県道を渡り切れずに青大将 炎火
故障せし液晶パネル五月闇
交番に入りしカマキリ喧嘩ごし 凛
風死すや酸素不足の宇宙船
長梅雨やセミの抜け殻石の上 パピ
河原で足湯乾季のニューギニア
風死すやN字の打てぬ電子辞書 豊春
風死すやラッセル音の宅配子
風死して遠くで叱る嫁の声 裕
風死して空の魚籠や防波堤
白々と神の御座か山法師 薪
蜩の声のぼりゆく浅眠り
老杉の雫の元に苔の床 さくら
極上のタオル戴き夏は来ぬ
梅雨明や老いても子には従わず 沙会
七夕や人は旅人明けの星
老犬のあくびものうし黒揚羽 洋子
ギンギンに冷えたるワイン梅雨晴間
梅雨雲を割って沸き立つ雲の峰 貴美
風死して鳥のさえずり山の峰
一瞬にして消え去りし舟虫 海人
昼寝覚夢追いかけてまた眠り
お茶の間に月が差し込む夏料理 鞠
涼しさや色を配して普茶料理
龍子行く葉桜並木傘さして 余白
梅雨雲は東シナ海連なりて
安否知る夢二のはがき遠花火 稱子
うすものをまいて想うや母の所作
夏椿落ちて動くや犬の耳 雲水
これから行く虹の真下のラーメン屋