ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.8.5 採血後腫瘍内科診察、エンハーツ2クール目

2020-08-05 23:48:23 | 治療日記
 昨日は在宅勤務。夕方の新聞取りまで一歩も外に出なかったけれど、気温がぐんぐん上がっていくのが部屋の中にいてもわかるくらいの暑い一日だった。
 翌日が治療日であることを考えると、今後3週間の間で一番元気な夜だ。治療後はまた当分の間通えなくなる。ということで夜の【夏祭り】Harmonyヨガ~心とカラダの調和をはかる~のクラスに出かけた。

 “呼吸を通して心とカラダのバランスを整えるクラス。吸いきる、吐ききるその瞬間まで見届け、呼吸によって変化するカラダの微細な動きに意識を向けます。カラダの声に耳を澄ませ、呼吸が穏やかに心地よくいられる場所へ調整しましょう。心とカラダ、自分と周りの方、取り巻く環境の中でバランスをとり調和することへつながります。”との触れ込み。強度も2でちょうどよい。スタジオで一番ベテランのIさんが担当だ。男性5、女性12で定員17名の満員御礼。普段はやらないチャレンジポーズ・バインドにもトライしてポタポタ滴り落ちるくらい汗をかいた。すっかり満足してシャワーでサッパリ。夫と合流して駅前で合流、夕食を済ませてそのまま前泊のため病院最寄り駅に向かった。

 行きの車内は一つ置きに間を取れるくらいの混み方。丸山正樹さんの「龍の耳を君に デフ・ヴォイス」(創元推理文庫)を読み始めた。帯には「丸山さんのこのシリーズを読むと、昨日まで見えていたのと世界が変わる。あなたにも、どうかその世界の中で、彼らの『声』を聴いてほしい。」という辻村深月さんの推薦文。主人公は、聾者の親から生まれた聴こえる子=コーダ=である。プロローグから第1話に引き込まれる。先へ先へと頁を繰る手が止まらない。凄い。大アタリだ。気づけば病院最寄り駅。少し風が出てきて、涼しくなっている。

 泊まるのは久しぶりに温泉大浴場があるホテル。チェックインカウンターでは体温測定と身分証明書の提示があった。夕食が美味しかったのでちょっと食べ過ぎたのか、いきなりお腹が緩くなった。なかなか安定しない。身支度をして態勢を整えてから、大浴場へ。既にシャワーを浴びていたけれど、大きなお風呂で手足を伸ばすと本当に気持ちよい。1人だけ先客がいたけれど、すぐ出られたので殆ど貸し切り。極楽である。
 5時間ほど連続して眠り、明け方お手洗いに起きる。さすがにお風呂に行くにはまだ早い。1時間ほどとろとろして、モーニングコールが鳴る前に起き出して朝風呂へGo。今朝は快腸なお通じだ。

 今朝は正真正銘貸し切り。贅沢に朝湯を楽しみ、身支度を整え、レストランに降りた。ここは朝の有機野菜たっぷりバイキングがご自慢なのだけれど、残念ながら今はお弁当とドリンクバーのみ。お弁当のおかずには触手が動かず、デニッシュ等が入った袋入りパンとスープ、グレープフルーツジュースと紅茶でおしまい。

 部屋に持ち帰って摂る方も結構おり、レストランはがらがらだった。今日は予想気温34度。今年一番の暑さになるという予報でちょっと気持ちが萎える。
 朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。
 
 入浴後で身体はさっぱりしているし、病院までは徒歩5分で到着するので、汗だくになることもなく快適だ。
 月初めのせいか混んでいる。IDカードを通す列で若干並んで採血受付へ移動。20人ほど待っていて9分から12分待ちと出ていた。待合い椅子がかなり密状態である。ほどなくして採血室へどうぞ、と番号が出た。
 採血担当は、初めましての女性。ご挨拶は丁寧だったけれど、名札をつけていないので名前も職種も不明だった。針刺しは今日もちょっとチクリで順調。今日はフル測定なので5本だ。抜く時も特に痛まず、無事終了。

 止血をしたまま向かいの腫瘍内科へ向かう。受付に既に数人が並んでいる。待合い席も結構混んでいる。なんとかいつもの定位置を確保してから最後尾について受付。
 今月初めてなので保険証提示。問診票の追加を頂き、その場で咳はたまに「あり」に○、息切れはときどき「あり」に〇をした。
 昨夜の続きの読書に戻る。「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」に続くシリーズ第二弾で、残すは第1話の少々と第2話、第3話、エピローグである。
 私と同じ1961年生まれの丸山さん自身は、もしやコーダなのでは、と思う。そしてかなり手話が達者なのかな、と。ひとくちに聴覚障害といっても生まれながらの失聴、中途失聴、重度の難聴など本当に様々だ。聴覚障害の学生が入学してくるという時、学内手話講習会で触りだけ習ったことがあるのだけれど、健聴者にはとてもはかり知れない世界がある。遠い昔、福祉の仕事に関わったことを思い出しながら、1時間ほど読む。

