読売新聞の女性向け情報サイトで、白河桃子さんの面白いコラムを見つけた。最新号ではないが、以下転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
お母さんのお弁当、いつまで?(2015.4.30)
先日、あるマンモス大学の授業にお邪魔してきました。授業の後ちょうどお昼だったので学生とランチをしたのですが、周囲を見回すとお弁当派が多い。
みんなかわいいお弁当箱です。「みんな自炊していてえらいね」と思ったんですが、ちょっと待て。「これってお母さんが作ってくれるの?」と聞いたら、そのとおりでした。
「給料は全部自分のもの」 高校生扱いの30代
まあ、まだまだ1年生だし、つい先日までは高校生だった。お母さんだってお弁当作っちゃうよね……と思っていたのですが、友人の話では大学生にお弁当なんて普通。「うちの会社にはお母さんのお弁当を持ってくる男子社員もいるよ」とのこと。いったいお弁当って、いつまでお母さんが作るのでしょう?
そう思って小町を検索したら、やはり気になる話題がありました。「親離れする日はこない?」と心配するのは47歳の主婦、シングルマザーの方。8年前に夫を亡くされ、大学生1人と高校生2人のお子さんがいます。
トピ主さんはパートはしているものの、持ち家で遺族年金もあるし、夫が勤めていた会社からは18歳まで学費の援助もあるそうです。「一見生活ぶりは変わりがないので子どもたちに危機感はありません」
そして、職場で独身の人と話をすると30歳を過ぎても自立していない人が多い。「家にお金を入れていない。給料は全部自分のもの。お弁当はお母さんの手作りと……その年齢でも高校生のような扱いで生活しているのです! そして口々にお金持ちの年上いないかな~と。理想は遺産で暮らすんだそうです」。そんな様子が気になって投稿したとのこと。
トピ主様のダンナ様は、「大学生のうちは家に置くが、それ以外は20歳で家を出てもらう」とおっしゃっていたとか。トピ主様も「できたらそうしたいぐらい」と考えています。
この投げかけに「うちもそうそう」と不安を投稿する人がいました。「娘は20才と18才ですが、彼氏どころか好きな人の話もききません。『もしかして、この子たち、結婚する気全くない』と思えることがよくあります。自分中心で人の世話をやけるとはとても思えません」
女性もそうなんですが、男性も問題です。その背景として、「お母さん」の姿勢を問題視するこんな投稿もありました。「家事に参加しないという男性達は専業主婦のお母さん達が至れり尽くせりしすぎたのではないでしょうか。居心地がよすぎるので家をでようともしない。若い人達を変える前にそのお母さん達を変えないといけないと思いますよ」
少子化の国は「巣立ち」が遅い
日本は大変な少子化で、その原因は「未婚化」「晩婚化」のせいなのですが、少子化の国は「離家」のタイミングが遅いという傾向があります。ドイツ、イタリア、日本は子どもが家を離れず親と同居している期間が長い。そういった国は少子化の傾向があります。
私が講演にいくような「消滅可能性都市」では、長男がいくつになっても実家に同居している傾向が高い。長男だから「家から出さない」という場合もありますが、40過ぎて親にすべて世話してもらっている男性にお嫁さんが来るだろうか。まして今どきの女性は「同居」を嫌がります。
このような現実を見ているので、トピ主様の不安もよくわかります。この不況ですから、お弁当は節約の意味もありますが、なるべく若いうちに「一人で身の回りのことをやる」習慣をつけるに越したことはない。大学時代はチャンスです!
