イラクでの自衛隊の日報を公開する必要があるのだろうか。憲法上の制約があるとはいえ、自衛隊は戦争をするために存在する武装組織である。こちらの手の内を見せてしまってよいのだろうか。自衛隊がどのように対応したかを公にすれば、今後隊員の安全を脅かす危険性がある▼小野寺防衛相は2日、今月半ばをめどに資料要求のあった国会議員に提出する意向を示した。南スーダンに続いて、イラクでも隠蔽されたと野党は騒いでいるが、もっと本質的な議論をすべきではないだろうか。武装組織である限り、秘密があるのはあたりまえである。我が国の安全を維持するためには、自衛隊の存在は不可欠である。しかし、現状では警察と同じようなことしかできない。あくまでも正当防衛の範囲内なのである。それで本当に国民の生命と財産を守ることができるのだろうか▼現状がそうであれば、それを変えていくのが政治の使命である。憲法に自衛隊を明記しようとするのは当然である。法律にはポリティカルな側面と、プロシージャルな側面があると指摘したのは小室直樹であった。ポリティカルとは裁量的、政治的ということであり、これは政治家が責任を負う。プロシージャルは専門的な知識を使っての実務であり、役人を任せておけばいいのである。後者の方は最終的な決定者は裁判所である。従来のような役人任せの政治ではなく、これからは政治家が国を動かすべきなのである。
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