連載小説「Q」第二部8
その日、企画室のモニターが阿波踊りに占領された。
光一は、直感的にQが分かった。
ピンクの着物を着た女だ。
一人だけ足袋を履いていない。
――阿波の阿の字は、阿呆の阿の字
いつの間にか企画室全員が踊っていた。
光一は踊らなかった
光一は地下一階の守衛室に降りて行った。
守衛室には駐車場のパネルが表示されている。
動いている赤い点は移動中の車だ。
運転手は乗っていない。
それは定められた方法で定められた場所に納められる。
元企画室長の鈴木さんは、一日この部屋でパネルを見ている。
目で赤い点を追いかけ、無事停車すると、一仕事終えたように安堵の息をする。
――それは定められたことなのに。
パネルに赤い点はなくなった。
光一に初めて気づいたように、体を反転させた。
連載小説「Q」第一部をまとめました。
その日、企画室のモニターが阿波踊りに占領された。
光一は、直感的にQが分かった。
ピンクの着物を着た女だ。
一人だけ足袋を履いていない。
――阿波の阿の字は、阿呆の阿の字
いつの間にか企画室全員が踊っていた。
光一は踊らなかった
光一は地下一階の守衛室に降りて行った。
守衛室には駐車場のパネルが表示されている。
動いている赤い点は移動中の車だ。
運転手は乗っていない。
それは定められた方法で定められた場所に納められる。
元企画室長の鈴木さんは、一日この部屋でパネルを見ている。
目で赤い点を追いかけ、無事停車すると、一仕事終えたように安堵の息をする。
――それは定められたことなのに。
パネルに赤い点はなくなった。
光一に初めて気づいたように、体を反転させた。
連載小説「Q」第一部をまとめました。