将来結婚できるかということはさておき、小町では、「ダンナ様のおっしゃっていた通り、『大学生のうちは家に置くが、それ以外は20歳で家を出てもらう』とお子さんたちに言って聞かせておきましょう。それが、ひいてはお子さんたちの幸せのためです」というアドバイスが圧倒的でした。
さて、そのためには準備も必要。心の準備とスキルです。「炊事・掃除・洗濯などの家事を3人で当番制でさせましょう」「家を出るまでに母親は子供に掃除洗濯料理など、基本的な生活習慣の仕事を教えないといけないのです」などのレスがありました。トピ主様、決断のときですね。
そして「老後の蓄え」まで…
最後にちょっと“恐ろしい話”を。最近、関西の大学の方から「40歳まで一度も社会に出たことがない娘を心配して、親が自分の死後、子どもが生活保護を受けられるか、役所の窓口に相談にきているんですよ。それもかなりの数です」と聞きました。
「いつかお嫁にいくだろう」と就職させずに娘を育てたのですね。40歳で就職したことがない娘さん……本当に心配です。
某婦人誌の特集で一番売れるのは、「子どもに老後を食い尽くされるな」という特集だという話も聞きました。自立しない子どもたちが、親が老後のためにと用意した蓄えを、イナゴのように食い尽くしていくのです。
結婚だけでなく、就活でも「家を出る」経験は役に立つと思います。「奨学金をもらい、生活費は全部バイト」という人はすんなり決まっていきます。必死度が違うから。
春は巣立ちの季節。今がチャンスです。大学生の子どもと話し合い、巣立ちの計画を練ったほうがいいですよー。
(転載終了)※ ※ ※
いやはや、少子化が進む我が国、大変なことになっているのだ。
30年以上前、大学生になった時、専業主婦だった母は「もう要らないわよね」とお弁当は作ってくれなくなった。もともと母はそれほど料理が得意であったわけでもなかったし、こちらも教室でお弁当を食べるのもなんだかなあだし、学食もあるし、外食も楽しいし、好きなパンも買えるから、と自分から断ったように記憶している。
勤務する大学では今の時期、新入生が入って来て人口密度が高い。ただでさえキャパシティが不足の学食は溢れ返っている。昼休み時間ともなれば、屋内席が不足して、屋外の木のテーブルでハイキングのように食べている姿はまだしも、地べたに座って・・・という姿さえある。
そんなわけで、私は原則、学食を利用するのは遠慮している。学生と職員は30分昼休みがずれているものの、職員が場所塞ぎしてしまうのはいかがなものか、と思うからだ。彼らにとっての500円と私たち職員にとっての500円は重みが違う。学外に出ればワンコインでお腹一杯食べられるレストラン等はないわけだから、やはり彼ら優先だと思うのだ。とはいえ、昼休み時間は限られているし、ランチ事情がそうそう恵まれているわけでもないから、私もファストフードのカフェ専門なのだけれど。
たまに昼当番等で昼休みがズレたりして、学食を覗いて空いていればお世話になることもある。
一人でカウンターに座り、「いただきます」をして食事をしている学生を見ると、いい子だなあ、と思う。見れば、タッパーにご飯だけつめて持ってきていて、汁ものと小鉢のおかずをチョイスしたりしている。ちゃんと一汁三菜、うーん、きっとこれまでちゃんと食育してきてもらったのだろうな、と感心する。もちろんお弁当持参の学生もいる。彼らは自分で作って来ているのか、定かではないけれど。
我が息子も生協食堂に日々お世話になっている。なんと恐ろしいことに日々、何を食べて、どういうカロリー状態なのか迄、ミールカードなるものに記録されてネットで見ることが出来る。夫に言わせれば「奴はプライバシーないな~、俺なら耐えられない」ということなのだけれど、そういう需要があるということでもある。
