今回は久々にコンサート・レポートである。去る2月1日に茅ヶ崎市民文化会館(めちゃ地元)で行われた稲垣潤一のコンサートに行ってきたので、その模様をレポートさせて頂く。
と言っても、僕は稲垣潤一はもちろん知ってるけど、それほど聴いてた訳ではない。今回のコンサートにしても、妻が行きたいと言ったので(ま、近いし、お値段もリーズナブルだし。笑)、行ってみる事にしたのだ。こう申し上げると大変不遜なのだが、あまり期待してなかったんだけどとんでもない。実に素晴らしいコンサートだった、という事だけは最初に伝えておきます(笑)
さて当日、我々はほぼ会場時間に茅ヶ崎市民文化会館に着いた。コンサートもさることながら、この茅ヶ崎市民文化会館に来るのも実に久しぶりだ。一体、何年振りだろう。思い起こせば、茅ヶ崎市民悲願(ちと大げさ^^;)のホールが完成したのが1980年のこと。当時、僕は高校の吹奏楽部で、イベントやらコンクールやら演奏会やらで、あちこちで演奏する機会があったのだが、近隣の藤沢、平塚、厚木、伊勢原といった市には、1000~1500人くらいを収容出来るホールがあったけど茅ヶ崎にはなく、いつもやや遠い所まで遠征してて、地元にホールがあったらいいのに、とずっと思っていた。なので、茅ヶ崎市民文化会館が竣工した時は、ほんと嬉しかったし誇りに思ったものだ(予想以上に立派なホールだったので)。
あれから45年、文化会館はまだ現役だ。何年か前に大規模な改修を行ったはず。正直言うと、文化会館の収支とか全く知らないので、利益が出てるのかどうかは不明だが、展示室は市民団体がよく利用しているようだけど、大ホールも小ホールも、もう少し興行を入れた方がいいのでは、なんて思ってしまう。いわゆるプロ歌手のコンサートは月1回程度だし(ちなみに3月には南こうせつのコンサートが開催される。完売だそうな)、あとはローカルな音楽イベントや地元のオーケストラの演奏会がほとんど。そういう地元に目を向けた運営というのは実に良い事なので、このまま続けて欲しいが、もっと客が来て稼げる興行もやったら、と思ってしまう訳だ。ま、いいけど。(参考までに、僕は茅ヶ崎市民文化会館ではローカルなイベント以外だと、阿川泰子とハイ・ファイ・セットを見た事がある)
と、茅ヶ崎文化会館の事ばかり長くなってしまったが、稲垣潤一である。会場に入ってみると正に満席。観客は世代的には、僕と同じかちょっと若いかな、って感じ。2階席ステージから見ると、向かって左からキーボード・ドラムセット・アンプ2台という順に並んでいて、割にシンプルなセッティングだった。これくらいの方がいいよ。近頃というか、いつ頃からか忘れたが、ステージ上にやたらと人や機材や大道具が並ぶようになって、肝心の歌手が見えないとかいうのが当たり前になってる感もあり(ステージがやたら広いというのもあるけど)、こういうシンプルなセッティングだと感激する(笑)
と、そうこうしてる間に定刻となり場内の照明が落ちBGMが消え(ちなみに、BGMはザ・バンドでした)、ミュージシャンたちが暗がりの中ステージを移動し、そして演奏が始まった。よく知らないけど聞いた事ある曲(「雨のリグレット」だったかな)がオープニングだったが、驚いたことに、稲垣潤一自身がドラムを叩きながら歌っていた。いや別に、この人ドラマーというのは有名なんで、驚くにはあたらないのだが、でも驚いた。しかも結構上手い。バンドとも馴染んだ感じで、2曲目も続けてドラム&ボーカルを務めていたので、もしかしてずっとこれでステージが進むのか、なんてちょっと期待したら、やっぱり3曲目の時に、ドラムセット離れてフロントに出てきた。そりゃそうだよね(笑)
