ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.8.22 エンハーツ2クール目投与後17日目のこと 天空から極楽なパワースポット巡り

2020-08-22 23:39:34 | 
 昨夜は大風呂に入浴後、部屋に戻ってベッドに入ったと思ったら、あっという間に眠りに落ちた。途中夫の鼾が気になるなと思ったらもう明け方。外は朝焼けである。6時間近く眠ったとみえて、もう寝直せず。一人で朝風呂に出かけた。昨夜より混んでいてびっくり。

 1階のレストランに降りて朝食。消毒と検温を済ませ、ビニール手袋を頂き、ビュッフェである。お腹も快調だ。今日も暑くなりそうである。
 部屋に戻って身支度をし、ロビーで息子と合流。ワンデイチケットを持っていざ出発である。
 
 目指すは世界のパワースポット・高野山。3年近く前、秋紅葉の美しい頃に出向いた2人のお薦めである。地下鉄から南海線に乗り換え、まずは急行で橋本駅まで。ボックスシートを確保し、浮腫防止対策でお行儀悪く足を投げ出したら息子が気を利かせて足裏マッサージをしてくれた。ありがたや。
 ここで、息子が座席予約をしていた“こうや花鉄道「天空」”に乗り換えだ。前回2人が来たときには、台風によるポイント故障のため、電車がストップしており、この駅からバスで2時間以上かけるという大変な思いをして辿り着いたそうだ。1時間も待ち時間があり、駅で時間を潰すのが大変だったと2人で懐かしそうに話している。
 ここで名物、柿の葉寿司をおやつにゲット、限定販売の金色の“極楽鳥の願掛羽”をお土産に「天空」に乗り込んだ。

 天空は赤と緑の車両が目にも鮮やか。標高92メートルの橋本駅から535メートルの終点・極楽橋まで乗車時間は40分ほど。パノラマ風景が満喫できる「ワンビュー座席」に3人並んで座る。1両の客は私達3人といかにも鉄男君の一人旅男性が2人の計5人のみ。険しい山間を縫いながらゆっくりと走行する。紀ノ川を渡り、和歌山県に来たなぁと実感する。私としては、これでようやく47都道府県制覇になる。山はどんどん深くなり、緑もどんどん濃くなっていく。

 終点となる“始まりの聖地・俗世と聖地を結ぶ”極楽橋駅は先月リニューアルされたばかり。天井の彩色豊かな丸い絵が素晴らしく美しい。ここで、願掛け羽を夫とともに1枚ずつゲットし、息子が金色、私が赤、夫が白とそれぞれの願いを書いてきた。普段はなかなか面倒臭がって書かない夫が「○○(私)が一日でも長生き出来ますように」と書いていたのを見て、鼻の奥がつーんとしてしまった。
 駅には乗ってきた天空と特急こうやが仲良く並んでいて、鉄男の息子は喜んで写真撮影に走って行く。

 次は867メートルの高野山駅を目指し、5分間で400メートルを上がるケーブルカーに乗り換えだ。赤と黒のお洒落な車体は昨年7月にリニューアルされたばかりの新型車両だという。それにしてもとんでもない急勾配。真っ逆さまに落ちそうな感じで登っていく。
 世界遺産・高野山は弘法大師(空海上人)の真言密教の根本道場で、海抜900メートルの高峰上にある総面積33万坪の一大盆地。開創以来1200年以上に渡り、一般庶民の強い信仰と指示を集め、年々この聖地を訪れる人は100万を超えるという。
 駅からはタイミング良く、バスが発車する。

 最初の目的地は総本山・金剛峯寺。コロナ禍の今、本当に人影も少なく、静謐で贅沢な参拝となった。主殿の見学に歩を進める。石庭は我が国最大であり、雲海には京都の白い砂が使われているという。日差しが眩しく反射して、目が開けていられないほどだ。内部の襖絵等も四季折々の花鳥風月、美しいことこの上ない。2人が来たときには廊下が冷え切っていて足が冷たかったというが、今はちょっぴりひんやりとして気持ち良い。

 途中の売店で、この時期ならではのお土産に真言密教の梵字カーン・ア・ユをそれぞれ刺繍したマスクを一枚ずつ買い求めた。それぞれ不動明王様、胎蔵界大日如来様、弥勒菩薩様を表わしているという。お洒落である。写経が出来るお部屋でお茶を一服頂いて、一休み。