もちろん、何も訓練出来ないまま送り出してしまった手前、最初の頃は心配だったし、どんな具合なのか毎日チェックしたけれど、今ではたまに「あ~お菓子ばっかり買って~、ビタミンドリンクなんて飲んで~、新入生に気前よくご馳走している~」等、その生活を垣間見て愉しんでいる。
大学で勤めていると、我が愚息だけでなく、学生はかつてに比べて幼くなっているとも感じる。ずっと至れり尽くせりで大切に育ててもらったのだろう。大学生がかつての高校生、大学院生がようやく大学生といったイメージである。
とはいえ、30歳になっても高校生扱いでは、問題だろうな、とも思う。東京に住んでいると、地方在住と異なり大学進学を機会に親元を巣立つタイミングを逸す可能性が大きい。我が家も去年の早春迄は、大学卒業までは自宅通いだろうと信じて疑わなかったくらいだから。けれど、まあ、今思えば自分から巣立って行ってくれたのだから、二重生活で経済的にはまだまだ働かなくては・・・状態になったけれど、良かったのだろうな、とも思う。至れり尽くせりで、家が居心地良すぎるのは問題だ。家事も子育ても及第点が取れないダメ母は反面教師。それはそれで良かったのかも、とまたも得意の自己正当化をしている私である。
そして、少子化が深刻な国は巣立ちが遅い、というのもさもありなんである。かつて研修で訪れた北欧の国々では、高校を卒業すれば皆、家から巣立って自立していた。まあ、学費がかからないというのも大きいことだろうけれど。
冷静に考えて、私は息子が40歳になるまで生きている可能性は皆無に近いが(その時は74歳である。あと21年もの延命はどう考えてもありえないではないか。)、そこまで家にいられては、夫が気の毒だ。夫がその時に至っても息子の世話をするのか、息子が夫の介護をするのか、どういう事態になるのか想像すら出来ない。
今の息子の生活が自立しているとは決していえないけれど(そもそも学費と寮費と食費と毎月のお小遣いの合計を考えると、とてもではない。)、とにかく、朝汚して出かけた部屋は帰って来る迄そのままで、汚れ物は自分で歩いて洗濯機に入りはせず、タンスの所定の位置に収まったりはしない、というごくごく当たり前のことだけは気づいているだろうから、それだけでも価値があったのだと思いたい。巣立つ前に仕込んでおかなかったのは痛恨の極みだけれど。
そして、40歳まで就職したことのない娘さんの生活保護の相談・・・。どうしたらそんな発想になるのだろう。若くて健康で、十分労働力になりうる個人を花嫁修業のもと、言葉は悪いけれど飼い殺しにしてしまったに違いない。ご本人はご自身の人生、本当にそれでよかったのだろうか。
私自身、もはや老後の心配はしていないので(自分には残念ながら老後はないという覚悟のもと、日々を生きているので)、ある意味お気楽ではある。息子には親のお金を当てにしてほしくない。自分が命を削って働いた糧は自分で使ってしまおう、と思っている。
※ ※ ※(転載開始)
お母さんのお弁当、いつまで?(2015.4.30)
先日、あるマンモス大学の授業にお邪魔してきました。授業の後ちょうどお昼だったので学生とランチをしたのですが、周囲を見回すとお弁当派が多い。
みんなかわいいお弁当箱です。「みんな自炊していてえらいね」と思ったんですが、ちょっと待て。「これってお母さんが作ってくれるの?」と聞いたら、そのとおりでした。
「給料は全部自分のもの」 高校生扱いの30代
まあ、まだまだ1年生だし、つい先日までは高校生だった。お母さんだってお弁当作っちゃうよね……と思っていたのですが、友人の話では大学生にお弁当なんて普通。「うちの会社にはお母さんのお弁当を持ってくる男子社員もいるよ」とのこと。いったいお弁当って、いつまでお母さんが作るのでしょう?
