10月23日に発売された市川由紀乃さんの新曲です。彼女は正統派の演歌歌手として安定した人気を保っています。それだけにこの辺で大きなヒット曲がほしいところですが、この曲はそんな期待を抱かせるに十分な重厚感のあるいい曲です。
冒頭の歌詞からいきなり「あなたどうして わたしを捨てた」と女の強い情念がほとばしります。同じ一番の歌詞には「やせた三日月 この手でつかみ 切ってやりたい…」というのもあり、恐ろしいほどの未練心が表出されています。
2番、3番ではそういう強い情念は影をひそめて、悲しさや切なさを表現するほうにシフトしています。
また、2番冒頭の「はるか国後 届かぬ想い」という歌詞には、いまだ還らぬ近くて遠い北方領土への想いがこめられているように感じました。
流氷の広がる荒涼とした風景、そして女の熱い情念が対照的に描写されていて、すごく聴きごたえのあるスケール感に満ちた曲だと思います。