ちなみに余談だが、稲垣潤一がドラムセットを下りると、当然、別にドラマーがいて、3曲目以降はその人がドラム担当なのだが、この人なんと左利きだった。稲垣潤一は右利きなんで、よく短時間で交代出来たなぁ(ちなみに、ドラムセットは1式だけで、二人とも同じセットを使っていた)、と感心したのもつかの間、このドラマー、左利きだけど右用のセットでプレイする人だったのが、演奏始めたらすぐ分かった(笑) それなら、交代もそれほど大変ではない。ハイハットやらスネアやらの位置変更が必要ないからね。ドラマーが左利きだけどセットは右用、というのは単なる偶然なのか、それともそうでないのか。ま、こんな事を考えてたのは、あの時会場にいた1300人ほどの中では僕一人だけだったろうね(爆)
で、このドラマーがまた上手いのだ。稲垣潤一も結構上手いというのが分かったけど、それ以上。そのせいもあり、今回実にバンドが素晴らしかった(ギター、ベース、キーボード、ドラム、コーラス各1名の5人編成) もちろん、メインは稲垣潤一で、彼の歌も実に素晴らしかったのだが、バンドがいいので、より素晴らしいものとなった。
という訳で、テレビ等を含めても、稲垣潤一を見るのは実に久々だ。30年振りくらいかな。2階席から見てると、昔と全く変わってない。本人がMCで言ってたけど、今72歳だとのことで、それが全くの嘘であるかのように、見た目だけでなく、その透き通った歌声も全然あの頃のまま。いやいや凄いな。もちろん節制してるんだろうけど、ずっと維持してるのがとにかく凄い。よく山下達郎や小田和正が、70過ぎても衰えない歌やパフォーマンスを披露してるとかで、凄い凄いと、ほんと神のように扱われているが、稲垣潤一も同列で評価されても全く遜色ないのでは。
ま、その歌声もそうだし、全くバンドに負けない声量も保ってるし、MCも喋り過ぎず良い感じだし、演奏もコーラスもいいしで、素晴らしいコンサートでした。予想以上に良かった。稲垣潤一の音楽はシティ・ポップの範疇で語られがちだが、曲調がバラエティに富んでて、飽きずに聴けたのも良かったと思う。アンコールも含めて(ちなみに、アンコールの一曲目はまた稲垣潤一がドラム)この日演奏されたのは、全部で15~6曲だったと思うが、僕が知ってたのは2曲だけ(「雨のリグレット」と「1ダースの言い訳」)、正直言うと、もっとヒット・パレード的なセットリストなんじゃないか、と予想してたんだけど、全く違ってた。しかし、「ドラマティック・レイン」も「クリスマス・キャロルの頃には」もやらない、という所に稲垣潤一の自信というかプライドを見た気がします。俺はまだ懐メロ歌手じゃないんだぞ、ってとこかな。実に素晴らしい。
という訳で、レポートになってないけど、稲垣潤一のコンサート・レポートでした。また見たいな。
で、これだけで終わるのも何なので...
1984年のシングル「オーシャン・ブルー」である。僕が持ってる稲垣潤一の音源は、実はこれだけ^^; B面の「あの頃のまま」と合わせ、2曲ともユーミンの作詞作曲(厳密には、A面は松任谷由実、B面は呉田軽穂、となってる)。
「オーシャン・ブルー」のオシャレだけど静かな雰囲気が好きで、シングルを買ってしまった。ほんと静かというかクールな雰囲気の曲で、サビとかでも盛り上がりそうなのに静かになる、って感じ。アレンジは松任谷正隆で、絶対に盛り上がらないように持ってくのがさすが、ってとこかな(笑)実は凄い曲だと、久々に聴いてみて感じ入った次第。「あの頃のまま」はがらりと雰囲気変わって、なかなかリアルな歌詞なんだけど、さらっと聴かせるのがユーミンそして稲垣潤一の上手いとこかな。
それにしても、久々に行った茅ヶ崎市民文化会館、しばらく前に改修始めた時、一瞬取り壊すのか、なんて思ったけど、続いていて何より。自分にとって思い入れの強い場所であるし、ほぼ同時期(1979年)に開業したイトーヨーカドー茅ヶ崎店が今年1月に閉店してしまって、こちらもちょっとしたシックだったりなんかして、やはり自分の若い頃を象徴するような建物等がなくなると、悲しいものがある。文化会館、まだまだ頑張って欲しい。
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