渋谷駅前の忠犬ハチ公銅像
渋谷駅は一日に320万人が利用するターミナル駅で、新宿駅、池袋駅に次いで3番目の乗降客で賑わっています。若者が多く集まり活気ある街です。駅前の「忠犬ハチ公の銅像」前でよく人と待ち合わせをする場所となっています。
渋谷の駅前の銅像で知らない人はいない忠犬ハチ公は大正12年秋田県大館市で生まれました。その頃東京帝国大学(現東京大学)農学部の上野英三郎教授が秋田犬の子犬を飼いたいと思って探していました。その話が知り合いから知り合いへと伝わり、大正13年に子犬が博士のもとに届けられました。博士はこの子犬に「ハチ」という名前を付け、とても可愛いがりました。
上野博士は渋谷区松濤町に住んでおり、渋谷駅まで歩いてそこから本郷の農学部の試験場なり駒場のキャンパスなりに電車で通勤していました。ハチは、渋谷駅まで一緒に付いていき、博士が帰るころの時刻になると、渋谷駅まで迎えに行くようになっていました。
ところが上野博士は大正14年5月21日に大学校内で急逝。ハチ公と博士のわずか17ヶ月の付き合いは終わりました。しかしそれ以降、そのハチ公がちょうど上野博士が帰宅していたくらいの時間帯にまた渋谷駅に来て誰かを待っている風な様子がしばしば目撃されました。
これを見た人たちは「可哀想に。ご主人が亡くなっても、ちゃんとお迎えに来てるんだ、忠義な犬だ」ということで話題となり、昭和7年には新聞にまで載り、昭和11年には小学校の修身の教科書に掲載され、昭和9年4月21日には、銅像まで建ってしまいました。銅像を制作したのは帝展審査委員の安藤照氏です。この銅像の除幕式にはハチ公も出席しています。
そしてハチ公はこの翌年、亡くなりました。享年11歳。毛皮は剥製にされて上野の国立科学博物館に保存され、遺骨は青山墓地の上野博士の墓のそばに葬られました。
アメリカの俳優であるリチャードギア主演の「HACHI」は、この忠犬ハチ公をリメークした映画であります。日本でも映画やドラマで多く披露されています。