いよいよ旅も最終日。
12時半の便で旭川を発つので、それまで美瑛を回ることにした。
朝食前に近くの北西の丘展望台まで歩いてでかけた。
宿から北西の丘に向かう道路。
雨はほぼ止んでいたが、山には低くガスがかかり、
晴れの初日に撮った写真と比べるとやはり緑の鮮やかさが足りない。
昼間は観光バスがいっぱいやってくるここも、朝の5時だったので
わたしが行ったときに帰っていく女性の二人連れを見かけただけだった。
ピラミッド型の展望台にも登ったが、ひとりじめだった。
低くガスがたなびいている。
東の空の雲が薄くなって、少し明るくなってきた。
朝食後、宿の裏の丘へ行ってみた。手前はソバ畑。
宿をチェックアウト後、まず五陵へ車を走らせた。
旅行前に見たガイドブックにはパッチワークの丘の
名前がついた有名な木をめぐるルートが紹介されていて、
わたしもそれにしたがって走る計画を立てていたが、
前の夜、宿でもらった「びえいMAP」を見て、行先を変更することにした。
そのひとつが五陵だ。五陵は美瑛北西部の一段と高くなった丘で
美瑛の丘を一望できる撮影ポイントとあった。
五陵にて。美瑛が見晴らせる南東方向。
ガスは沸き立つように刻々と動いている。
周囲はジャガイモ畑。人っ子一人見えない。
この先には農場があるだけで、道は舗装されていない。
このあと次の絶景ポイント留辺蘂(るべしべ)へ向かったが、その途中も
すばらしい景色の連続で、車をとめてはしばらく眺めたり、撮影したりした。
留辺蘂は五陵から5キロほど南にある。前夜宿のオーナーさんに、
前田真三さんの写真のように美馬牛小学校の塔を眺められる場所は
どのあたりかたずねたところ、留辺蘂からも見えると教えてもらったのだ。
うねって走る道路の一番高くなったあたりで車をとめて眺めてみた。
小学校がある東南方向を探すと――あった! 左手の木のあいだから見えるが小さい。
今回、動きやすいように軽い標準ズームしか持ってこなかったのだけど、
このときばかりは18-200mmの望遠ズームがあればよかったと思った。
小学校のところだけ拡大してみる。
わたしがいるあいだ、車は1台も通りかからなかったので、ここは穴場だと思う。
とはいえ、帰り道の途中にあったので、セブンスターの木も遠くからだが眺めてみた。
10時を過ぎていたので、すでに観光バスも何台か来て、人が群れていた。
こういう畑の端にぽつんと立っている木は、美瑛をいっそう絵になる風景にしているが、
農作業のあいまに休憩するときの木陰を得るために植えたという説がある一方、
農耕馬のお墓だという説もあるそうだ。そう思って眺めるとまた別の感慨がある。
このころにはかなり青空ものぞくようになったが、わたしの旅はそろそろ終わり。
美瑛に別れを告げて、一路旭川空港へ向かった。
家に帰って撮った写真を見ていて、なんだかデジャヴをおぼえた1枚。
そう、ブラッカイマーのロゴ。センターラインがなく、木は右でなく、左にあるけど。
ここで稲妻が……。