(みみとおき ことにもなれて うこぎつむ)
米沢藩主、上杉鷹山公が推奨した五加木は、隣家との垣根として植栽されました。ザルを抱え、棘を避けながら摘み取るのが、子供の頃の手伝いでした。生家から株分けした五加木は、鉢植えにして春先には一番先の芽吹きとなり楽しませてくれます。
二十年前の事、茶の湯の恩師に「茶の湯は季節感が大切よ」と諭され誘って戴いたのが、俳句を始めた切っ掛けでした。当時、多留男先生は、耳が不自由であられ、句会ではいつも隣席で陶子さん(現、釣舟先生)が添削後の質問や会話を取り次いで下さって居りました。
入会してからも、中々想う様な俳句ができず手探り状態でした。その頃、金沢へ一人旅した折の、
「秋灯や十三階の旅の窓」
の句を多留男先生が「いいよと」思いがけない「天」を下さいました。それで少なからず句作への意欲が湧いてきた気がします。
私は、近頃難聴になり、釣舟先生や句会の皆さんのご理解の中、後少し俳句を楽しみたいと願っております。
(合同句集「天岩戸」より 西行紅記)
スイセン(水仙)