2泊目の宿は羊牧場に付属したファーム・インだ。とても広い敷地ながら、
中国から来ている女性がヘルパーとして働いているだけで、家族経営なのだそう。
着いたのは4時で、まず庭に出てみた。宿泊棟脇の花壇には花が咲き乱れていた。
食堂のある棟の壁はバラと蔦でおおわれて、レンガと白い壁によくあっている。
裏側には大輪のクレマチスも咲いていた。
バラは壁以外に、パーゴラやアーチにも誘引してあった。
あとで聞いたところでは、ここはとかちオープンガーデンに参加していて、
なかには観光バスで庭を見に来る団体もあるそう。
庭には野菜の植わったポタジェや、果樹のコーナーもある。
そこで今がちょうど食べごろのハスカップを枝からもいで食べた。
昨日は1粒試食しただけだが、今日はたっぷり味わうことができた。
ハスカップをこんなふうに食べられるなんて、二度とないかもしれない。
このちょっと楕円の青黒い実がハスカップだ。長さは2cm弱。
ブルーベリーやラズベリー、グズベリーもあったが、まだ若い実だった。
羊牧場へ入るには、納屋に置いてある長靴にはきかえてくださいと言われた。
その理由はすぐにわかった。そこらじゅうに羊の落し物が!
牛の場合、乳牛は放牧するが、肉牛は放牧しない。運動不足で霜降りにするためだ。
羊の場合、ここで放牧されている羊たちは主に肉を取るためで、
草原を自由に動き回らせると毛のあいだに枯草などが入り込んで
いい毛が取れないんだそう。はじめは遠くにいた羊だが、だんだん寄ってきた。
大人の羊。
でも、なんといってもかわいいのは子羊で、ぴょんぴょん跳ね回っている。
子どもは早春に生まれるので、これでももうかなり大きくなっている。
生まれたてはもっと跳ね回ってかわいいそう。
右の羊はちょっと口を開けているが、ちょうど鳴いているところ。
このかなりしゃがれた低い声が、近くで聞くと信じられないくらい大音量なのだ。
このあと牧羊犬が羊を追いこむところを見せてもらった。
ボーダーコリー(ベイブに出てきた犬種ね)は賢いと聞いていたが、
ほんとうにじょうずに羊をまとめて、納屋の方へ誘導していく。
2匹だけどうしても言うことを聞かず動こうとしなかったのはご愛嬌。
牧場には虫がいっぱい飛んでいたが、どうやらブユが混じっていたらしく、
手の甲に2ヵ所と首に1ヵ所、刺されて(ブユだから噛まれて カナ)しまった。
夕食のメインディッシュ、ラムステーキ。意外にクセがなかった。
夕食後また庭をぶらついた。オーナーのお母さん(80歳)は
ハスカップの実をいただいたときにも案内してくれたが、話好きで、
このときも見かけて話しかけたら、ガーデニングのことなど話がはずんだ。
次の日は予報通りの雨。部屋の窓から見た景色。写真ではわからないが雨降りだ。
朝食のパンとジャム、クリームチーズはお代わり自由だったが、
わたしは小パック入りのジャムでなく、ここの自家製ジャムを選んだ。
パンの手前、左にあるのがグズベリージャム、真ん中がハスカップジャムだ。
グズベリージャムはちょっとすっぱかった。
この日は富良野へ行くつもりだったが、雨ってことでチェックアウト時間ぎりぎりまで
ここにいた。小降りになったとき、かさを差して庭を歩いたりもした。
雨でも羊は同じように草原で草を食んでいるのだった。