今日も採血後に診察。最近では30分早めの到着が普通のペースになった。特に今日は月初めであり、他の患者さんも採血のタイミングであり、早くも50人待ち。採血室にも待合の椅子にも人が溢れていた。
待ちはしたけれど、とてもラッキーなことに採血での刺針が全く痛くなかった。本当にこういう時はラッキーで思わず「魔法のようでした!」と言ってしまう。看護師さんも「じゃあ、今日はいいことがあるかしら」と嬉しそう。内科受付後、1時間ほど待って中待合へ入り、その後10分ほどで診察室へ。
先週は金曜日の午後から月曜日午前中までだるくて体が痛かったこと、マグラックスを飲んでいるが便秘気味なことをお話する。すっかりこの後ナベルビン投与、のつもりでいたのだが、今日も白血球が2700、好中球は27%とのことで中止。先生がおっしゃるには「(白血球低下の)ヒスロン犯人説は間違っていたみたいですね、やはり規定量の8割でよいのかもしれない。便秘も強いようなので、これまでの吐き気止めのセロトニン拮抗薬をステロイドに変えて、吐き気がそれほどでもなければだんだん減量していきましょう。ナベルビンは軌道に乗るまで大変な人が2,3割いるけれど(こういう場合、なぜか私は必ずと言っていいほど該当する)いったんうまくいき始めれば実に楽ですから。」とのこと。全体投与量はそれほど変わらないけれど、規定量で1週おきに投与するよりも8割でも1週、2週目投与、3週目お休みの通常スケジュールで投与する方が望ましいとのこと。今日はハーセプチンのみとなった。
先生が薬局にグラニセトロンとナベルビンのロック解除の電話をされる。次回はハーセプチン、デキサート、ナベルビン、ゾメタとオールスターてんこ盛りだ。そして採血では、腫瘍マーカーチェックもするとのこと。
気になっていたポートの状況について質問してみた。確かにこれまでポートが入っていた位置よりも皮膚が薄い部分なので盛り上がって見えるが、もし皮膚の血流が悪いなど問題があれば赤茶色に変色する、2週間経って皮膚に変化がないので問題はない、とのこと。また、首筋からポートまでカテーテルがはっきり浮き上がって見えることでぶつかったら破けそうで心配だし、首を動かすたびに引き連れる感じがあるので、カテーテルに折り癖がついてまた漏れたりしたらと心配で・・・、というと、首と肩の可動域を比べると肩の方が断然大きいのでそれほど心配ないとのこと。頭ではわかっていても、こうしてきちんと説明して頂くと本当にほっとする。
そして処置室の椅子が空くまで廊下で30分ほど待つ。椅子に移動する前にベッドでポートへ刺針。これまたチクリともせずにすんなり入ってしまい、思わず「全然痛くなかったです。びっくりしました。」と言ってしまう。看護師さんも驚いていた。こんなこともあるのだ、と思う。こんな日にうまくナベルビンが投与できればよかったのだが、言っても詮無しである。骨髄抑制がある、ということは薬の効果がある、ということなのでやむなしだ。お昼からハーセプチンの点滴。2時間ほどで無事終了。針を抜くときも殆ど衝撃がなかったが、若干出血があったので、少し長めに止血して退散。
会計で支払いを済ませ、無事ランチタイムに間に合った。
今日は2冊読めた。
1冊目は田口ランディさんの「キュア」(朝日文庫)。「余命一年と宣告された若き外科医が探し求めた究極の『治療(キュア)』とは? 生命と医療の在り方を探る渾身の長編小説」という帯を見て、ついつい手に取った。解説で倫理学者の竹内整一さんが「人はみな死ぬまで生きられる」ということを書いておられるが、「死生学」という新しい学問を構築しようというプロジェクトの一環として「多分野交流演習」が開かれ、田口さんはそのもっとも熱心なゼミナリストだったそうだ。ちょうどこの長編を書き出した頃にお父さまの癌の発見、闘病、看取りなどもあったという。再発がん患者の一人である私も、現代医学の現場に関するさまざまなくだりを読み進めながら、かなり考え込む部分があった。
2冊目はビートたけしさんの「たけしの最新科学教室」(新潮文庫)。裏表紙には「各界の『達人』がたけしの疑問にわかりやすく答える、面白くてタメになる最新科学入門」とあったが、10名の科学者との対談はどれもとても興味深かった。特に遺伝子の達人・中込弥男さんとの話(浮気を抑える遺伝子もあります)、毒の達人、船山信次さんとの話(毒にも薬にもなる話)は、治療中の今の私にとってとてもリアルで面白かった。鳥の達人・上田恵介さんの話(モテない男は鳥に学べ)も実に興味深かったけれど。あとがきでたけしさんが言うとおり、スゴイ科学者っていうのは実は“オタク”で、科学者というのは“究極の道楽者”で、それぞれの研究分野の話をしてくれたとき、本当に幸せそうな顔をしていたとか、この本に登場した達人たちが、一般人にはちょっと馬鹿々々しくも見える研究を何十年も根気よく続けていることで、科学ってものが支えられてきたのも事実だ、というくだりには本当に大きく頷いた。私も大学に長く勤めているが、やはり基礎研究をないがしろにしていいわけがない。成果、成果とあまりに短期間で結果を出すことばかり求めすぎている、と感じざるを得ない昨今の状況を憂うのは私だけではないだろう。
結局、帰りに買い物をしつつ帰宅するといつもとあまり変わらない時間になってしまった。それでもまだ明るいうちにたどり着いたので、良しとしよう。
