投稿漏れ補遺
2014年2月21日(木)
連載小説『荒神』、大詰めへ向けての坂道を粛々と登っていく。
怪物が人の思いの具現化であることが、主人公たちの共通の確信となりつつある。それを改める力は、それを生み出す力と同根であり、その力を分け持った兄妹の対決の時が迫っている。充実の筆致だが・・・
「術者になり得る強い力を秘めた子が生まれる際には、お山がそれをしろしめまする。」
?
「しろしめす」は「しらしめす(知召)」の変化したもので、「知る、治める、管理する」の意をもつ強い敬語だ。文脈からは、異能の子の誕生を「お山」が自ら「啓示する、知らせる、宣言する」といった意と思われ、ここで「しろしめす」はおかしい。「しめす」=「示す」という連想が働きそうだが、これは「知ろし・召す」なので切れどころが違う。
深く尊敬するこの筆者には珍しいことで、こういうのが編集の責任だというのだ。
2014年2月22日(金)
こうの史代さんの挿絵も親しみやすくて良い。のどかで温かく、いくらか漫画的なのが文に合っている。
今朝は思わず笑って、ほっこりした心持ちになった。
宿命の対決へ近づいていく弾正と朱音、その幼い姿が縁側から覗き込んでいる。室内で勤行に専心する明念和尚の禿頭に、トンボが止まっているのが見えるかな。庭に飛ぶ2匹とあわせ、3匹のトンボが老若三人の姿と気持ちよく呼応する。
ほんとうに、珍しく楽しい連載小説だ。
2014年2月21日(木)
連載小説『荒神』、大詰めへ向けての坂道を粛々と登っていく。
怪物が人の思いの具現化であることが、主人公たちの共通の確信となりつつある。それを改める力は、それを生み出す力と同根であり、その力を分け持った兄妹の対決の時が迫っている。充実の筆致だが・・・
「術者になり得る強い力を秘めた子が生まれる際には、お山がそれをしろしめまする。」
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「しろしめす」は「しらしめす(知召)」の変化したもので、「知る、治める、管理する」の意をもつ強い敬語だ。文脈からは、異能の子の誕生を「お山」が自ら「啓示する、知らせる、宣言する」といった意と思われ、ここで「しろしめす」はおかしい。「しめす」=「示す」という連想が働きそうだが、これは「知ろし・召す」なので切れどころが違う。
深く尊敬するこの筆者には珍しいことで、こういうのが編集の責任だというのだ。
2014年2月22日(金)
こうの史代さんの挿絵も親しみやすくて良い。のどかで温かく、いくらか漫画的なのが文に合っている。
今朝は思わず笑って、ほっこりした心持ちになった。
宿命の対決へ近づいていく弾正と朱音、その幼い姿が縁側から覗き込んでいる。室内で勤行に専心する明念和尚の禿頭に、トンボが止まっているのが見えるかな。庭に飛ぶ2匹とあわせ、3匹のトンボが老若三人の姿と気持ちよく呼応する。
ほんとうに、珍しく楽しい連載小説だ。