには、私たち一人ひとりがサーチする能力を高めるしかないのである。
この先の世界がどうなるかまったく見当が付かない。それだけに、中野豪志がロイターのインタビューに答えて「コロナ後の日本の生き残りの鍵は社会主義化」と言い切ったのは衝撃的であった▼武漢発の新型コロナウイルスのバッデミックは、多く死者をもたらしたにとどまらず、世界恐慌の様相を呈してきた。日本が危機を乗り切る処方箋として、中野は「国内総生産のGDPの5割を超える財政出動」と「重要産業に資本投下を注入する措置が求められる」との見方を示したのである。さらに、感染拡大期が遅れたことは日本にとって禍であり、先に経済活動を再開した中韓に市場を奪われるというのだ▼社会主義的な方向に舵を切るというのは、例外的な状況下では選択肢の一つである。それを頭から否定するつもりはないが、人為的な介入がどこまで有効かは疑問である。社会主義化によって自由が奪われないかという危惧もある。1929年にウォール街に発した世界恐慌の解決策のために、世界の多くが全体主義国家となった。それと同じ選択肢しか残されていないのだろうか▼あらゆる形態の社会主義は「人間の隷属化の道」として批判したのがハイエクであった。その立場からの中野への反論に注目したいと思う。どちらが正しかを私たち国民が判断するためにも、経済思想をめぐる議論を避けてはならないのである。
日本も武漢発の新型コロナウイルスとの戦争をしているのである。勝ち抜くためにはあらゆる手段を講じなくてはならない。日本銀行が昨日、国債をいくらでも買い入れることを決定したほか、中小・零細事業者をはじめとした企業の資金繰りの対応のために、コマーシャルペーパーや社債の買い入れの増額、企業金融支援措置などを決めた▼国債買い入れの「80兆円めど」の撤廃や社債購入枠を3倍にする意味は大きい。日本国内の経済活動を継続させるには、潤沢な資金を隅々にまで行き渡らせなくてはならない。政府が自粛を要請していることで、人の動きが少なくなった分だけ、経済には悪影響が出ている。それを最小限にするには、カンフル剤を何本か打たなくてはならないのである▼政府は日銀と歩調を合わせ、国民や企業が生き残っていけるような施策を断行すべきだ。国民への現金給付にしても、状況次第では何度も実行すべきだろう。さらに、企業の救済策は手続きを簡素化して、スピードアップを図るべきである▼市場原理が通用するのは平時においてである。今のような非常時においては、国家が前面に出ざるを得ない。それこそ百年に一度あるかないかの危機である。優柔不断であることは許されない。国民の顔色うかがって、政治的な延命を優先させてはならない。安倍首相がたとえ政権の座を失うことになっても、やるべきことをやるのが本当の政治なのである。
衝撃的なニュースが世界中をかけめぐった。日本経済新聞の6日付のネット版によると、トランプ大統領が5日、対中関税を25%に引き上げることを、自らのツィツターで表明したからである▼「中国は10カ月間、米国に500億ドル分のハイテク製品に25%、2千億ドル分の他の製品に10%の関税を払ってきた。これらの支払いは部分的には我々の素晴らしい経済の結果によるものだ。10%は金曜日(10日)に25%に上がる。中国から輸入する3250億ドル分の追加製品は関税がかかっていないが、速やかに25%の税率になる。米国に支払われた関税は製品のコストにほとんど影響を与えておらず、ほとんどは中国が負担してきた。中国との貿易合意は続いているが、中国が再交渉しようと試みており、遅すぎる。ノー!」▼来る8日からは劉鶴副首相がワシントン入りしてトランプ大統領を会談することになっており、国際社会のルールを無視した中国に対して、一段と譲歩を求めたとみられている。米中の貿易戦争は終結に向かっているとの観測がもっぱらだったこともあり、今後どのようになるかまったく予測が付かない▼中国経済が失速しても、日本経済への影響は限定的であるというのが大方の見方である。警戒すべきは中国の暴発である。台湾や尖閣諸島への侵攻という事態も想定して置かなくてはならない。米中の対立は当然のごとく、東アジアに緊張をつくり出す。今こそ我が国は危機に備えなくてはならないのである。
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いくら既定の路線であっても、それが自滅の道であれば、ためらうのは当然である。10月の消費増税を断念すべきである。安倍首相はなぜ決断できないのだろうか。ウォールストリート・ジャーナルの5日付社説では「安倍首相は増税によって、景気を悪化させようと決心しているように見える」と酷評した。共同通信はその社説を引用して報道しているが、同じ過ちは繰り返すべきではなく、ここは先送りすべきなのである▼日本経済がゼロ成長から脱却するためには、今ブレーキをかけるべきではない。日本の景気は明らかに後退局面にきている。このままでいけば安倍内閣は退陣を余儀なくされるだろう。ヨーロッパ、中共などの世界経済も深刻な事態になっており、その影響も無視できない。国が金融政策だけを先行させ、財政政策がともなわなければ、需給ギャップが拡大するだけだ。実質消費がマイナスになっているにもかかわらず、ここでまた消費税増税をするようでは、安倍内閣が持つわけはない▼デフレから脱却できないのに、そこで景気の減速を促すような政策を選択してよいのだろうか。それよりは積極的な財政政策ではないだろうか。国が支出を切り詰めれば、経済が拡大するわけはない。それを一方でやっておきながら、いくら金融を緩和しても効果はたかが知れている。アベノミクスの二本目の矢である財政出動をなおざりにしてきた結果が、このざまなのである。
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