共同や毎日の世論調査では内閣支持率が大幅にダウンしているのに、産経新聞とFNNが行った結果では、何と内閣支持率は4・3%減の46・1%にとどまった。こんな数字は自民党ですら信じていないはずだ。
岸田首相が解散総選挙を思いとどまったのは、自分たちが支持されてないということを痛切に感じたからだろう。過半数割れがほぼ確実視されており、ここにきて方針を変えざるを得なかったのである。普通であれば、日本維新の会の準備ができていない今しかチャンスはなかった。今後は増税などの国民負担率の増加が目白押しである。それで選挙に勝てるわけがないからだ。
他のマスコミも一緒だが、LGBT法案についての質問の仕方も酷過ぎる。「LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法律が成立したことについて」と質問されれば、誰も反対できないからである。それでも共同では賛成と反対が拮抗していたが、産経新聞とFNNでは「よかった」が62・2%というとんでもない数字である。
質問の仕方は「性自認」という言葉を一つ付け足すだけでも、回答者の反応も違っていたはずなのに、それをしないところがミスリードなのである。
いくら弁護しようとも、岸田首相の信用はガタ落ちだし、岩盤保守は支持しなくなっている。自民党は岸田首相のもとでは、もはや総選挙を戦える状態ではなくなっているのだ。マスコミの世論調査のいい加減さは、これまで何度も指摘してきたことである。もし岸田自民党がその数字を信じるのならば、解散総選挙に打って出ればいいのである。追い詰められていることを誰よりも知っているのは、岸田首相その人なのだから、そんな冒険をするわけがないのである。
欧米ばかりが世界ではない。何を勘違いしたか、岸田首相は欧米に対等になりたくて、LGBT法案をゴリ押しした面もあるのではないか。ところがそううまくはいかないのである。
日本に住みイスラム教徒の人たちが、口をそろえて「子供に学校でLGBT教育を受けさせたくない」と言い出したのである。イスラム原理主義では同性愛はもとより、バイセクショアル、トランスジェンダーに理解などあるわけがない。旧訳聖書のソドムとゴモラは神の手にかかって滅ぼされたという故事を、頭から信じているのである。
しかし、それは日本の親たちも同じではないだろうか。年端も行かない子供たちに、性についての知識を教えるというのは、混乱させるだけである。イスラム教徒がOKであるのなら、日本人にだって、同じような扱いにすべきである。イスラム教徒だけ例外というわけにはいかないからだ。
さらに、LGBT法案を推進する日本の左翼と仲がいい、中国や北朝鮮の親たちだって嫌がるはずだ。そこまで考えないで、アメリカ様の言いなりになった岸田首相は、あまりにも愚かである。批判にさらされている自民党の一部も、せいぜい女性スペースを守ることしか念頭になかったと思うが、現在日本に住んでいるイスラム教徒は13万人を超えているのだ。
そ自らが同性愛者で、エイズで死んだといわれるミッシェル・フーコーですら、日本人と欧米人の愛についての考え方の違いを指摘していた。厳格なキリスト教徒である欧米人とは違って、日本では性的な技法とかが開発されており、同性愛に対しても寛容であったからだ。
しかも、最近まで日本では男女混浴が普通であったのだ。それを止めることになったのは、欧米流の道徳観が入ってきたからなのである。
偉そうに自分たちのリベラルな考え方を押し付けてきた、アメリカのバイデンと、その手先であるエマニュエル大使は、その辺のことをまったく理解していないのである。

自衛官候補生の男が岐阜県の射撃場で昨日、こともあろうに同僚に向けて発砲し、2人が死亡し、1人が負傷した。同僚に銃を発射するような自衛隊ではというので、特定政党や左翼勢力は防衛力増強に待ったかける口実にするだろう。そうした批判は覚悟せねばならず、自衛隊の諸君はじっと耐えるしかない。
今私たちが考えるべきは、自衛隊を憲法違反のままに放置しておいた政治の責任である。胸を張って自衛隊員であることを公言できないような雰囲気がないと言ったら嘘になるだろう。隊員の募集にしても大変なことになっているのは、国軍として認められない憲法上の制約があるからだ。
交戦権なき自衛隊がどう戦うのだろう。それを考えると、暗澹たる気持ちになってしまう。国民こぞって自衛隊を尊敬するようにならなければ、優秀な人材が集まるわけがないのである。
不甲斐なき岸田首相は、いざという時に決断をためらうに違いない。戦術的な指示は、日米合同委員会から出るようになっており、どこまで日本が関与できるかも不透明である。
政治は何のために命を賭けるかについて明確に示す必要がある。いうまでもなくそれは、三島由紀夫が述べていたように、日本の文化と伝統とを守り抜く御楯としての軍隊なのである。栄誉の大権が天皇陛下から与えられるのが当然である。軍旗もまたそうでなければならない。それすらもなくて、どうして若者を死地に向かわせることができるだろうか。
しかし、そうではあっても、有事は目前に迫っているわけだから、自衛隊の諸君には臆せずお国のための御楯となってもらわねばならないのである。
柄谷行人によれば、フランス語が全くできないホッファーが、フランスのモラリストであるモンテーニュに影響されたのだという。
ろくに英語ができない僕は、柄谷の翻訳のおかげで、ホッファーの思想の芯に触れたような気がした。
そして、とんでもない変化が日本で起きたことで、日本人が子供のようになり、反米感情が爆発するのでは、との思いを強くしている。
戦後の日本の歴史は民主化と一体であり、それを教えてくれたのが米国であるという、好意的な見方が信じられてきた。
しかし、それは甘い幻想でしかなかった。今回のエマニュエル大使の発言のように、米国の根本にあるのは、属国としての日本なのである。