 途中、化学療法室のOkさんが見えて、SpO2と体温測定。98%が出た。体温は6度9分。「あの後、どうでしたか。」と問われ、「おかげさまでこの1週間は復調しています。下痢もなんとか安定してきて食欲も出てきています。」とお答えする。「良かった。今日は予定通りできると思いますが、採血結果を見て、また。」と化学療法室へ戻って行かれた。それから読書の切りのいいところで血圧測定。109-69、脈拍は73。
 
 それから小一時間待ってようやく「中待合いへどうぞ」に番号が掲示板に出た。荷物を抱えて移動する。10分ほどして先生がお顔を出され、診察室へ入った。「おはようございます。」とご挨拶をしながら荷物をカゴに入れ、ノートやエンハーツダイアリー等を出して席に着く。
 
 席に着くとPC上で採血結果を見せてくださる。白血球は3600、好中球は1060。おお、1000に達しないと抗がん剤治療は延期だから、セーフだった。3週間に1度のスケジュールがずれてしまうと大変だ。「2週間後が一番下がるということでしたが、今日の方が全然低いですね。」マーカーCA15-3はまだ基準値よりHではあるが、1割の減少。我ながら図々しいが、前回ハラヴェンの時は初回からグンと下がったので、それに比べると、割とおとなしい下がり方だなと思う。

 その他、貧血関係の数値は相変わらずどれもこれもL。今日はPLT(血小板)がH だ。Lだと内出血等出血しやすくなり、Hだと血栓に注意、である。そのほか肝機能、心不全マーカー等でもHが散見するが、大きな問題はなさそう。「ロキソニンとコデインの重ね飲みのおかげで痛みがほぼなくなっていますが、痛み止めでコントロールされているのか、エンハーツが効いて自覚症状が実際に出なくなっているのかわからないのですが、どちらかを減らす、というのはいかがでしょうか。」と相談。

 「コデインは下痢の緩和にも咳にも効いているので、こちらをメインにしましょう。ロキソニンを止めれば胃薬のタケプロンも飲まなくてよくなるので、様子を見ながらロキソニンを止めてみましょうか。」ということに。とにかくいつの間にか副作用緩和のための薬がかなり多くなっている。毎食前後の薬だけでお腹一杯である。

 痺れの薬(漢方2種類、ビタノイリン、タリージェ)は現に症状があるので止められない。コデインもアドソルビンも粉薬がどれも飲みにくい。アドソルビンはお腹の調子が落ち着いてきたら毎食後でなくても良いとのこと。ひとまず飲んでみて、それでもダメな時はロペミン小児用を頓服することを確認した。そして今回はイメンドに上乗せでデカドロンの処方も。吐き気対策はこれ以上ないというくらい万全の筈である。
 次回は3週間後、マーカー等の測定なしで簡易な採血とレントゲンの予約が入った。

 私の次に第二号のエンハーツ投与患者さんが加わったとのこと。「嬉しい誤算はまだ地毛であることです!」と言うと、私と同じHER2陽性患者さんで「何があっても脱毛は絶対に嫌!」という方がいて、あれこれ騙し騙し治療を続けているけれど、この後何人かの方が脱毛しないことが確認出来たら(エンハーツを)、やってみませんか、と持ち掛けてみようかなと仰る。

 私ももちろん脱毛OKと思っているわけではないけれど、実際に咳や息苦しさ、痛み等の自覚症状が悪化してくると、髪の毛にだけ拘っていられなくなるというのは事実。けれど、抜けたらかつらが待っているので、もちろん抜けないで済むならそれに越したことはない。

 壁のカレンダーを見ながら次回以降を確認していると、その隣に可愛らしい字で「○○せんせいだいすき(ディズニープリンセスのシール)」というメモが貼ってあった。思わず声に出して読んでほっこりしてしまったら、先生が「患者さんのお嬢ちゃんで・・・」と照れ臭そうに仰る。さすがに声に出して言うのは憚られたが、私も先生が大好きだし、先生で良かったなと思っているなと改めて思った。

 これまで長きにわたり1回目規定量投与の後、2回目から減量せざるを得ないことが続いてきた。「今回は減量することもなく2回目が投与出来るというのは私的には快挙です!」と言って、お礼のご挨拶をして席を立った。

 化学療法室では既にお二人が待っていた。LINEに繋がるシステムで受付を済ませ、お手洗いへ。夫やお友達にいつものようにLINE報告。15分ほどするとMさんが「お待たせしました。お薬飲みましょう。」とイメンド125mgを持ってきてくださる。イメンドを飲んでから1時間後にエンハーツ開始だ。20分ほどすると窓際の椅子が空くので、ちょうど前薬からスタート出来ると思います、とのこと。

