昨夜、息子と私が宿の内湯から部屋に戻ると、夫は既に夢の中だった。ひとりで次の間に陣取って(鼾を遠慮したらしい。)。定員10名の2部屋続き計20畳の部屋だから、川の字に敷かれていたお布団をそれぞれ離し(家族内ソーシャルディスタンス?)、ほぼ独立して休めた。
さすがに外湯を三箇所で頂いた上に内湯も、と欲張ったことと前夜の寝不足もあり、私も瞬く間に眠りに落ちた。明け方お手洗いに起きてから二度寝した後、普段と同じ時間にスマホのアラームが鳴る。息子のアラームは私より15分前に鳴り出したが、10分ほど鳴りっぱなしにして、何食わぬ顔でずっとお休みになっておられた。
夫は、せっかくなので是非、と私が薦めた清潔で静かな宿の内湯へ。外湯は7時オープンだ。息子と2人、ロープウエイ乗り場に近い「鴻の湯」を目指した。幸せを招く湯、夫婦円満・不老長寿の湯だという。
1400年前、こうのとりが足の傷を癒やしたと伝わる湯。庭園露天風呂があり、これを外すわけにはいかない。5分前に到着すると、既に地元の方たちや観光客数名が開場を待っている。
オープンと同時にチェックイン。女性は年配の女性が2人、若い観光客が1人と私だけ。庭園露天風呂は貸し切りで堪能した。
東京や大阪と違って、朝のうちはまだ涼しい。温泉好きの息子はすっかりここが気に入って、また来たいな~とのこと。今回、宿に一番近い御所の湯が改装中で入れなかったのが残念だったようだ。
昨夜あれほど沢山夕食を頂いたのに、たっぷり眠って一風呂浴びたら、しっかりお腹が空いている。有り難いことである。食前の飲み物には甘酒ヨーグルト(美味だった。)、そして、地元で水揚げされたというエテガレイの干物など、一汁八菜の彩り良く美味しい和の朝食を、時間をかけてゆっくり完食。
フロントでは、こちらを訪れなければ買えない志賀直哉、湊かなえさんや万城目学さんの本を三冊買い求め(そもそもNHKの「ニッポンぶらり鉄道旅」でこのことを知ったのだが、これが今回この地を訪れた大きな目的でもある。)チェックアウトまではお腹を休めてのんびり。2人はまたお布団に入って食後のウトウトタイムである。
チェックアウトの時に、大きな荷物を駅まで運んで頂けるサービスを有り難くお願いする。勿論、車で駅までの送りもお願い出来るのだが、せっかくだから身軽になって、買い物かたがた駅まで散歩しよう、という魂胆である。
玄関では若旦那さんと一緒に写真撮影。丁寧なお見送りを受けた後、特急の発車時間まで1時間半ほど、駅前までぶらぶらと歩いた。
途中、温泉街の真ん中に建ち、城崎温泉ゆかりの作家に関する展示を行う城崎文芸館に立ち寄った。ここは息子の生まれ年である1996年に開館し、オープン20周年を迎えた2016年秋に展示内容を大幅にリニューアルしたそうだ。白樺派の作家たちがどのように城崎の町や人と関わったのかを本や書簡を通じて紹介した常設展に加え、2013年直哉の来湯から100年という節目の年に誕生した「本と温泉」(次なる100年の温泉地文学を送り出すべく、NPO城崎温泉旅館経営研究会が立ち上げた出版レーベル)の本作りの裏側を見られた企画展もとても楽しかった。
残り時間は後30分ほど。だんだん気温が上がってくる。往路に気になっていたカフェで急いでお茶をして喉を潤し、駅前の観光案内所で、運んで頂いた荷物をピックアップしてから、乗車券を購入。
但馬牛やカニ寿司などの美味しそうな駅弁もゲットして「特急きのさき」に乗り込んだ。京都までの所要は2時間半ちょっと。
