Jアラートが鳴り響くと緊張感が走る。平和ボケした人たちからは、ありもしない危機を煽るといわれるが、現実を直視すれば、東アジアはとんでもない事態に直面しているのだ。
北朝鮮が昨日発射したロケットは軍事偵察衛星であり、恐れる必要がないという意見もあるが、ロケットと弾道ミサイルは技術的には同じである。
ロケットは地球を回る軌道に衛星を乗せるのに対して、弾道ミサイルは宇宙空間に打ち上げられてから、大気圏に再突入して目標を攻撃するという違いがある。しかし、宇宙空間に向けて発射される点では一緒である。
だからこそ、国連の北朝鮮制裁決議はその両方を禁じているのだ。いくらロケットであろうとも、弾道ミサイルの性能の向上に直接結びつくからである。
この期も及んでも、日本を攻撃してくる国家などないと居直りたい人たちは、憲法9条によって、専守防衛という縛りがかかっていることの深刻さを理解していないようだ。
浜田防衛相は北朝鮮の動きに対応して、去る22日に破壊措置準備命令を出したが、台風の影響により、PAC3の石垣島への展開が間に合わなかったばかりか、宮古島や与那国島では、発射機がたたまれたままであった。対ミサイル防衛網の脆弱さが露呈してしまったのである。
反撃能力を持つことで、抑止力を高めるしかないが、アメリカによるトマホークの提供が見送られてしまった今となっては、丸裸同然である。
日本にとっては、アメリカとの核の共有による拡大抑止が喫緊の課題である。それを論じることすら、岸田首相は拒否しているのである。
Jアラートが本物の空襲警報になってしまってからでは、もはや取り返しがつかないのである。残された時間はわずかしかないのに、日本丸の舵取りをしている政治家に、まったく危機感が感じられない。そんなことで本当によいのだろうか。