(きょうあげは きのうかなぶん あなたなの)
昨年の四月に五十四回目の結婚記念日を祝い、その三週間後に夫は旅立ってしまいました。別れというものは、あっけなくやってくるということを、今さらに口惜しく思います。夫との別れを詠まずにはおれませんでした。私の気持ちが彼に届いてくれると信じて・・・・・
一瞬に白牡丹散り夜のしじま
夫逝きし春繰り返すありがとう
雪解富士遠出約束そのままに
遺影の笑顔揺れ止まぬ葉桜よ
森閑と返事相槌無きおぼろ
居る人の無く徒然や夕桜
岩戸窯で、俳句の会「多留男会」に出会い、早二十数年が経ちました。自然を愛で心の折節を詠んで参りました。修練も足りず、努力、不勉強を恥じながら過去の日々を懐かしく辿っている・・
ささやかな自分史かとも思います。また、句集にしていただけますこと、何より感謝致しております。
(合同句集「天岩戸」より 石井稱子記)
ロウバイ(蠟梅)