 続いて根本道場大伽藍へ。東塔に迎えられ、高野山といえばまずイメージされる伽藍の中心たる建物・高さ49メートルの一層塔、根本大塔から大伽藍金堂を巡る。ご本尊は高村光雲作の薬師如来様だ。
 息子は一人で六角経蔵を一周回している。暑いのに元気なことである。御影堂、三鈷の松を拝み、中門から一旦外へ出る。

 もうお昼の時間を十分過ぎているが、ちょうどタイミング良くバスがやってきたので、高さ25メートルの大門まで移動。一山の総門にふさわしく威風堂々とした門構えだ。見れば気温は30度を割っている。さすがに涼しい。昼過ぎから何度もゴロゴロと雷が鳴っていたが、なんとか雨に降られず、晴れ女ここにあり、といい気分である。

 さすがにお腹はぺこぺこ。まだ奥之院にも訪れる予定だったが、とりあえずお昼を、ということでネコをモチーフにデザインされた可愛らしい茶房に入った。私達3人の貸し切りで、日替わりランチやおうどんに舌鼓。するとここでいきなりとんでもない雨が降り出した。稲光も凄いし横殴りの雨だ。どうしたものか。それでもこのまま帰るのは・・・とお茶とデザートを頂いていると少し小降りになったので、意を決してバスに乗り、大師様御入定の地である終点・奥之院まで。

 結果、本当に来て良かったとしみじみ。最初は何やら色々な会社の慰霊塔なども建ち並んで、一体これは何???という感じだったが、本来の参道には何百年も経た老杉が聳え、酸素がどんどん濃くなって、マスクをしながらも息が楽になる気がする。雨も小やみになって参拝の味方をしてくれる。

 木々の間には豊臣家などの武将から名も知らぬ庶民まで20万基を越す墓碑が並び、高野信仰の篤さをうかがわせる。弘法大師御廟は今なお大師様が瞑想を続けていると伝えられる大師信仰の中心聖地だ。ここは写真撮影も禁止。燈籠堂は全国の信者から献ぜられた多くの燈籠が橙色に揺らめいて、圧倒的かつ幻想的。息子がお線香を買ってくれて皆で供えてきた。

 罪の軽い人は軽く感じるというみろく石を祠の格子から持ち上げてみたけれど、当然3人とも重くて持ち上げられないのもご愛敬。しっとりと雨に濡れた参道をゆっくり小一時間かけてバス停まで戻ってきた。まだ若干時間があったので、名物「みろく石」という、粒あんがびっしり詰まったお饅頭を買って糖分補給のため一休み。

 再びバスで高野山駅まで戻り、今度は特急の指定席を購入し、駅構内の待合所で時間調整。眼前に広がる山々の稜線が美しい。あの雷雨はなんだったのかというくらい美しい夕焼けが出ている。
 そして、真っ逆さまに落下するほどに感じられる急勾配のケーブルカーで再び極楽橋駅まで戻り、特急こうやに乗り込む。息子が一番先頭車、運転席の真後ろの席を所望したが、せっかくの席も夫と私は草臥れてこっくりこっくり・・・だった。

 80分ほどで終点に到着。もう夕食の時間だ。街中を歩き廻る元気はなく、そのまま駅直結百貨店のレストラン街へゴー。地中海料理に舌鼓を打った。魚介類等のお料理で夫と私はもうお腹一杯だったのだけれど、息子は何やら物足りなかった様子で、近くに出来たラーメン横丁のラーメンで締めたいという。全くなんという大食漢。とても付き合えないので、夫と私はカフェでお茶をしながら、息子がラーメン店から戻ってくるのを待った。

 再び三人揃って、地下鉄でホテル最寄り駅まで戻ってくると、また雨が降り出していた。幸いタクシーに乗るほどでの降りではなかったので、そのまま傘を差して戻ってきた。
 明日はホテルをチェックアウトしたら息子とともに隣県の温泉地に向かう。

 朝ホテルを出てから戻ってくるまで13時間近く。万歩計によれば18,000歩ほど。良く歩いた。足の裏がジンジンしている。本当にてんこ盛り、結局のところまたしてもついつい頑張り過ぎた一日だった。それでもパワースポットで細胞が隅々まで生き返った感じ。
 入浴を済ませ、後はバタンキューになるだけだ。

コメント
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