揺れが心地よく、すぐに眠くなる。遅めのお昼を摂ったら後は皆でこっくりこっくり。いつの間にか風景は京都に変わっている。
息子が新幹線改札まで送ってくれて、そこで解散。30分弱の乗り換え時間があったが、いつもは大混雑で座れた試しがなかった待合室もがらがらで、2人揃って席を確保することが出来た。
のぞみ号は定刻通りに発車し、往路に気になっていたピスタチオ味のアイスクリームを頂く。
車内では宮下奈都さんの「つぼみ」(光文社文庫)を読んだ。宮下さんは「羊と鋼の森」で一躍有名になったが、10年間書き続けた作品が輝く傑作集とあり、6つのお話が納められている。“それぞれ屈託を抱える登場人物達が辿り着いたそれぞれの境地とは。”と裏表紙にあった。「スコーレNo.4」のもう一つの物語を収録とあり、最初の三編はその地続きの物語だという。どちらも読むとお互いの世界観をより深く味わえるとのこと。読んでみたい、と思った。
乗換駅に定刻通りに到着し、在来線に乗り継いだ。通勤時間帯だったけれど途中で2人とも席を確保出来た。タクシーで帰宅すると、今月のお花、濃いピンクのミニ胡蝶蘭2本立ちとアイビーの寄せ植えが届いていた。
旅の間中、飽食を続けたので今夜は軽いもので、と素麺と果物を夫に用意してもらった。その間、私は出がけに干していった洗濯物をたたみ、今回の旅の洗濯物を干し上げた。
こうして4日間、毎日暑かったし、雷雨に見舞われた日もあったけれど、降られて全く歩けなかったということもなく、予定以上に散策が出来た。在宅勤務ですっかり脚力が衰えたのではと心配したが、1万5千歩を超す日もあり、ちょっとした自信になった。そして何よりも、治療前で体調が良い隙間を最大限活用して、すっかり心の洗濯が叶った。
明日一日仕事を終えたら明後日はエンハーツ3クールの投与日だ。レントゲン撮影もある。奏功しているのが確認できればしんどい治療もまた頑張れる、筈である。
さすがに外湯を三箇所で頂いた上に内湯も、と欲張ったことと前夜の寝不足もあり、私も瞬く間に眠りに落ちた。明け方お手洗いに起きてから二度寝した後、普段と同じ時間にスマホのアラームが鳴る。息子のアラームは私より15分前に鳴り出したが、10分ほど鳴りっぱなしにして、何食わぬ顔でずっとお休みになっておられた。
夫は、せっかくなので是非、と私が薦めた清潔で静かな宿の内湯へ。外湯は7時オープンだ。息子と2人、ロープウエイ乗り場に近い「鴻の湯」を目指した。幸せを招く湯、夫婦円満・不老長寿の湯だという。
1400年前、こうのとりが足の傷を癒やしたと伝わる湯。庭園露天風呂があり、これを外すわけにはいかない。5分前に到着すると、既に地元の方たちや観光客数名が開場を待っている。
オープンと同時にチェックイン。女性は年配の女性が2人、若い観光客が1人と私だけ。庭園露天風呂は貸し切りで堪能した。
東京や大阪と違って、朝のうちはまだ涼しい。温泉好きの息子はすっかりここが気に入って、また来たいな~とのこと。今回、宿に一番近い御所の湯が改装中で入れなかったのが残念だったようだ。
昨夜あれほど沢山夕食を頂いたのに、たっぷり眠って一風呂浴びたら、しっかりお腹が空いている。有り難いことである。食前の飲み物には甘酒ヨーグルト(美味だった。)、そして、地元で水揚げされたというエテガレイの干物など、一汁八菜の彩り良く美味しい和の朝食を、時間をかけてゆっくり完食。
