朝鮮半島情勢が風雲急を告げている。それは1950年に朝鮮戦争が勃発したときと似ている。日本のオールドリベラリストであった和辻哲郎は、歴史的な実験であったソ連や中共の動きに一縷の望みを託そうとした。共産主義の理想を追い求める者たちに期待したのである。和辻は「膨大な軍備を差し控え、その資力を建設の方へ集注しさえすればよいのである。そうして、その標榜する通りに、資本主義国家の達成し得ない社会的進歩を実現し、それを世界に公開して示すべきである」(『埋もれた日本』)と書いたのだった▼和辻は願望でしかないことを知っていた。共産主義国家が「武力による威嚇」が「武力の行使」に発展することを予想していた。それでも武力に頼らない立場を主張した。アメリカの軍事力は圧倒的であり、朝鮮半島の南を守り抜いたのである。しかし、もはや状況は変わった。中共ばかりでなく、北朝鮮も核を保有し、日本を恫喝するようになった。和辻は意志や気魄でもって平和を維持しようとしたが、その夢は潰えてしまったのである▼共産主義国家が平和勢力だと思っている日本人は、もはやいないはずだ。いくら道理を説いても通用する相手ではない。「心」グループに属した和辻は、共産主義国家に対抗するために、国民的統一の重要性を訴えた。国を守り抜くのは政治の使命である。それに協力するのは、国民として当然の義務だ。平和を維持するためにも、国家として日本は身構えるべきなのである。
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