鷲田小彌太の『現代思想がわかる辞典』を拾い読みしている。ここニ、三日はそうした類いの本を読んで過ごし、気が乗ってきたら自分の仕事に本格的に取り掛かるつもりだ。
その辞典ははなはだ読みやすいし、簡潔にまとめられている。そのなかでももっとも僕が注目したのは、「デモクラシーの補完物」としての「天皇制」を論じた箇所だ。鷲田自身が書いており、正鵠を得た書き方をしている。
「デモクラシーの中には、この闘争を制御する力はない。この闘争を『超越』し、統合する『一者』—世襲される・形式的・象徴的ナンバーワン(ヘーゲル)—の機能をはたすものこそ天皇である。従って、天皇こそが、デモクラシーの補完機能を果たすことができる」と述べているからだ。
この程度のことなら、大方の名も無き者たちは知っている。それを学問の世界から論じることができないだけだ。人文系の文章は難解だと相場が決まっているが、時には鷲田の本をお勧めしたい。保守派も原理原則論を持つ必要があるからだ。マルクス主義からの転向組であることが、かえって説得力がある。清水幾太郎レベルのよくこなれた文章である。
福田恆存。吉本隆明、鶴見俊輔、廣松渡の解説文も読みごたえがある。保守論客の争いに巻き込まれることなく、じっくり自分の足場を構築したいものである。
その辞典ははなはだ読みやすいし、簡潔にまとめられている。そのなかでももっとも僕が注目したのは、「デモクラシーの補完物」としての「天皇制」を論じた箇所だ。鷲田自身が書いており、正鵠を得た書き方をしている。
「デモクラシーの中には、この闘争を制御する力はない。この闘争を『超越』し、統合する『一者』—世襲される・形式的・象徴的ナンバーワン(ヘーゲル)—の機能をはたすものこそ天皇である。従って、天皇こそが、デモクラシーの補完機能を果たすことができる」と述べているからだ。
この程度のことなら、大方の名も無き者たちは知っている。それを学問の世界から論じることができないだけだ。人文系の文章は難解だと相場が決まっているが、時には鷲田の本をお勧めしたい。保守派も原理原則論を持つ必要があるからだ。マルクス主義からの転向組であることが、かえって説得力がある。清水幾太郎レベルのよくこなれた文章である。
福田恆存。吉本隆明、鶴見俊輔、廣松渡の解説文も読みごたえがある。保守論客の争いに巻き込まれることなく、じっくり自分の足場を構築したいものである。