昨日の夜、日食関連番組を見ていて、ふと昔のことを思い出した。
わたしはあまり昔を振り返らない人間なので、これはけっこう珍しいことだ。
番組に出てきた人が、自分の撮影した最初の日食の写真が載っているといって
見せた本に見覚えがあった。それは「太陽・月・惑星」という図鑑で、
天文少女だったわたしが隅々まで精読した本だったのだ。
その後、わたしの関心は太陽系外、そして銀河系外へと移っていったので、
太陽にはそれほど興味がなくなったが、なぜか大学の卒論は太陽に関するものだった。
理由はひどくつまらない――女性が夜、大学に泊まりこむと危ないから
日中に観測できる太陽をテーマにするのがその研究室の伝統だったというもの。
わたしは星のほうが好きだったのに。とはいえ、太陽だって恒星のひとつだ。
近いところにあるから、細部まで観察できるわけで、太陽を観察すれば
他の恒星のこともある程度わかるという道理。
太陽なんてつまらない、と文句を言っていたわたしだが、
もしもシリウスの近くまで行って観察してこいと言われたら、
もちろん喜んで行っただろう。やることは同じなんだけど。
自分の父親にインタビューして記事を書けと言われた場合と、
だれか有名人にインタビューする場合を考えてみるといいかも。
太陽は大きさもタイプもごく平凡で、おまけにいつでも見ることができる。
考えてみたら、きのうの皆既日食は、その平凡なお父さんが珍しくいいところを見せて、
みんなの注目を集めたというイベントなのかもしれない……。(笑)
昨日はアクセスが殺到して見られなかった気象庁のHP。
地球表面を月の影が動いていくところがよくわかる動画を見るのがお薦めだ。