帰宅するとノーベル化学賞に日本人2人が受賞の快挙のニュースが飛び込んできた。やはり基礎研究だ!と思う。
待ちはしたけれど、とてもラッキーなことに採血での刺針が全く痛くなかった。本当にこういう時はラッキーで思わず「魔法のようでした!」と言ってしまう。看護師さんも「じゃあ、今日はいいことがあるかしら」と嬉しそう。内科受付後、1時間ほど待って中待合へ入り、その後10分ほどで診察室へ。
先週は金曜日の午後から月曜日午前中までだるくて体が痛かったこと、マグラックスを飲んでいるが便秘気味なことをお話する。すっかりこの後ナベルビン投与、のつもりでいたのだが、今日も白血球が2700、好中球は27%とのことで中止。先生がおっしゃるには「(白血球低下の)ヒスロン犯人説は間違っていたみたいですね、やはり規定量の8割でよいのかもしれない。便秘も強いようなので、これまでの吐き気止めのセロトニン拮抗薬をステロイドに変えて、吐き気がそれほどでもなければだんだん減量していきましょう。ナベルビンは軌道に乗るまで大変な人が2,3割いるけれど(こういう場合、なぜか私は必ずと言っていいほど該当する)いったんうまくいき始めれば実に楽ですから。」とのこと。全体投与量はそれほど変わらないけれど、規定量で1週おきに投与するよりも8割でも1週、2週目投与、3週目お休みの通常スケジュールで投与する方が望ましいとのこと。今日はハーセプチンのみとなった。
先生が薬局にグラニセトロンとナベルビンのロック解除の電話をされる。次回はハーセプチン、デキサート、ナベルビン、ゾメタとオールスターてんこ盛りだ。そして採血では、腫瘍マーカーチェックもするとのこと。
気になっていたポートの状況について質問してみた。確かにこれまでポートが入っていた位置よりも皮膚が薄い部分なので盛り上がって見えるが、もし皮膚の血流が悪いなど問題があれば赤茶色に変色する、2週間経って皮膚に変化がないので問題はない、とのこと。また、首筋からポートまでカテーテルがはっきり浮き上がって見えることでぶつかったら破けそうで心配だし、首を動かすたびに引き連れる感じがあるので、カテーテルに折り癖がついてまた漏れたりしたらと心配で・・・、というと、首と肩の可動域を比べると肩の方が断然大きいのでそれほど心配ないとのこと。頭ではわかっていても、こうしてきちんと説明して頂くと本当にほっとする。
そして処置室の椅子が空くまで廊下で30分ほど待つ。椅子に移動する前にベッドでポートへ刺針。これまたチクリともせずにすんなり入ってしまい、思わず「全然痛くなかったです。びっくりしました。」と言ってしまう。看護師さんも驚いていた。こんなこともあるのだ、と思う。こんな日にうまくナベルビンが投与できればよかったのだが、言っても詮無しである。骨髄抑制がある、ということは薬の効果がある、ということなのでやむなしだ。お昼からハーセプチンの点滴。2時間ほどで無事終了。針を抜くときも殆ど衝撃がなかったが、若干出血があったので、少し長めに止血して退散。
会計で支払いを済ませ、無事ランチタイムに間に合った。
今日は2冊読めた。
1冊目は田口ランディさんの「キュア」(朝日文庫)。「余命一年と宣告された若き外科医が探し求めた究極の『治療(キュア)』とは? 生命と医療の在り方を探る渾身の長編小説」という帯を見て、ついつい手に取った。解説で倫理学者の竹内整一さんが「人はみな死ぬまで生きられる」ということを書いておられるが、「死生学」という新しい学問を構築しようというプロジェクトの一環として「多分野交流演習」が開かれ、田口さんはそのもっとも熱心なゼミナリストだったそうだ。ちょうどこの長編を書き出した頃にお父さまの癌の発見、闘病、看取りなどもあったという。再発がん患者の一人である私も、現代医学の現場に関するさまざまなくだりを読み進めながら、かなり考え込む部分があった。
2冊目はビートたけしさんの「たけしの最新科学教室」(新潮文庫)。裏表紙には「各界の『達人』がたけしの疑問にわかりやすく答える、面白くてタメになる最新科学入門」とあったが、10名の科学者との対談はどれもとても興味深かった。特に遺伝子の達人・中込弥男さんとの話(浮気を抑える遺伝子もあります)、毒の達人、船山信次さんとの話(毒にも薬にもなる話)は、治療中の今の私にとってとてもリアルで面白かった。鳥の達人・上田恵介さんの話(モテない男は鳥に学べ)も実に興味深かったけれど。あとがきでたけしさんが言うとおり、スゴイ科学者っていうのは実は“オタク”で、科学者というのは“究極の道楽者”で、それぞれの研究分野の話をしてくれたとき、本当に幸せそうな顔をしていたとか、この本に登場した達人たちが、一般人にはちょっと馬鹿々々しくも見える研究を何十年も根気よく続けていることで、科学ってものが支えられてきたのも事実だ、というくだりには本当に大きく頷いた。私も大学に長く勤めているが、やはり基礎研究をないがしろにしていいわけがない。成果、成果とあまりに短期間で結果を出すことばかり求めすぎている、と感じざるを得ない昨今の状況を憂うのは私だけではないだろう。
結局、帰りに買い物をしつつ帰宅するといつもとあまり変わらない時間になってしまった。それでもまだ明るいうちにたどり着いたので、良しとしよう。
帰宅するとノーベル化学賞に日本人2人が受賞の快挙のニュースが飛び込んできた。やはり基礎研究だ!と思う。