フロントでは、こちらを訪れなければ買えない志賀直哉、湊かなえさんや万城目学さんの本を三冊買い求め(そもそもNHKの「ニッポンぶらり鉄道旅」でこのことを知ったのだが、これが今回この地を訪れた大きな目的でもある。)チェックアウトまではお腹を休めてのんびり。2人はまたお布団に入って食後のウトウトタイムである。
チェックアウトの時に、大きな荷物を駅まで運んで頂けるサービスを有り難くお願いする。勿論、車で駅までの送りもお願い出来るのだが、せっかくだから身軽になって、買い物かたがた駅まで散歩しよう、という魂胆である。
玄関では若旦那さんと一緒に写真撮影。丁寧なお見送りを受けた後、特急の発車時間まで1時間半ほど、駅前までぶらぶらと歩いた。
途中、温泉街の真ん中に建ち、城崎温泉ゆかりの作家に関する展示を行う城崎文芸館に立ち寄った。ここは息子の生まれ年である1996年に開館し、オープン20周年を迎えた2016年秋に展示内容を大幅にリニューアルしたそうだ。白樺派の作家たちがどのように城崎の町や人と関わったのかを本や書簡を通じて紹介した常設展に加え、2013年直哉の来湯から100年という節目の年に誕生した「本と温泉」(次なる100年の温泉地文学を送り出すべく、NPO城崎温泉旅館経営研究会が立ち上げた出版レーベル)の本作りの裏側を見られた企画展もとても楽しかった。
残り時間は後30分ほど。だんだん気温が上がってくる。往路に気になっていたカフェで急いでお茶をして喉を潤し、駅前の観光案内所で、運んで頂いた荷物をピックアップしてから、乗車券を購入。
但馬牛やカニ寿司などの美味しそうな駅弁もゲットして「特急きのさき」に乗り込んだ。京都までの所要は2時間半ちょっと。
揺れが心地よく、すぐに眠くなる。遅めのお昼を摂ったら後は皆でこっくりこっくり。いつの間にか風景は京都に変わっている。
息子が新幹線改札まで送ってくれて、そこで解散。30分弱の乗り換え時間があったが、いつもは大混雑で座れた試しがなかった待合室もがらがらで、2人揃って席を確保することが出来た。
のぞみ号は定刻通りに発車し、往路に気になっていたピスタチオ味のアイスクリームを頂く。
車内では宮下奈都さんの「つぼみ」(光文社文庫)を読んだ。宮下さんは「羊と鋼の森」で一躍有名になったが、10年間書き続けた作品が輝く傑作集とあり、6つのお話が納められている。“それぞれ屈託を抱える登場人物達が辿り着いたそれぞれの境地とは。”と裏表紙にあった。「スコーレNo.4」のもう一つの物語を収録とあり、最初の三編はその地続きの物語だという。どちらも読むとお互いの世界観をより深く味わえるとのこと。読んでみたい、と思った。
乗換駅に定刻通りに到着し、在来線に乗り継いだ。通勤時間帯だったけれど途中で2人とも席を確保出来た。タクシーで帰宅すると、今月のお花、濃いピンクのミニ胡蝶蘭2本立ちとアイビーの寄せ植えが届いていた。
旅の間中、飽食を続けたので今夜は軽いもので、と素麺と果物を夫に用意してもらった。その間、私は出がけに干していった洗濯物をたたみ、今回の旅の洗濯物を干し上げた。
こうして4日間、毎日暑かったし、雷雨に見舞われた日もあったけれど、降られて全く歩けなかったということもなく、予定以上に散策が出来た。在宅勤務ですっかり脚力が衰えたのではと心配したが、1万5千歩を超す日もあり、ちょっとした自信になった。そして何よりも、治療前で体調が良い隙間を最大限活用して、すっかり心の洗濯が叶った。
明日一日仕事を終えたら明後日はエンハーツ3クールの投与日だ。レントゲン撮影もある。奏功しているのが確認できればしんどい治療もまた頑張れる、筈である。