8時起床。珍しく娘もゆっくりで、一緒に起きる。
1時間かけて本格的に掃除をする。
10時過ぎからウォーキングに出掛ける。まずは、ウインズ(場外馬券売場)で今日の高松宮記念(G1)の馬券を購入。これが引退レースとなるスノードラゴンの応援馬券一択である。
そのままウォーキングを開始。ラジオを聴きながら、2時間ほどゆっくり歩く。春満開といった景色をたくさん見ることができた。
途中でちょっと水分と糖分を補給。
最後に、神社で今日のスノードラゴンの無事を祈る。勝利は必要ない。ただ無事に走り終えてくれればいい。
12時過ぎに帰宅。昼食は出前でとったとんかつ弁当。
午後、初めて娘を電動自転車に乗せてみる。先に妻が乗り、次に私が乗る。運転自体は娘が乗っていても安定感があって、特に問題は感じない。一方で、娘がどんなリアクションをするかを楽しみにしていたのだが、何ともいえない微妙なリアクションだった。一応新しい感覚を感じているようではあるのだが、ほとんどリアクションがなかった。
テレビで競馬、高松宮記念(G1、中京競馬場、芝1200m戦)を観る。スノードラゴンの結果は、17着。3コーナーで不利があってヒヤッとしたが、最後のレースを無事に走り終えることができた。良かった。本当に良かった。
私が初めてスノードラゴンの走りを見たのは、2014年の3月30日。5年前の高松宮記念だった。8番人気だったが、当日は大雨で不良馬場になっていて、それまでダートでの戦績が良かった彼に目をつけて馬券の軸にした。結果は、2着。休日出勤中に上司と一緒に職場のテレビで見ていて、手を叩いて喜んだのを覚えている。それと同時に、泥んこ馬場の中を飛ぶように駆けてくる白い馬体が鮮明に記憶に残った。
当時の私はG1くらいしか馬券を買っていなかったので、次に彼の馬券を買ったのは同年10月5日のスプリンターズステークス。前走のキーンランドカップで8着に敗れていた彼の人気は、13番人気。単勝オッズは46.5倍だった。出走馬全18頭の中で最も持ち時計(自己最高タイム)が遅いということもあって、先輩たちからは「絶対来ない」と言われていたのをよく覚えている。当日は、当時何としても振り向かせたかった女性との初デートで、その前に朝イチで銀座のウインズ(場外馬券売場)に駆け込んで馬券を買った。今日買ったのと同じ、単複3000円ずつの応援馬券だった。デート中だったので、私はこの日のレースをリアルタイムでは見ていない。デートも終盤、これから夕食というタイミングでたまたま見たニュースで結果を知った。そこで意を決し、「実は俺、競馬をやってるんだけど…」と切り出して、「大きく勝ったから」という理由をつけて夕食代を出したのだった。その時デートをした女性とは、それから1年後、2015年の10月5日に結婚した。
結果的に、このスプリンターズステークスでの勝利が彼にとって最後の勝利となった。ずっと彼の馬券を買い続けていた私は、たまに複勝が当たって大喜びということはあったものの、基本的には彼が出走するたびに財布が軽くなった。しかし、それでも不思議と何の後悔もなかった。今日もどう考えても馬券圏内に入ることはないとわかっていたが、買わないという発想は全くなかった。結果はともかく、私が買い続けている限りは怪我なく無事にレースを終えられるはずだと(半ば本気で)思っていた部分もある。そんなジンクスが本当にあったかどうかは定かではないが、今日も無事に走りきってくれた。
脚部不安で1年3ヶ月の休養があったり、決して順風満帆の競走馬生活ではなかったが、61戦8勝、2着13回、3着7回というのは本当に立派な競走成績だと思う。ここ数年は芦毛ではなく白毛なんじゃないかと思ってしまうほど本当に真っ白になっていて、レースでも一目でどこを走っているのか見つけることができた。まだ走るの?来年も走るの?ということを繰り返しているうちに11歳になっていた。
数年前には早く引退させてあげて欲しいという気持ちが強かったが、彼の頑張り続ける姿を見続けているうちに「こうなったらとことん最後まで応援するぞ」と思うようになった。同じように考える人がたくさんいたのだろう、競馬場でもネット上でも明らかに彼を応援する人が増えていった。
そして今日、最後のレースを無事に走りきり、彼は現役生活に別れを告げた。テレビでその姿を見て、ようやくこの日が来たかという安堵感と、もう彼の走りを見ることは出来ないという寂しさで、涙が止まらなかった。ニュースサイトやインターネットの掲示板、SNS上では、たくさんの写真と共に彼への感謝や労いの言葉が溢れていた。
私にとって彼は、人生で最も心を動かされた競走馬である。「芦毛の怪物」といえばオグリキャップだが、私にとってスノードラゴンは「芦毛の天使」だ。
その天使は今後、北海道・静内のレックススタッドで種牡馬としての生活を始める。種牡馬も楽な仕事ではない。種付けは命懸けの作業だし、産駒の実績次第ではすぐに需要がなくなってしまう。これからも戦いは続くのだ。私にできることは、種牡馬としての成功を祈り、末永く安らかな余生を願いながら、彼の動向に興味を持ち続け、たまに人参を持って会いに行くことくらいだろう。ここまで頑張った彼には、きっと競馬の神様が最高の余生を授けてくれるだろうと信じて。
スノードラゴンくん、これまでたくさんの感動をありがとう。そして、これからの馬生に幸あれ!
夕食は豚肉のステーキ。
23時過ぎに就寝。