 案内されたのはナースステーションの隣のこれまたVIP席だ。外は暑そう。Mさんが針刺しに見えた。いつも痛むのだけれど、今日は「え?もう終わったのですか?」とびっくりして声に出るほど神業だった。素晴らしい。幸先が良いではないか。
 10分ほどするとKwさんから薬が届き、吐き気止めアロキシ・デキサートミックスの点滴からスタート。エンハーツには今日も遮光のオレンジ色のカバーがかけられている。
 病院にチェックインしてから点滴スタートまで3時間半近くかかっている。もう昼近い。

 アロキシ+デキサートの点滴開始とともに読書の続き。プロローグの前の中開きに記された“龍には角はあるけど耳はない。龍は角で音を感知するから耳が必要なくて退化した。使われなくなった耳はとうとう海に落ちてタツノオトシゴになった。だから龍には耳がない。聾という字はそれで「龍の耳」と書くんだよ”という件が、この本の題名になっている。唸った。

 そして頭木弘樹さんが書いておられる“読んでいる間の胸の熱さをなんと説明したらいいのか・・・”という解説を読んで、どうして私が言いたいことをこんなに余すところなく書いてくださっているのだろう、とまた唸った。聾者や手話に興味がないと面白いと思えないという本ではないし、ミステリ好きでなければ面白さが分からないという本でもない。出逢いはシリーズ2作目の本作で、1作目も3作目もまだ読んでいないのだけれど、ぜひぜひ読んでみたい、と強く思う。

 ところがイメンドを飲んだせいで、なんといっても眠い。途中でハッと気づくと、眠っている。
 気づくと、薬剤師のKさんがいらしていて「○○さ~ん」と呼ばれていた。
 あれこれ副作用についてご報告して、薬の飲み方等も細かく相談する。(こういう吐き気が強く出る薬の治療中は)食べたいものを食べたいときにお腹に入れれば十分ですからね、と。ただし下痢もあるので、水分だけはなるべくしっかり摂りましょうとのこと。丑三つ時、失神して歯を折ったという痛い目に遭っているので、これには十分気を付けている。

 今日2クール目のエンハーツは60分で落とし(前回初回は90分)、問題なければ次回からは30分で良いのだそうだ。最初の吐き気止めが15分、ブドウ糖が15分、エンハーツ60分プラスアルファ、再びブドウ糖15分、生食でポートフラッシュして終了。今日は開始から2時間強で済んだ。次回はまた30分短縮できそうだ。
 終了時SpO2は97%で脈拍は63。血圧は102-63で問題なし。終わるや否やお手洗いへ。

 抜針はMさん。若干衝撃はあったが、針刺しが痛まなかったので今日はラッキーデー。
 会計へ移動する。相当混んでいる。待合い椅子の場所を確保して、処方箋を薬局に送るテーブルまで移動して送付する。もうすっかり慣れた流れだ。30分ほどで番号が出て、自動支払機へ。お支払いはカードで16万超え。
 病院を出ると、暑い。照り返しも酷い。空腹でクラクラする。薬局で「病院から処方箋を送りました。」と言って番号札を頂く。今日は2人しか待ち人はいない。

 ほどなくして薬剤師さんが見えて、リン酸コデインが3日分だけ在庫が足りないので近隣に確認するため、時間がかかるとのこと。そんなわけで小一時間待つ。
 デカドロンが増え13種類の薬、5,000円超えをカード支払い。もう一山の大荷物だ。本日の病院と薬局の滞在時間は合計で7時間弱。暑さ厳しく昼食抜き状態で顎が出る。

 帰路、マスクの息苦しさを感じながら日傘を差して駅を目指す。足裏がジンジンする。遅いお昼というより既におやつの時間を過ぎている。とても久しぶりに駅ビルで冷たい野菜たっぷりの小さいサイズの麺を頂いた。
 乗換駅止まりの各駅停車で終点まで。席も確保出来て、本も読み終わった。

 最寄り駅に降りると贔屓のタクシーがいたので、迷わず乗車して汗をかかず帰宅することが出来た。定時で帰宅するのとあまり変わらない時間だ。
 生協のお届け品を取り込むと、やはり汗をかく羽目になった。洗濯物が溜まっていたので洗濯機を廻し、薬を整理したり、洗濯物を干し終わってようやくソファに横になったら夫が帰宅した。

 食事は食べてまだ時間が経っていないので要らない。夫はお弁当を買ってきて私がウトウトしている間に一人で食べたようだった。かたじけない。2時間ほどして、何も食べないわけにいかないので小さなクロワッサンとパンショコラと、夫が剥いてくれたピンクグレープフルーツを少々。とても夕飯のラインナップではないけれど、食べられるときに食べられるものを、である。

 ステロイドのせいかまだこうしてブログを打てるくらいは元気だ。が、お腹の気持ち悪さはある。昼夜とロキソニンを飲まずにコデインだけにしてみたが、痛みは落ち着いている。いい感じだ。
 明日はウエブ会議である。職場ではコロナウィルス感染再拡大のため、8月から在宅勤務をこれまで以上に増やすようにというお達しが出たため、金曜日も在宅勤務。うまく乗り切れますように。
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