たおやかに紫式部揺れるのみ 洋子
焼きたてのパン切り分けし菊日和 〃
ログ屋根へ何の実落つる夜更哉 佳津
園丁の鋏にくづれ秋の薔薇 〃
秋の海人いっぱいの近未来 歩智
無愛想に大根抜いて深呼吸 〃
海辺よりビルの重なる秋の空 豊春
秋の海卵サンドと缶ビール 〃
木の実落つ水に浮くもの沈むもの 海人
こんな世は愛しき人と新走 〃
秋の海流木くわえ犬走る 美部
秋の海行き交う波で踊る砂 〃
温め酒話せば長くなるばかり さくら
早起きの弟追ふた栗拾ひ 〃
秋高し旅してみたき雲ひとつ 沙会
まだ誰のものでもあらぬ青き柿 〃
静けさが身にしみるほど秋の暮 貴美
秋寒やお昼はザルよりカケにしよ 〃
引き出しに古りし木の実の生命かな 雲水
秋寒し野良猫眠る薪の上 〃