つわぶきや戻らぬ人を見送りて 洋子
冬耕の男しだいに土の中
日向ぼこコロッケ色の猫も来て 凛
色褪せぬ赤い糸あり時雨傘 〃
五十年世のこと忘れ浮寝鳥 鯨児
野山の色それを肴に入り日酒
冬の海めぐみちゃんとその母のこと さくら
冬うらら少女の声の男の子 〃
冬めくや逢初橋を通るたび 裕
鳴き上手熱海湾にも浜千鳥 〃
どうしても三辺余る炬燵かな 光子
一斉に軽きステップ木の葉雨 〃
山寺の梢にぶらり烏瓜 イ ヨ
あたたかの十一月や深呼吸 〃
沈む日の光集めて木の葉雨 沙 会
マフラーも包みおほせぬ想いかな 〃
虹色の夕日海注す冬初め 鞠
初冬の朝焼けの中小舟引く 〃
秋の海瑠璃色映る極楽よ 黄 玉
幸せに涙が滲む木の葉雨 〃
錦秋や山に浮き立つ崖の家 豊春
秋深し校舎裏より細き声
サンドウィッチの鋭三角形天高し 薪
牛糞乾く野原飛び交う秋の蝶
黒板の小枯しの音消し残る 炎火
竹ぼうき細みとなりぬ木の葉雨
お重詰め招福おせち愛犬用 パピ
二人では広すぎる家毛糸編む
ガーリックバター馥郁小春パン 雲 水
百三十七億年や神の旅 〃