そう思って小町を検索したら、やはり気になる話題がありました。「親離れする日はこない?」と心配するのは47歳の主婦、シングルマザーの方。8年前に夫を亡くされ、大学生1人と高校生2人のお子さんがいます。
トピ主さんはパートはしているものの、持ち家で遺族年金もあるし、夫が勤めていた会社からは18歳まで学費の援助もあるそうです。「一見生活ぶりは変わりがないので子どもたちに危機感はありません」
そして、職場で独身の人と話をすると30歳を過ぎても自立していない人が多い。「家にお金を入れていない。給料は全部自分のもの。お弁当はお母さんの手作りと……その年齢でも高校生のような扱いで生活しているのです! そして口々にお金持ちの年上いないかな~と。理想は遺産で暮らすんだそうです」。そんな様子が気になって投稿したとのこと。
トピ主様のダンナ様は、「大学生のうちは家に置くが、それ以外は20歳で家を出てもらう」とおっしゃっていたとか。トピ主様も「できたらそうしたいぐらい」と考えています。
この投げかけに「うちもそうそう」と不安を投稿する人がいました。「娘は20才と18才ですが、彼氏どころか好きな人の話もききません。『もしかして、この子たち、結婚する気全くない』と思えることがよくあります。自分中心で人の世話をやけるとはとても思えません」
女性もそうなんですが、男性も問題です。その背景として、「お母さん」の姿勢を問題視するこんな投稿もありました。「家事に参加しないという男性達は専業主婦のお母さん達が至れり尽くせりしすぎたのではないでしょうか。居心地がよすぎるので家をでようともしない。若い人達を変える前にそのお母さん達を変えないといけないと思いますよ」
少子化の国は「巣立ち」が遅い
日本は大変な少子化で、その原因は「未婚化」「晩婚化」のせいなのですが、少子化の国は「離家」のタイミングが遅いという傾向があります。ドイツ、イタリア、日本は子どもが家を離れず親と同居している期間が長い。そういった国は少子化の傾向があります。
私が講演にいくような「消滅可能性都市」では、長男がいくつになっても実家に同居している傾向が高い。長男だから「家から出さない」という場合もありますが、40過ぎて親にすべて世話してもらっている男性にお嫁さんが来るだろうか。まして今どきの女性は「同居」を嫌がります。
このような現実を見ているので、トピ主様の不安もよくわかります。この不況ですから、お弁当は節約の意味もありますが、なるべく若いうちに「一人で身の回りのことをやる」習慣をつけるに越したことはない。大学時代はチャンスです!
将来結婚できるかということはさておき、小町では、「ダンナ様のおっしゃっていた通り、『大学生のうちは家に置くが、それ以外は20歳で家を出てもらう』とお子さんたちに言って聞かせておきましょう。それが、ひいてはお子さんたちの幸せのためです」というアドバイスが圧倒的でした。
さて、そのためには準備も必要。心の準備とスキルです。「炊事・掃除・洗濯などの家事を3人で当番制でさせましょう」「家を出るまでに母親は子供に掃除洗濯料理など、基本的な生活習慣の仕事を教えないといけないのです」などのレスがありました。トピ主様、決断のときですね。
そして「老後の蓄え」まで…
最後にちょっと“恐ろしい話”を。最近、関西の大学の方から「40歳まで一度も社会に出たことがない娘を心配して、親が自分の死後、子どもが生活保護を受けられるか、役所の窓口に相談にきているんですよ。それもかなりの数です」と聞きました。
「いつかお嫁にいくだろう」と就職させずに娘を育てたのですね。40歳で就職したことがない娘さん……本当に心配です。
某婦人誌の特集で一番売れるのは、「子どもに老後を食い尽くされるな」という特集だという話も聞きました。自立しない子どもたちが、親が老後のためにと用意した蓄えを、イナゴのように食い尽くしていくのです。
結婚だけでなく、就活でも「家を出る」経験は役に立つと思います。「奨学金をもらい、生活費は全部バイト」という人はすんなり決まっていきます。必死度が違うから。
春は巣立ちの季節。今がチャンスです。大学生の子どもと話し合い、巣立ちの計画を練ったほうがいいですよー。
(転載終了)※ ※ ※
いやはや、少子化が進む我が国、大変なことになっているのだ。
30年以上前、大学生になった時、専業主婦だった母は「もう要らないわよね」とお弁当は作ってくれなくなった。もともと母はそれほど料理が得意であったわけでもなかったし、こちらも教室でお弁当を食べるのもなんだかなあだし、学食もあるし、外食も楽しいし、好きなパンも買えるから、と自分から断ったように記憶している。
