散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

サポーターシップ

2013-09-27 06:29:02 | 日記
2013年9月27日(金)

> うーん、私はホットドック片手に大声を上げれないスポーツは見に行かないので。。。 

ははは、そうでしたか。

NFLの話は知りませんでした、ケッサクです。贔屓の引き倒しを制度に組み込んじゃったんですね。

テニスやゴルフの思想はその正反対でしょう。
けれども選手と一体化し、後押しするのは同じことで、大声が出せないだけに拍手の強弱やタイミング、思わずもれるため息や息遣いまでが、言葉に負けず雄弁にメッセージを伝えるのだろうと思います。

「結果に関わらず、私たちはあなたと共にいる」という信頼が伝わるならば、選手は勇気百倍する。
その逆に、結果を求めてミスに落胆する身勝手と性急さを、クルム伊達は肌で感じたのでしょう。

そうしたハイレベルのサポーターシップをプレーヤーがファンに求めること自体、テニスという競技の面目をよく表していると思います。
私は野球は大好きですが、野球ファンのマナーはしばしば問題ですね。サッカーよりはマシかもしれないけれど。古い話ですが、かつて王監督が生卵をぶつけられたことがありました。それこそ隠れたところから匿名の憎悪を投げつけるもので、卑劣さは先の「書き込み」と同質です。

それだけに、バレンティンの56号を阪神ファンも祝福していた風景には和みました。
そして昨夜の田中将大、しつけの悪いファンも沈黙させねじ伏せる熱投でしたね。
西武の3番・4番に対して7球連続ストレート、それも全部外角低めの150km超。
6球見逃しが続いた後、最後はストレートと決めて待ったであろう好調の浅村に、見事に空を切らせました。野球の原点、ゾクゾクしましたよ。

思い出すのは2006年、第88回夏の甲子園決勝、早実との延長再試合で駒大苫小牧は惜敗したのですが、私の印象に残っているのはむしろ試合後なんです。
田中は最後のバッターとして打席に立ち、斎藤佑樹に三振に取られて劇的な幕切れとなりました。
その後、それぞれのブルペンでクールダウンのキャッチボールをする二人が対照的で。

勝った斎藤は、目を赤くしていました。
「王さん達も達成できなかった夏の優勝で、早実の歴史に新しいページを付け加えることができた」というようなコメントだったでしょうか。

負けた田中は、泣かなかったんです。
ぐっと頭を挙げてゆっくり投球を繰り返す表情が、「やるだけやった、仕方ないや」と語っていて。
「やるだけやったんや、しゃあない」と書くべきかな、彼、兵庫県伊丹市の出身ですから。

一緒にテレビを見ていた当時小2の三男に、「齋藤は完成度が高いけれど、田中こそ将来大成する」と言ったのを、今は私に数倍する野球ファンになった彼がよく覚えているようです。
「将来大成」で将大、名は見事に体を表しました。

胸のすく快投、おめでとう、ありがとう!