勤務する大学では今の時期、新入生が入って来て人口密度が高い。ただでさえキャパシティが不足の学食は溢れ返っている。昼休み時間ともなれば、屋内席が不足して、屋外の木のテーブルでハイキングのように食べている姿はまだしも、地べたに座って・・・という姿さえある。
そんなわけで、私は原則、学食を利用するのは遠慮している。学生と職員は30分昼休みがずれているものの、職員が場所塞ぎしてしまうのはいかがなものか、と思うからだ。彼らにとっての500円と私たち職員にとっての500円は重みが違う。学外に出ればワンコインでお腹一杯食べられるレストラン等はないわけだから、やはり彼ら優先だと思うのだ。とはいえ、昼休み時間は限られているし、ランチ事情がそうそう恵まれているわけでもないから、私もファストフードのカフェ専門なのだけれど。
たまに昼当番等で昼休みがズレたりして、学食を覗いて空いていればお世話になることもある。
一人でカウンターに座り、「いただきます」をして食事をしている学生を見ると、いい子だなあ、と思う。見れば、タッパーにご飯だけつめて持ってきていて、汁ものと小鉢のおかずをチョイスしたりしている。ちゃんと一汁三菜、うーん、きっとこれまでちゃんと食育してきてもらったのだろうな、と感心する。もちろんお弁当持参の学生もいる。彼らは自分で作って来ているのか、定かではないけれど。
我が息子も生協食堂に日々お世話になっている。なんと恐ろしいことに日々、何を食べて、どういうカロリー状態なのか迄、ミールカードなるものに記録されてネットで見ることが出来る。夫に言わせれば「奴はプライバシーないな~、俺なら耐えられない」ということなのだけれど、そういう需要があるということでもある。
もちろん、何も訓練出来ないまま送り出してしまった手前、最初の頃は心配だったし、どんな具合なのか毎日チェックしたけれど、今ではたまに「あ~お菓子ばっかり買って~、ビタミンドリンクなんて飲んで~、新入生に気前よくご馳走している~」等、その生活を垣間見て愉しんでいる。
大学で勤めていると、我が愚息だけでなく、学生はかつてに比べて幼くなっているとも感じる。ずっと至れり尽くせりで大切に育ててもらったのだろう。大学生がかつての高校生、大学院生がようやく大学生といったイメージである。
とはいえ、30歳になっても高校生扱いでは、問題だろうな、とも思う。東京に住んでいると、地方在住と異なり大学進学を機会に親元を巣立つタイミングを逸す可能性が大きい。我が家も去年の早春迄は、大学卒業までは自宅通いだろうと信じて疑わなかったくらいだから。けれど、まあ、今思えば自分から巣立って行ってくれたのだから、二重生活で経済的にはまだまだ働かなくては・・・状態になったけれど、良かったのだろうな、とも思う。至れり尽くせりで、家が居心地良すぎるのは問題だ。家事も子育ても及第点が取れないダメ母は反面教師。それはそれで良かったのかも、とまたも得意の自己正当化をしている私である。
そして、少子化が深刻な国は巣立ちが遅い、というのもさもありなんである。かつて研修で訪れた北欧の国々では、高校を卒業すれば皆、家から巣立って自立していた。まあ、学費がかからないというのも大きいことだろうけれど。
冷静に考えて、私は息子が40歳になるまで生きている可能性は皆無に近いが(その時は74歳である。あと21年もの延命はどう考えてもありえないではないか。)、そこまで家にいられては、夫が気の毒だ。夫がその時に至っても息子の世話をするのか、息子が夫の介護をするのか、どういう事態になるのか想像すら出来ない。
今の息子の生活が自立しているとは決していえないけれど(そもそも学費と寮費と食費と毎月のお小遣いの合計を考えると、とてもではない。)、とにかく、朝汚して出かけた部屋は帰って来る迄そのままで、汚れ物は自分で歩いて洗濯機に入りはせず、タンスの所定の位置に収まったりはしない、というごくごく当たり前のことだけは気づいているだろうから、それだけでも価値があったのだと思いたい。巣立つ前に仕込んでおかなかったのは痛恨の極みだけれど。
そして、40歳まで就職したことのない娘さんの生活保護の相談・・・。どうしたらそんな発想になるのだろう。若くて健康で、十分労働力になりうる個人を花嫁修業のもと、言葉は悪いけれど飼い殺しにしてしまったに違いない。ご本人はご自身の人生、本当にそれでよかったのだろうか。
私自身、もはや老後の心配はしていないので(自分には残念ながら老後はないという覚悟のもと、日々を生きているので)、ある意味お気楽ではある。息子には親のお金を当てにしてほしくない。自分が命を削って働いた糧は自分で使ってしまおう、と思っている。